親のアパートを相続したら、道は3つ|自分で管理・任せる・売るを徹底比較!
父の四十九日が過ぎたころ、柏のアパートの入居者の方から電話が入る。「お風呂のお湯が出ないのですが、どなたに連絡すればいいでしょうか」。ひとまず業者を手配して電話を切ったあと、ふと思う。「この先、このアパートのことは誰が見ていくんだろう」。
親から貸家やアパートを引き継ぐと、入居者がいる限り、その日から大家の役目も始まります。とはいえ、自分で続けるか、任せるか、売るかは、すぐには決めにくいものです。千葉県我孫子市や柏市で、入居者がいるまま貸家を相続した方が迷わないよう、晃南土地 編集部が選び方の順番を整理しました。晃南土地は1991年に設立し、売買・賃貸・賃貸管理・買取り・リノベーションを一社で手がけています。相続した家や土地についても、多くのご相談をお受けしています。
この記事で分かることは、次の3つです。
- 相続してすぐ、大家として最初に何をすればいいか。
- 自分で管理する・任せる・売るの3つを、手間・費用・リスクで比べるとどうなるか。
- 兄弟で相続したときの決め方と、相続登記や税金の期限。
先に答えをお伝えします。物件の近くに住み、夜や休日の連絡にも動けるなら、自分で管理する道があります。遠くに住んでいる方や、兄弟で共有している方には、管理会社に任せる道が向いています。持ち続ける人がいないなら、売ることも考えます。どれか決めきれないときは、売るのを急がず、まず任せて入居者のいるまま回してみる。この順番なら、慌てて手放して後悔することを避けやすくなります。
入居者がいるまま任せられる先も、早めに知っておくと安心です。入居者がいる貸家の管理を「晃南土地」に任せる場合の内容を見ることもできます。
相続したら、まず入居者と家賃の流れを守る
この章の要点
- 管理会社がいるか、家賃がどの口座に入っているかを最初に確かめる。
- 貸主の立場と、敷金を返す役目は、相続人がそのまま引き継ぐ。
- 入居者への知らせは、振込先と連絡先が決まってから書面で送る。
相続した直後に大家として最初にやることは、入居者が困らない状態を保つことです。売る・任せるといった大きな判断は、そのあとでも間に合います。
理由は、親が亡くなっても、入居者との契約は終わらないからです。民法第896条は、相続人が相続の時から、亡くなった方の権利と義務を引き継ぐと定めています。簡単に言うと、貸主の立場も、家賃を受け取る権利も、敷金を返す役目も、相続人に移るということです。
よくあるのが、家賃が親名義の口座に振り込まれ続ける場面です。金融機関が亡くなったことを知ると、その口座の出し入れが止まることがあります。入居者はきちんと払っているのに、大家の側でお金を引き出せない、という行き違いが起こりえます。
最初の1か月で確かめたいことを、表にまとめました。
| 確かめること | 手がかりになるもの | ポイント |
|---|---|---|
| 管理会社がいるか | 通帳の入金・引き落とし、郵便物、契約書 | いれば、まず管理会社に相続を伝える |
| 家賃の振込口座 | 親の通帳 | 口座が止まる前に、受け取り方を決める |
| 入居者と契約の中身 | 賃貸借契約書 | 部屋ごとの家賃・契約期間・更新の月 |
| 預かっている敷金 | 契約書、入金の記録 | 退去のときに返すのは相続人 |
| 火災保険・家賃保証会社 | 保険証券、保証会社との契約書 | 名義の手続きが要ることがある |
確かめ終わったら、入居者に貸主が替わったことを知らせます。知らせるのは、新しい振込先と連絡先がはっきりしてからにします。途中で振込先が二転三転すると、かえって入居者を不安にさせるからです。通知書に書く項目や文例は、『貸主変更通知書の書き方|相続・売却でオーナーが替わったら』にまとめています。
兄弟で相続して、誰が引き継ぐかがまだ決まっていないこともあります。その間は、代表者を一人決めて窓口にしておくと、入居者が迷いません。決め方のルールは、第7章でくわしく説明します。
選ぶ前に、物件の「いま」を数字で見る
この章の要点
- 1年の家賃の合計と、出ていくお金を書き出すと、判断の土台ができる。
- 築年数と、近いうちに来る大きな修繕が、道を分けるポイントになりやすい。
- 空いている部屋の数と、空いている期間も見ておく。
自分で管理するか、任せるか、売るかの答えは、物件の収支と建物の状態で大きく変わります。まずは1年分の数字を、紙に書き出してみてください。
例として、柏市内にある築35年・4戸の木造アパートを、仮の数字で考えてみます。家賃が1戸6万円なら、満室で1か月24万円、1年で288万円です。
ここから、毎年出ていくお金を引きます。下の表の金額も、計算の流れを見せるための仮の数字です。
| 出ていくお金 | 仮の数字(1年) | 中身 |
|---|---|---|
| 固定資産税・都市計画税 | 25万円 | 土地と建物にかかる税金 |
| 火災保険・地震保険 | 5万円 | 建物の保険 |
| 共用部の電気代・清掃 | 6万円 | 廊下の照明、草取りなど |
| 修繕の備え | 40万円 | 給湯器の交換や、退去後の内装など |
| 合計 | 76万円 |
満室なら、手元に残るのは288万円から76万円を引いた212万円です。ただし、ここから所得税や住民税がかかります。
注意したいのは空室の影響で、4戸のうち1戸が半年空くと、家賃は36万円減ります。築年数が進むと、外壁や屋根の塗り直しのように、まとまったお金がかかる修繕も控えています。空き部屋がある場合は、引っ越しが増える1〜3月の前に、募集を誰がするかを決めておきたいところです。
親が残した通帳や修繕の記録から、こうした数字を拾い集めておきましょう。収支の見方は、『アパートの利回りはどう計算する?|表面・実質利回りと収支の見方』も参考になります。
自分で管理・任せる・売るを、手間・費用・リスクで比べる
この章の要点
- 自分で管理すると費用は抑えられるが、時間と気持ちの負担が大きくなる。
- 任せると手数料はかかるが、日々の対応と家賃の管理を手放せる。
- 売ると管理の悩みはなくなるが、家賃収入も物件も手元を離れる。
3つの道は、どれが正解というものではなく、何を手放し、何を手元に残すかの違いです。手間・費用・リスクで並べると、次のようになります。
| 比べる点 | 自分で管理する | 管理会社に任せる | 売る |
|---|---|---|---|
| 手間 | 家賃の確認、入居者の相談、修繕の手配、更新、退去の立ち会いまで自分で行う | 方針を決めることと、報告の確認が中心 | 売るまでの準備と手続き。売ったあとは手を離れる |
| 費用 | 管理手数料はかからない。修繕や募集の費用は自分で手配する | 管理手数料がかかる。修繕などは別に負担する | 仲介手数料や登記の費用。売って利益が出れば税金も |
| リスク | 夜や休日の連絡に出られないと、入居者の不満や退去につながりやすい | 任せる会社によって、対応の早さや報告の質が変わる | 売る時期や入居の状況で、価格が変わる |
| 家賃収入 | 経費を除いて手元に残る | 手数料を引いた額が手元に残る | 売った時点で終わる |
| 向いている方 | 物件の近くに住み、時間に余裕がある | 遠くに住んでいる、仕事がある、兄弟で共有している | 持ち続ける人がいない、大きな修繕が近い |
表の中で見落としやすいのが、自分で管理するときの「時間」です。手数料はかからなくても、電話や立ち会いに使う時間は戻ってきません。
反対に、売る道は一度に答えが出るぶん、あとから戻ることができません。思い出のある貸家なら、なおさら慎重に考えたいところです。
この3つは、どれか一つに決めきらなくても構いません。まず任せて様子を見てから数年後に売る、募集だけを頼んでふだんの管理は自分でする、といった組み合わせもできます。
自分で管理するなら、「近さ」と「夜の電話」を考える
この章の要点
- 大家の仕事は、家賃・入居者・建物・契約の4つに分かれる。
- 続けられるかどうかは、物件までの距離と、急な連絡に出られるかで決まりやすい。
- 募集や退去の立ち会いなど、一部だけ頼む方法もある。
自分で管理する道が向いているのは、物件の近くに住み、急な連絡に動ける方です。親の代から入居者と顔なじみなら、その関係を生かせる良さもあります。
一方で、大家の仕事は思った以上に幅があります。
| 分野 | 主な仕事 |
|---|---|
| 家賃 | 入金の確認、遅れたときの連絡、1年分の記録 |
| 入居者 | 設備の故障や騒音の相談、近所からの苦情への対応 |
| 建物 | 共用部の掃除や草取り、点検、修繕の手配 |
| 契約 | 入居者の募集と審査、契約、更新、退去の立ち会いと敷金の精算 |
なかでも負担になりやすいのが、時間を選ばない連絡です。例えば、冬の夜に「お湯が出ない」と電話が来たとします。給湯器の修理業者を探し、入居者に見通しを伝え、費用を払う。翌朝まで待ってもらうのは、なかなか難しいものです。
距離も大切な目安です。柏や我孫子の物件にすぐ駆けつけられるのか、東京や遠方に住んでいて月に一度行くのがやっとなのか。それによって、続けやすさは大きく変わります。
毎月の家賃の確認も、思いのほか手間がかかります。入金が遅れている部屋があれば、まず連絡をして、いつ払えるかを聞きます。親しい間柄ほど、言い出しにくいと感じる方もいるでしょう。
すべてを自分でするのが難しければ、一部だけ頼む方法もあります。入居者の募集だけ、退去の立ち会いだけ、といった頼み方です。どこまで任せられるかは、次の章でくわしく見ていきます。
任せるなら、「どこまで」と「報告の形」を確かめる
この章の要点
- 任せられる仕事は、募集・契約・家賃の受け取り・入居者対応・退去まで幅広い。
- 登録を受けた管理会社は、契約の前に、仕事の中身と報酬を書面で説明することになっている。
- 親の代からの管理会社がいれば、まず契約書を確かめ、相続したことを伝える。
管理会社に任せる道が向いているのは、遠くに住んでいる方、仕事を続けている方、兄弟で共有している方です。初めて大家になった方にとっても、心強い選び方です。
任せるときに大切なのは、何をどこまで頼むかを、契約の前にはっきりさせることです。国の決まりも、その手順を定めています。
「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」という法律があります。簡単に言うと、アパートなどの管理を引き受ける会社が守るルールです。国土交通省の案内では、登録を受けた管理会社に、次のことが求められています。
- 契約の前に、報酬と管理の中身・やり方を書面で説明する。
- 家賃や敷金を、会社自身のお金と分けて管理する。
- 少なくとも年1回以上、オーナーに管理の状況を報告する。
報告の中身は、家賃の受け取りの状況や修繕の実施、入居者からの苦情とその対応などです。遠くに住んでいても、物件の様子を知る手がかりになります。
晃南土地の賃貸管理で受け持つ仕事も、紹介しておきます。
- 入居者の募集と、契約の手続き
- 家賃の受け取りと送金、明細づくり、滞納の確認
- 更新や名義変更の手続き
- 入居者や近所の方からの相談、設備の不具合への対応、定期的な見回り
- 退去の立ち会いと敷金の精算、次の募集に向けたリフォームの手配
親の代の管理会社から切り替えるか迷っている方も、初めて任せる方も、まずは中身を見比べてみてください。自分で管理する場合と任せる場合の違いは、「晃南土地」の賃貸管理で任せられる仕事と比較表で確かめられます。
費用は、仮の数字で考えてみます。晃南土地の賃貸管理のページには、家賃の合計の5%に消費税を加えた額で、管理手数料を計算した例が載っています。第2章の仮の数字(月24万円)に当てはめると、1か月1万3,200円、1年で15万8,400円です。実際の金額は、物件や任せる範囲によって変わります。
親が管理会社に任せていた場合は、まずその契約書を確かめます。相続のあとに契約がどう続くかは、契約書の定めによって変わるためです。管理会社に相続したことを伝え、報告の宛先や家賃の送金先を、相続人に切り替えてもらいましょう。
そのうえで、対応に満足できているかを1年ほど見てから、続けるか見直すかを決めても遅くはありません。任せるまでの手順は、『賃貸管理を任せる流れ|相談から管理開始までの手順と準備』で順を追って説明しています。
売るなら、「入居者がいるまま」か「空いてから」か
この章の要点
- 入居者がいるまま売ると、貸主の立場と敷金を返す役目は買主に移る。
- 入居者に出てもらってから売るには、正当な理由が要り、時間もかかる。
- 入居者に貸していた家は、空き家の3,000万円控除の対象にならない。
売る道を選ぶなら、まず「入居者がいるまま売るか、空いてから売るか」を考えます。相続した貸家では、入居者がいるまま売る方法が、現実的な選び方になりやすいでしょう。
入居者がいるまま売る場合、民法第605条の2により、貸主の立場は買主に移ります。敷金を返す役目も、買主が引き継ぎます。簡単に言うと、入居者は同じ条件のまま住み続け、大家だけが替わる形です。
このときの買い手は、家賃収入を目当てにする方が中心になるでしょう。そのため、価格は家賃の合計や入居の状況から見られやすくなります。満室で、家賃の記録がきちんと残っている物件なら、買い手への説明もしやすいものです。
一方、入居者に出てもらってから売る道は、時間がかかります。期間が来たら終わる「定期借家契約」でなければ、借地借家法により、大家から更新を断るには正当な理由が要ります。更新しないと伝える時期も、期間が満了する1年前から6か月前までと決まっています。「売りたいから」という大家の都合だけで出てもらうのは、難しいと考えておきましょう。親の代の契約がどちらの種類かは、契約書の表題や更新の条文を見ると見当がつきます。
税金の面でも、知っておきたいことがあります。
| 特例 | 相続した貸家での扱い |
|---|---|
| 空き家を売ったときの3,000万円特別控除 | 亡くなる直前に親が住んでいた家が対象。入居者に貸していた家は対象外 |
| 相続財産を売ったときの取得費の特例 | 相続税がかかった方が、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日(亡くなってからおよそ3年10か月)までに売ると使える |
取得費の特例は、簡単に言うと、払った相続税の一部を、売ったときの経費に加えられる仕組みです。どちらにも細かな条件があります。どの特例が使えるか、税金がいくらになるかは、税理士などの専門家と連携して確かめながら進めます。
なお、売るときは、先に相続登記で名義を相続人に変えておくことになります。築年数が進んだアパートなら、建て替えや大きな手直しとも比べてみてください。くわしくは『築40年のアパートどうする?|建て替え・リノベ・売却を比べる』で紹介しています。
兄弟で相続したら、「決め方のルール」を先に知る
この章の要点
- 遺産分割がまとまるまで、貸家は相続人みんなの共有になる。
- ふだんの管理は持分の過半数で決められるが、空き部屋に入居者を迎える契約は、基本的に全員の同意が要る。
- 窓口を一人に決め、家賃の受け取り方を書面に残すと、もめにくい。
兄弟で相続したときは、何を決めるかによって、要る同意の数が変わります。このルールを先に知っておくと、話し合いを進めやすくなります。
民法第898条により、相続人が何人かいるときは、遺産分割がまとまるまで、相続した財産はみんなの共有になります。共有の物の扱いは、2023年4月に民法の決まりが変わり、分かりやすく整理されました。法務省の解説をもとに、主な場面をまとめると次のとおりです。
| 決めたいこと | 要る同意の目安 |
|---|---|
| 雨漏りの応急の修理など、今の状態を保つこと | 一人でもできる |
| 管理の方針を決める、共有の物の管理者を選ぶ | 持分の過半数 |
| 外壁や屋上の防水など、形や用途を大きく変えない修繕 | 持分の過半数 |
| 空き部屋に、更新のある普通の賃貸借契約で入居者を迎える | 基本的に全員 |
| 物件全体を売る | 全員 |
例えば、3人きょうだいで3分の1ずつ相続したとします。2人が賛成すれば、管理のことは決められます。ただ、空いた部屋に新しい入居者を迎える契約は、基本的に3人全員の同意が要ります。借地借家法が適用される賃貸借は、決めた期間で終わるとは限らないため、法務省の解説ではこう扱われています。
家賃の扱いにも、気をつけたい点があります。遺産分割がまとまるまでの家賃は、相続分に応じて各相続人のものになる、とした最高裁判所の判断があります。国税庁も、分割が決まるまでの家賃収入は、法定相続分に応じて各相続人が申告すると案内しています。
代表者の口座でまとめて受け取る場合も、あとで分ける割合と時期を、書面に残しておくと安心です。家賃の分け方は、次の記事でくわしく説明しています。
『相続した物件を「兄弟で」貸している方へ|共有名義の家賃分配、曖昧なままにしていませんか?』
身近な場面として、近くに住む一人が窓口になり、遠方のきょうだいは報告を受ける形を考えてみます。このとき、修繕を誰の判断で頼むか、いくらまでなら事後の報告でよいかを決めておくと、行き違いが減ります。管理会社に任せる場合も、窓口を一人に決めておくと、やり取りがすっきりします。
相続登記と税金の期限を、一枚の表にまとめる
この章の要点
- 相続登記は、取得を知った日から3年以内。2024年4月より前の相続は、原則2027年3月31日まで。
- 親の所得の申告は4か月以内、相続税の申告は10か月以内が期限。
- 家賃を受け取った年は、相続人に確定申告が要ることがある。
管理の道を選ぶあいだにも、期限のある手続きは進んでいきます。相続した貸家に関わる主な期限を、一枚の表にまとめました。
| 手続き | 期限の目安 | ひとこと |
|---|---|---|
| 親の所得の申告(準確定申告) | 相続の開始を知った日の翌日から4か月以内 | 亡くなった年の1月1日から亡くなった日までの所得が対象 |
| 青色申告の承認申請(親が青色申告をしていた場合) | 亡くなった日が1月1日〜8月31日なら、死亡の日から4か月以内など | 引き継いだ相続人が青色申告をしたい場合に、自分で申請する |
| 相続税の申告 | 亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内 | 相続税がかかる場合 |
| 相続登記 | 相続で取得したことを知った日から3年以内(2024年4月1日より前の相続は、原則として2027年3月31日まで) | 正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象 |
| 遺産分割のあとの登記 | 遺産分割が成立した日から3年以内 | 分け方が決まったら、その内容で登記する |
| 家賃収入の確定申告 | 原則として翌年2月16日から3月15日まで | 分割前は、法定相続分に応じて各相続人が申告する |
表の中で、いま気にかけておきたいのが相続登記です。2024年4月1日より前に親が亡くなり、名義がそのままなら、期限は原則として2027年3月31日です。2026年10月の時点で、残りは半年ほどです。相続で取得したことを知ったのが2024年4月以降なら、その日から3年以内になります。
兄弟で分け方が決まらないときは、「相続人申告登記」という方法もあります。簡単に言うと、自分が相続人であることを、登記官に申し出る手続きです。3年以内に申し出れば、申し出た相続人は、相続登記の義務を果たしたことになります。ただし、のちに遺産分割がまとまったら、その日から3年以内に、内容に沿った登記の申請が必要です。
税金の期限は、相続税がかかるかどうかや、親の申告の仕方で変わります。どの手続きが要るかは、税理士などの専門家と連携して確かめながら進めます。家賃を受け取る1年目は、経費の記録も大切です。
管理を任せている場合は、管理会社から届く明細や報告書が、申告の準備に役立ちます。晃南土地の賃貸管理では、年間の収支報告書など、経費の計算に使う書類をご用意しています。税理士への引き継ぎもしやすい形です。
家賃の記録を一から自分でまとめるのは、不安なものです。そんな方は、年間の収支報告書づくりまで任せられる「晃南土地」の賃貸管理をご覧ください。経費の考え方は、次の記事でも紹介しています。
『相続や転勤で初めて大家になった方へ|賃貸経営の確定申告、知らないと損する経費のキホン』
迷ったら、3つの問いで道を選ぶ
この章の要点
- 「誰が持ち続けるか」「物件に通えるか」「先の修繕に備えられるか」の3つで考える。
- 答えが出ないうちは、まず任せて1年回し、その間に家族で方針を決める方法がある。
- 売るかどうかは、名義と税の期限を見ながら、急がずに決める。
ここで、自分で管理するか、任せるか、それとも売るかという、はじめの問いに戻ります。次の3つの問いに答えると、向いている道が見えてきます。
| 問い | 「はい」なら | 「いいえ」なら |
|---|---|---|
| この貸家を持ち続ける人は決まっているか | 自分で管理するか、任せるかを考える | 家族で話し合い、売ることも含めて考える |
| その人は物件の近くに住み、急な連絡に出られるか | 自分で管理する道も選べる | 任せる道が向いている |
| 10年先までの大きな修繕に、お金の備えはあるか | 持ち続けやすい | 修繕の時期を見ながら、売ることも考える |
答えを一言でまとめると、次のとおりです。
- 自分で管理する:物件の近くに住み、時間があり、入居者とのやり取りが苦にならない方。
- 任せる:遠くに住んでいる、仕事がある、兄弟で共有している、初めて大家になった方。
- 売る:持ち続ける人がいない、兄弟でお金に換えて分けたい、大きな修繕が近い方。
お金の面も、仮の数字で比べておきます。自分で管理すれば、管理手数料の分だけ手元に多く残ります。任せた場合の手数料は、第5章の仮の計算で1年15万8,400円でした。「年に約16万円で、夜の電話と家賃の管理を手放せるか」と考えると、判断しやすくなります。
それでも決めきれないときは、まず任せて1年、入居者がいるまま回してみる方法があります。その1年で収支と建物の様子が数字で見えてきますし、家族の気持ちが落ち着くための時間にもなります。売るかどうかは、そのあとに相続登記や税の期限を見ながら決めても、遅くはありません。
今日からできること3つ
この章の要点
- 連絡先を確かめる、書類を一か所に集める、家族で窓口を決める。
- どれも、管理の道を決める前に始められることばかり。
大きな決断の前に、今日から手を付けられることがあります。次の3つを、順番に進めてみてください。
1. 管理会社と入居者の連絡先を確かめる。親の手帳や通帳、郵便物に手がかりがあります。管理会社がいれば、相続したことを伝えます。
2. 書類を一つの箱にまとめる。賃貸借契約書、通帳、保険証券、固定資産税の通知書を集めます。修繕の領収書があれば、それも一緒にします。
3. 兄弟で「誰が窓口か」と「家賃をどこで受け取るか」を決める。決めた内容は、メモでよいので書面に残します。
ここまで進めば、自分で管理・任せる・売るのどれを選ぶにしても、話が早くなります。相続全体の相談先を一つにまとめたい方は、『柏で不動産を相続した方へ|相談先を一つにまとめる進め方』をご覧ください。
こんなときは、晃南土地にご相談ください
次のような場面では、一人で抱え込まず、一度ご相談ください。
- 親の代からの管理会社に、このまま任せてよいか分からない。
- 遠くに住んでいて、入居者からの連絡にすぐ動けない。
- 兄弟で共有になり、家賃の受け取り方や窓口が決まっていない。
- 空室や古い設備が気になり、貸し続けるか売るかで迷っている。
お話をうかがったうえで、管理の進め方をご一緒に考えます。ご相談は無料です。相続した貸家の管理について「晃南土地」に相談する
よくある質問
Q. 親の貸家を相続しました。何から始めればいいですか?
A. まず、家賃がどの口座に振り込まれているかと、管理会社がいるかを確かめてください。この2つが分かれば、入居者への連絡や家賃の受け取り方を決められます。売るか持ち続けるかは、そのあとで考えても間に合います。
Q. 遠くに住んでいても、大家を続けられますか?
A. はい、管理会社に任せれば、遠くに住んでいても大家を続けやすくなります。登録を受けた管理会社は、少なくとも年1回以上、オーナーに管理の状況を報告することになっています。報告の頻度や受け取り方は、契約の前に相談して決めておくと安心です。
Q. 兄弟の一人が「すぐ売りたい」と言っています。どうすればいいですか?
A. まずは、売る場合と持ち続ける場合の手取りを、同じ表で見比べることから始めてみてください。兄弟で共有している間は、物件全体を売るのに相続人全員の同意が要るため、数字をそろえて話し合うのが近道です。話し合いがまとまるまでの間も、入居者の対応は続きます。その間の窓口と管理の方法だけは、先に決めておきましょう。
Q. 入居者に出てもらってから売ることはできますか?
A. 大家の都合だけで出てもらうのは、難しいと考えておいてください。定期借家ではない普通の契約なら、借地借家法により、更新を断るにも正当な理由が要ります。入居者がいるまま売る方法もあるので、まずは両方の進め方を比べてみるのがおすすめです。
Q. 相談したら、管理を任せないといけませんか?
A. いいえ、ご相談だけでも大丈夫です。「任せたら手元にいくら残るのか」を知りたい、というご相談も歓迎しています。まずは物件の場所と戸数、いまの入居の状況をお聞かせください。
まとめ
親の貸家を相続した日から、入居者がいる限り、大家の役目は続いていきます。この記事のポイントを振り返ります。
- 最初にやることは、管理会社と家賃の振込口座を確かめ、入居者が困らない状態を保つこと。
- 貸主の立場と、敷金を返す役目は、相続人がそのまま引き継ぐ。
- 自分で管理すると費用は抑えられるが、時間と急な連絡の負担が大きい。
- 任せると手数料はかかるが、日々の対応と家賃の管理を手放せる。
- 売るなら、入居者がいるまま売る方法が現実的になりやすい。入居者に貸していた家は、空き家の3,000万円控除の対象外。
- 兄弟の共有では、空き部屋に入居者を迎える契約は基本的に全員、物件全体の売却は全員の同意が要る。
- 相続登記は3年以内。2024年4月より前の相続は、原則として2027年3月31日まで。
「自分で管理?任せる?それとも売る?」への答えは、物件までの距離と、持ち続ける人がいるかで分かれます。近くに住んで急な連絡に動けるなら自分で、遠くに住んでいたり兄弟で共有していたりするなら任せる。持ち続ける人がいなければ、売ることも考えます。迷うなら、まず任せて入居者のいるまま1年回し、売るかどうかは家族の方針が固まってから決める。急いで答えを出さないことも、大切な選び方の一つです。
「うちの貸家の場合はどうか、聞いてみたい」と思われた方もいらっしゃるでしょう。ご都合に合わせて、次のいずれかからお進みください。
まずは状況だけ伝えたい方は、柏・我孫子の相続した貸家について「晃南土地」に問い合わせるからどうぞ。
書類を持って対面で話したい方は、総合不動産「晃南土地」我孫子店への来店予約をご利用ください。
任せた場合の仕事の範囲を先に知りたい方は、「晃南土地」の賃貸管理サービスの内容をご覧ください。
晃南土地は、2026年12月に柏駅から徒歩6分の柏市中央町に、柏支店を開業する予定です。開業までの来店でのご相談は、我孫子店でお受けしています。くわしくは「晃南土地」柏支店のページをご覧ください。
ご連絡の際は、「まだ何も決めていない」と添えてください。管理の契約や売却を前提とせず、状況の整理からお手伝いします。
企画構成・文/晃南土地 編集部
千葉県我孫子市を拠点に、1991年から地域の不動産に携わる晃南土地株式会社の編集部です。売買・賃貸・賃貸管理・買取り・リノベーションを一社で手がける立場から、柏・我孫子エリアの住まいと不動産の情報を、分かりやすくお届けします。
参考にした公的データ・情報
- 相続登記の申請義務化について/法務省
- 令和3年民法・不動産登記法改正、相続土地国庫帰属法のポイント(令和8年4月版)/法務省民事局
- 民法/e-Gov法令検索
- 借地借家法/e-Gov法令検索
- 管理業者の業務(賃貸住宅管理業法ポータルサイト)/国土交通省
- No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)/国税庁
- No.2070 青色申告制度/国税庁
- No.4205 相続税の申告と納税/国税庁
- No.2020 確定申告/国税庁
- No.1376 不動産所得の収入計上時期(未分割遺産から生ずる不動産所得)/国税庁
- No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例/国税庁
- No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例/国税庁