柏に実家がある方へ|相続税がかかるかの判定と概算の手順
お正月に兄弟が柏の実家にそろうと、親の家の話になることがあります。「この家と土地で、相続税はかかるのかな」。誰もはっきり答えられないまま、話が次の年に持ち越される。そんなご家庭もあるのではないでしょうか。
見当をつけるための道具は、手元の書類と、国税庁が公開している地図です。千葉県柏市に実家がある方のために、千葉県我孫子市に本社を置く晃南土地の編集部が、その使い方を順番にまとめました。晃南土地は、1991年の設立から我孫子を拠点にしてきた不動産会社です。家や土地の売買から、賃貸・管理・買取り・リノベーションまでを、一社で手がけています。相続で引き継いだ家や土地についても、多くのご相談をお受けしています。
読み終えると、次の3つが分かります。
- 相続税がかかるかどうかの「線」の引き方
- 国税庁の地図(柏市の路線価図)で、実家の土地の値段の見当をつける方法
- 税金が軽くなる特例を使えるかと、申告が要るかどうかの目安
なお、この記事の試算はすべて仮の数字です。実際の税額を確かめるときは、晃南土地が税理士などの専門家と連携してお手伝いします。途中で「うちの場合はどうだろう」と迷ったら、柏の実家の相続について「晃南土地」に問い合わせることもできます。
柏の実家で相続税はかかる?まず「基礎控除」と比べる
この章の要点
- 財産の合計が基礎控除の額までなら、相続税の申告も納税も要らない。
- 基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で決まる。
- 千葉県では、亡くなった方の約9人に1人が相続税の対象になっている(2024年)。
「うちは普通の家だから、関係ないはず」。そう思いながらも、どこか気になっている方もいらっしゃるでしょう。
相続税がかかるかどうかは、最初に一本の線を引くと見えてきます。その線が「基礎控除」です。簡単に言うと、「ここまでは相続税がかからない」という枠のことです。
財産の合計がこの枠に収まれば、相続税の申告も納税も要りません。枠を超えたときに、超えた分に税金がかかる仕組みです。基礎控除の額は、次の式で計算します。
3,000万円+600万円×法定相続人の数
法定相続人とは、法律で決まっている相続人のことです(数え方は次の章で説明します)。人数ごとの額は、次のとおりです。
| 法定相続人の数 | 基礎控除の額 |
|---|---|
| 1人 | 3,600万円 |
| 2人 | 4,200万円 |
| 3人 | 4,800万円 |
| 4人 | 5,400万円 |
たとえば、父が亡くなり、母と子ども2人が相続する場合は3人です。財産の合計が4,800万円までなら、相続税はかかりません。
では、実際にどのくらいの人が対象になっているのでしょうか。国税庁の集計では、2024年に亡くなった方のうち、相続税の対象になったのは全国で10.4%でした。東京国税局がまとめた千葉県の数字は11.3%で、およそ9人に1人です。
千葉県で相続税がかかった申告を見ると、財産のうち土地が約3割、現金や預貯金が約4割です(2024年分)。土地は、預金と並ぶ大きな柱です。柏市に実家がある場合も、「関係ない」と決めつけずに、一度は数字で確かめておくと安心です。
相続人は何人?家族の形で変わる人数の数え方
この章の要点
- 配偶者はいつも相続人。そのほかは「子→親→兄弟姉妹」の順で決まる。
- 相続を放棄した人がいても、基礎控除の人数には含めて数える。
- 父の相続と母の相続では、人数が変わる場合がある。
「兄弟は3人だけど、母もいるから4人?」。基礎控除の人数は、家族の形によって変わります。
亡くなった方の配偶者は、いつも相続人になります。配偶者のほかは、次の順番で相続人が決まります。
1. 子ども(子どもが先に亡くなっていれば、その子である孫)
2. 父母などの親(子どもも孫もいないとき)
3. 兄弟姉妹(子どもも親もいないとき)
気をつけたいのは、相続を放棄した人の扱いです。基礎控除の人数は、放棄がなかったものとして数えます。養子がいる場合は、人数に入れられる数に上限があり、実の子がいれば1人まで、いなければ2人までです。
| 家族の形(仮) | 法定相続人 | 人数 | 基礎控除 |
|---|---|---|---|
| 父が亡くなり、母と子2人が残った | 母・子2人 | 3人 | 4,800万円 |
| その後、母が亡くなった | 子2人 | 2人 | 4,200万円 |
| 子が1人で、親はもう亡くなっている | 子1人 | 1人 | 3,600万円 |
| 子のいない夫婦の夫が亡くなり、夫の親もいない | 妻・夫の兄弟姉妹(例:2人) | 3人 | 4,800万円 |
見落としやすいのは、父の相続では税金がかからなかったのに、母の相続で枠を超える場面です。母の相続では相続人が1人減るうえ、父から引き継いだ家や預金が、母の財産に加わっているためです。
最初の相続(一次相続)のあとに続く相続を、二次相続と呼びます。先を見通す考え方は、『一次相続だけで決めない|二次相続まで見据えた実家の引き継ぎ方』でも紹介しています。
財産の合計に入れるもの、差し引けるもの
この章の要点
- 家と土地のほか、預貯金・株・死亡保険金なども合計に入れる。
- 借入金や葬式費用は、合計から差し引ける。
- 死亡保険金と死亡退職金には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠がある。
相続税の対象は、実家の家と土地だけではありません。親名義の通帳や、親が掛けていた生命保険も、合計に入ってきます。
基礎控除と比べる合計を、国税庁は「正味の遺産額」と呼んでいます。ひと言でいえば、プラスの財産からマイナスを引き、一部の贈与を足し戻した額です。何を入れて、何を引くのかを表にまとめました。
| 区分 | 主なもの | 手がかりになる書類 |
|---|---|---|
| 入れるもの | 家・土地(評価のしかたは次の章から) | 固定資産税の課税明細書、権利証 |
| 入れるもの | 預貯金・株・投資信託 | 通帳、証券会社の取引報告書 |
| 入れるもの | 死亡保険金・死亡退職金(非課税枠を超えた分) | 保険証券、勤め先からの通知 |
| 足し戻すもの | 亡くなる前の一定の期間に受けた贈与 | 贈与の記録、通帳の振込記録 |
| 差し引けるもの | 借入金、未払いの税金や医療費 | ローンの残高証明、請求書 |
| 差し引けるもの | 葬式費用(香典返しや法事の費用は除く) | 葬儀社などの領収書 |
死亡保険金の非課税枠は、受取人が相続人の場合に使えます。相続人が3人なら、1,500万円までは合計に入れずに済みます。死亡退職金にも、同じ額の非課税枠が別にあります。
贈与の足し戻しは、相続で財産を受け取る人が、亡くなった方から生前にもらった分が対象です。2026年中に始まる相続では、亡くなる前3年以内の贈与を足します。贈与税がかからない年110万円以下の贈与も、この期間内なら足し戻します。
なお、この期間は2027年以降の相続から段階的に延び、2031年からは7年になります。相続時精算課税(生前の贈与を、相続のときにまとめて精算する制度)を選んで受けた贈与も、合計に加えます。2024年以降に受けた分は、年110万円を差し引いた残りを加えます。
実家の土地は「路線価」で見当をつける
この章の要点
- 相続税では、土地を「路線価」か「倍率」のどちらかで評価する。
- 路線価は道路に面した土地1㎡あたりの価格で、毎年7月ごろ公開される。
- 路線価で出した額は、実際に売れる値段とは別の「税金用の値段」。
「土地の値段なんて、不動産屋さんに聞かないと分からないのでは?」。相続税の計算に使う土地の値段は、国が公開している数字から、自分でも見当をつけられます。
相続税では、土地の評価のしかたが2つ決まっています。
| 方法 | 使う地域 | 計算のしかた |
|---|---|---|
| 路線価方式 | 路線価が決まっている地域(柏市では駅の周りや住宅街など) | 路線価×補正率×面積 |
| 倍率方式 | 路線価がない地域(柏市では市街化調整区域の一部など) | 固定資産税の評価額×倍率 |
路線価とは、道路(路線)に面した標準的な土地の、1㎡あたりの価格のことです。国税庁が毎年1月1日時点の価格として決め、2026年分は7月1日に公開されました。使うのは亡くなった年の路線価で、2026年中の相続なら2026年分(令和8年分)を見ます。親が元気なうちに見当をつけるなら、公開されている最新の年分を使います。
路線価は、国が毎年公表する地価公示価格などの8割程度を目安に決められています。そのため、実際に売れる値段とは、ずれることがあります。売れる値段との違いは、『相続した柏の実家はいくらで売れる?|相続税評価と実際の価格の違い』にまとめました。この記事では、相続税がかかるかを判定するための「税金用の値段」に絞ってお話しします。
柏市の路線価の水準を、ひとつ見てみましょう。東京国税局の発表では、柏税務署の管内でもっとも高い路線価は、柏駅東口のハウディモール沿い(柏市柏1丁目)でした。2026年分は1㎡あたり170万円で、前の年より4.9%上がっています。
もちろん、これは駅前の商店街の数字で、住宅街の路線価はこれよりずっと低くなります。次の章で、実家の前の道の数字を探してみましょう。
柏市の路線価図はどう見る?開き方と読み方
この章の要点
- 国税庁の「路線価図・評価倍率表」のページで、柏市の町名から探せる。
- 「135D」は、1㎡あたり13万5千円という意味(Dは借地権の割合)。
- 町名が一覧にないときは、その土地は倍率で評価する地域。
路線価図は、パソコンかタブレットがあれば、国税庁のホームページでどなたでも無料で見られます。印刷して、兄弟で集まるときに持っていくこともできます。開き方は、次の順番です。
1. 国税庁の「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」を開く
2. 「令和8年分」を選び、日本地図から「千葉県」を選ぶ
3. 「路線価図」を選び、市区町村の一覧から「柏市」を選ぶ
4. 町名の一覧(五十音順)から、実家の町名を探す
5. 町名の横にある5けたの番号(路線価図のページ番号)を選ぶ
たとえば「柏1」の横には、14095、14101、14102の3つの番号が並んでいます。一つの町が、何枚かの地図にまたがっているためです。地図の中の丸で囲んだ数字は、住所の「○番」にあたる街区の番号です。丁目とこの番号を手がかりに、実家の場所を探します。
場所が見つかったら、家の前の道に書かれた数字を読みます。単位は千円で、1㎡あたりの価格を表しています。
| 表示の例 | 読み方 |
|---|---|
| 135D | 1㎡あたり13万5千円。借地権の割合は60% |
| 1,700B | 1㎡あたり170万円。借地権の割合は80% |
| 数字が丸や楕円などの記号で囲まれている | 商業地や工場地など、地区の種類を表す |
| 記号がなく、数字だけ | 普通住宅地区(ふつうの住宅地) |
数字のあとのアルファベットは、借地権(土地を借りて家を建てる権利)の割合で、AからGまでの7段階あります。親が自分で住んでいた土地なら、この記号は計算に使いません。人に貸していた土地は、別の計算になります。アパートの敷地の場合は、『アパートの相続税評価はどう決まる?|貸家建付地と空室の影響』をご覧ください。
実際に柏駅東口の地図(ページ番号14102)を開くと、駅前の通りには「1,700B」とあります。少し離れた柏7丁目の住宅街の道には、「130D」「135D」といった数字が並んでいます。同じ1枚の地図でも、駅からの距離や道の性格で、数字が大きく変わることが分かります。
町名の一覧に、実家の町名が見当たらないこともあります。その土地は、路線価のない「倍率地域」です。評価のしかたは、このあとの「家と、路線価のない土地」の章で説明します。
路線価から、土地の評価額を出してみる
この章の要点
- 基本は「路線価×面積」。土地の形や奥行きで補正する。
- 住宅地で奥行きが10m以上24m未満なら、奥行きの補正はかからない。
- 角地や形のいびつな土地、500㎡以上の広い土地は、評価が上下する。
「数字は分かった。では、うちの土地はいくらになる?」。ここでは、仮の数字で計算の流れを見てみます。路線価方式の計算は、次の式が基本です。
路線価×補正率×土地の面積=土地の評価額
仮に、普通住宅地区で前の道の路線価が「135D」、面積が160㎡、奥行きが15mの土地だとします。普通住宅地区で奥行きが10m以上24m未満なら、奥行きの補正率は1.00です。
135,000円×1.00×160㎡=2,160万円
これが、相続税の計算に使う土地の評価額の目安です。面積は、固定資産税の課税明細書か、登記事項証明書(土地の登記の記録)で確かめられます。
土地の条件によっては補正が入るので、主なものを表にまとめました。数字は、国税庁の調整率表にある普通住宅地区の例です。
| 土地の条件 | 評価への影響(普通住宅地区の例) |
|---|---|
| 奥行きが10m以上24m未満 | 補正なし(1.00) |
| 奥行きが10m未満 | 少し下がる(0.90〜0.97) |
| 角地(2つの道に面している) | 横の道の路線価×0.03ほどを上乗せ |
| 間口が8m未満 | 下がる(0.90〜0.97) |
| 形がいびつ(旗ざお地など) | 形に応じて下がる |
| 広い土地(目安は500㎡以上) | 地域などの条件を満たすと下がる |
角地は少し高く、細長い土地や形のいびつな土地は低く評価される。そう覚えておくと、表の意味がつかみやすくなります。
ただ、角地や旗ざお地、広い土地の計算は込み入ります。間口や奥行きは、現地で測ってみないと分からないこともあります。概算の段階では、まず「路線価×面積」で大まかな見当をつけておきましょう。
土地の形や前の道の幅は、売るときの値段にも関わってきます。実家をいずれ売ることも考えている方は、「晃南土地」の不動産売却・査定のサービスもご覧ください。
家と、路線価のない土地は「課税明細書」で分かる
この章の要点
- 家(建物)の評価額は、固定資産税の評価額と同じ。
- 倍率地域の土地は「固定資産税の評価額×倍率」で出す。
- 課税明細書は、毎年4月上旬に届く固定資産税の納税通知書に付いている。
家(建物)の評価は、土地よりずっと簡単です。相続税では、家の評価額は、固定資産税の評価額に1.0を掛けた額です。つまり、固定資産税の評価額がそのまま使えます。
この数字は、固定資産税の課税明細書に載っています。柏市では、毎年4月上旬に送られる納税通知書に、課税明細書が付いています。土地と家ごとに、面積や評価額が並んでいる書類です。まずは実家の書類の中から、この1枚を探してみてください。
課税明細書には、「評価額(価格)」と「課税標準額」が並んでいることがありますが、使うのは評価額のほうです。課税標準額は、住宅の土地の特例などで低くなった後の数字だからです。
親が亡くなったあとで課税明細書が見当たらないときは、相続人が市の固定資産課税台帳を閲覧することもできます。手続きや持ち物は、固定資産課税台帳の閲覧/柏市のページでご確認ください。
倍率地域の土地は、課税明細書の土地の評価額に、国税庁が地域ごとに決めた倍率を掛けます。柏市の評価倍率表(2026年分)では、市街化調整区域の宅地に、地域ごとの倍率が書かれています。たとえば、手賀の一部は1.1倍、戸張の市街化調整区域の一部は1.2倍です。
同じ町名でも、市街化区域は路線価、市街化調整区域は倍率、と分かれている場合があります。倍率表で「路線」と書かれている欄は、路線価で評価する地域という意味です。
計算の例(仮の数字)を見てみましょう。課税明細書の土地の評価額が1,000万円で、倍率が1.1倍だとします。この場合、1,000万円×1.1=1,100万円が評価額の目安です。
実家がマンションの場合は、敷地全体の評価額に、持ち分の割合を掛けて土地の分を出します。2024年1月以降の相続では、建物と土地の分に、さらに補正率を掛けて評価する場合もあります。
親が住んでいた土地は8割減らせる?特例の条件を確かめる
この章の要点
- 亡くなった方が住んでいた土地は、330㎡まで評価額を80%減らせる場合がある。
- 使えるのは、配偶者、同居していた親族、持ち家のない別居の親族など。
- 申告期限まで住み続ける・持ち続けるといった条件があり、申告しないと使えない。
「土地の評価額が2,000万円を超えたら、もう相続税は避けられない?」。そう考えるのは、まだ早いかもしれません。
親が住んでいた家の土地には、「小規模宅地等の特例」という制度があります。簡単に言うと、亡くなった方が住んでいた土地を家族が引き継ぐとき、330㎡までは評価額を80%減らせる制度です。前の章の2,160万円の土地なら、評価額は次のように変わります。
2,160万円×(1-0.8)=432万円
ただし、使えるかどうかは、誰が土地を引き継ぐかで変わります。主な条件を表にまとめました。
| 土地を引き継ぐ人 | 主な条件 |
|---|---|
| 配偶者(夫や妻) | 条件なし |
| 同居していた親族 | 亡くなる直前から申告期限まで住み続け、土地を持ち続ける |
| 別居の親族(いわゆる「家なき子」) | 亡くなった方に配偶者も同居の相続人もいない/3年以内に自分や配偶者などの持ち家に住んでいない/いま住んでいる家を持ったことがない/申告期限まで土地を持ち続ける、など |
表のとおり、自分や配偶者の持ち家に住んでいる別居の子は、この特例を使えません。たとえば、母が一人で暮らしていた柏の実家を、東京の持ち家に住む長男が引き継ぐ場面です。この場合、土地は減額されないまま計算します。
親が老人ホームに入っていた場合も、要介護認定などを受けて入所していたなら、もとの家の土地が対象になり得ます。ただし、空いた家を誰かに貸すなどすると、対象から外れる場合があります。
もう一つ大事なのは、この特例は申告して初めて使えることです。特例を使って相続税が0円になる場合も、申告書の提出が要ります。原則として申告期限までに、誰がどの土地を引き継ぐかを決めておくことも条件です。
同居の場合のくわしい条件は『同居していた親の家を相続したら|相続税の特例と売るタイミング』で説明しています。売る時期との関係も、同じ記事で取り上げています。親が元気なうちに知っておきたい点は、『親と同居中の方へ|実家を相続する前に知っておきたい税の特例』もご覧ください。
仮の数字で、相続税がかかるかを判定してみる
この章の要点
- 特例を使う前の合計が基礎控除を超えたら、申告が要る。
- 特例を使って税額が0円になっても、申告そのものは要る。
- 相続人が少ないほど基礎控除は小さくなり、税額が出やすい。
「結局、うちはどうなのか」。ここまでの手順を、3つの仮の家族に当てはめてみます。どれも柏市の住宅地を思い浮かべた仮の数字で、特定の家の話ではありません。
AさんとBさんの土地は、前の章と同じ2,160万円とします。Cさんの土地は、路線価15万円の道に面した200㎡で、3,000万円とします。
| 項目 | Aさん一家 | Bさん一家 | Cさん一家 |
|---|---|---|---|
| 亡くなった人 | 父 | 母(父はすでに他界) | 母(父はすでに他界) |
| 相続人 | 母・子2人(3人) | 子2人(2人) | 子1人(1人) |
| 土地 | 2,160万円 | 2,160万円 | 3,000万円 |
| 家 | 300万円 | 300万円 | 200万円 |
| 預貯金など | 1,500万円 | 2,000万円 | 3,000万円 |
| 葬式費用など | -150万円 | -100万円 | -200万円 |
| 特例を使う前の合計 | 3,810万円 | 4,360万円 | 6,000万円 |
| 基礎控除 | 4,800万円 | 4,200万円 | 3,600万円 |
| 判定 | 枠の内側(申告も納税もなし) | 160万円超える(申告が要る) | 2,400万円超える(申告と納税が要る) |
超えた分にかかる税率は、国税庁の「速算表」で決まります。超えた額を法定相続分(法律で決まった分け方の割合)で分け、一人ずつ当てはめる仕組みです。
| 法定相続分で分けた一人分の額 | 税率 | 差し引く額 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 10% | なし |
| 1,000万円超〜3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 3,000万円超〜5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 5,000万円超〜1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 1億円超〜2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
| 2億円超〜3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
| 3億円超〜6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7,200万円 |
Aさん一家は、合計3,810万円が基礎控除4,800万円の内側です。相続税はかからず、申告も要りません。母が受け取った死亡保険金600万円は、非課税枠の1,500万円に収まるため、合計に入れていません。
Bさん一家は、合計4,360万円で、基礎控除を160万円超えます。特例を使わない場合の計算は、次のとおりです。
1. 160万円を、子2人の法定相続分(半分ずつ)で分ける:1人80万円
2. 80万円×10%=8万円:2人分で16万円
ここで、母と同居していた子が土地を引き継ぎ、特例が使えるとします。土地は432万円になり、合計は2,632万円です。基礎控除の内側なので、相続税は0円になります。ただし、特例を使う前の合計が基礎控除を超えているので、申告は要ります。
Cさん一家は、合計6,000万円で、基礎控除を2,400万円超えます。子は東京の持ち家に住んでいて、特例は使えないとします。
1. 相続人は1人なので、2,400万円がそのまま一人分:税率15%、差し引く額50万円
2. 2,400万円×15%-50万円=310万円
この試算から分かるのは、2つのことです。相続人が1人減るだけで、基礎控除は600万円小さくなります。そして、特例が使えるかどうかで、結果が大きく変わります。
Aさん一家のように配偶者が相続する場合は、「配偶者の税額の軽減」もあります。配偶者が受け取る分は、1億6千万円か法定相続分のどちらか多い額まで、相続税がかからない制度です。こちらも、申告書を出すことが条件です。納税のために実家を売る場合は、『相続税を払うために不動産を売る|取得費加算の特例と期限』も参考になります。
申告が要るかの目安と、今日からできること
この章の要点
- 特例を使う前の合計が基礎控除を超えたら、原則として亡くなった日の翌日から10か月以内に申告する。
- 基礎控除に近いときや特例を使いたいときは、早めに細かい評価まで確かめる。
- 今日からできるのは、書類探し・路線価の確認・家族と財産の書き出し。
前の章の判定の結果ごとに、申告が要るかどうかと、考えておきたいことを表にまとめました。
| 判定の結果 | 申告 | 考えておきたいこと |
|---|---|---|
| 特例を使う前の合計が、基礎控除よりはっきり小さい | 要らない | 財産の書き出しを、家族で共有しておく |
| 特例を使う前の合計が、基礎控除に近い | 細かい評価しだい | 土地の補正や財産の漏れがないか確かめる |
| 基礎控除を超えるが、特例などで税額が0円になる | 要る | 誰が土地を引き継ぐか、早めに話し合う |
| 特例を使っても基礎控除を超える | 要る(納税も) | 預貯金で払えるか、売るかを考える |
表の3段目のように、税額が0円でも申告する場面は珍しくありません。国税庁の集計で2024年に亡くなった方を見ると、申告書は出たが相続税は0円だった方が、全国で39,755人いました。千葉県だけでも2,080人です。
申告と納税の期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。たとえば1月6日に亡くなった場合は、その年の11月6日が期限になります。期限が気になる方は、『相続税の申告期限が気になる方へ|実家のことは何も決まっていない、今できる進め方』もどうぞ。
最後に、今日からできることを順番に3つ挙げます。
1. 課税明細書を1枚見つける:実家の固定資産税の書類の中から探します。土地の面積と、家の評価額が分かります。
2. 路線価図で、実家の前の道の数字を見る:令和8年分の柏市の地図で探し、数字×面積で土地の見当をつけます。
3. 家族の名前と、財産の大まかな額を紙1枚に書く:法定相続人の数と、預貯金や保険の額を書き出し、基礎控除と並べます。
晃南土地では、実家の家や土地の査定と、売る・貸す・持ち続けるといった方向の整理をお手伝いします。相続税の額や特例が使えるかの判断は、税理士などの専門家と連携して確認します。相談の進め方は、『柏で不動産を相続した方へ|相談先を一つにまとめる進め方』で紹介しています。
晃南土地は、2026年12月に柏駅から徒歩6分の柏市中央町に、柏支店を開業する予定です。開業までの間、来店してのご相談は我孫子店でお受けしています。くわしくは「晃南土地」柏支店のページをご覧ください。
よくある質問
Q. 親はまだ元気です。いま相続税の見当をつけるのは、早すぎませんか?
A. いいえ、早すぎるということはありません。元気なうちに数字を出しておくと、家族で落ち着いて話せます。特例が使えるかどうかは、誰が実家に住み、誰が引き継ぐかで変わるからです。ただ、財産の額は年ごとに変わるので、数年おきに見直すと安心です。
Q. 実家のほかは、預金が少しあるだけです。それでも申告が要ることはありますか?
A. はい、土地の評価額によっては、申告が要ることがあります。たとえば路線価15万円の道に面した200㎡の土地なら、それだけで3,000万円です。相続人が子1人なら、基礎控除は3,600万円です。葬式費用などを引いたあと、家と預金で600万円を超えると枠の外に出ます。死亡保険金は、非課税枠を超えた分を足すことも忘れずに。
Q. 路線価図で、実家の町名が見つかりません。どうすればいいですか?
A. 町名が一覧にないときは、その土地は倍率で評価する地域です。柏市の評価倍率表で町名を探し、宅地の欄の倍率を確かめます。課税明細書の土地の評価額にその倍率を掛ければ、評価額の目安が出ます。同じ町名でも、場所によって路線価と倍率に分かれていることがあるので、欄の地域名まで見てください。
Q. 親が老人ホームに入っています。実家の土地の特例は使えますか?
A. 要介護認定などを受けて入所しているなら、使える場合があります。もとの家の土地を、亡くなった方が住んでいた土地として扱えるためです。ただし、空いた実家を誰かに貸すなどすると、対象から外れる場合があります。引き継ぐ人の条件(配偶者・同居の親族・持ち家のない別居の親族など)も満たす必要があります。
Q. 計算した数字が、基礎控除に近いときはどうすればいいですか?
A. 早めに、細かい評価まで確かめておくことをおすすめします。土地の補正や財産の漏れで、結果が入れ替わることがあるからです。晃南土地にご相談いただければ、家や土地の状態を確かめたうえで、税額は税理士などの専門家と連携して確認します。相続が始まってからは10か月の期限があるため、時間に余裕のあるうちが動きやすい時期です。
まとめ
相続税がかかるかどうかは、むずかしい計算の前に、手元の書類と国の地図で見当がつきます。最後に、この記事のポイントを振り返ります。
- 相続税がかかるかは、財産の合計と基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を比べて判定する。
- 土地は、柏市の路線価図で前の道の数字を探し、「路線価×補正率×面積」で見当をつける。路線価のない地域は「評価額×倍率」。
- 家は、固定資産税の評価額がそのまま相続税の評価額になる。
- 親が住んでいた土地は、引き継ぐ人の条件しだいで、330㎡まで80%減らせる(小規模宅地等の特例)。
- 特例を使う前の合計が基礎控除を超えたら、税額が0円でも申告が要る。期限は原則として、亡くなった日の翌日から10か月以内。
「うちの数字で、もう一度確かめてみたい」。そう感じた方は、ご都合に合わせて次のいずれかからどうぞ。
まず状況だけ聞いてほしい方は、柏の実家と相続のことを「晃南土地」に問い合わせるからご連絡ください。
課税明細書を見ながら、落ち着いて話したい方は、総合不動産「晃南土地」我孫子店への来店予約をご利用ください。
売る場合の流れも知りたい方には、相続した家の売却もお手伝いする「晃南土地」の売却サービスのページもあります。
ご連絡の際に「相続税がかかるか気になっている」と添えていただければ、家や土地の数字の整理から一緒に始めます。
企画構成・文/晃南土地 編集部
千葉県我孫子市を拠点に、1991年から地域の不動産に携わる晃南土地株式会社の編集部です。売買・賃貸・賃貸管理・買取り・リノベーションを一社で手がける立場から、柏・我孫子エリアの住まいと不動産の情報を、分かりやすくお届けします。
参考にした公的データ・情報
- No.4102 相続税がかかる場合/国税庁
- No.4132 相続人の範囲と法定相続分/国税庁
- No.4152 相続税の計算/国税庁
- No.4155 相続税の税率/国税庁
- No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金/国税庁
- No.4117 相続税の課税対象になる死亡退職金/国税庁
- No.4126 相続財産から控除できる債務/国税庁
- No.4129 相続財産から控除できる葬式費用/国税庁
- No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)/国税庁
- No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)/国税庁
- No.4158 配偶者の税額の軽減/国税庁
- No.4205 相続税の申告と納税/国税庁
- No.4602 土地家屋の評価/国税庁
- No.4609 地積規模の大きな宅地の評価/国税庁
- No.4667 居住用の区分所有財産の評価/国税庁
- 財産評価基準書 路線価図・評価倍率表/国税庁
- 路線価図の説明/国税庁
- 令和8年分 柏市 路線価図(町丁名索引)/国税庁
- 令和8年分 柏市 評価倍率表/国税庁
- 土地及び土地の上に存する権利の評価についての調整率表(平成31年1月分以降用)/国税庁
- 令和8年分の路線価等について/国税庁
- 令和8年分 東京国税局各税務署管内における最高路線価/東京国税局
- 令和6年分 相続税の申告事績の概要/国税庁
- 令和6年分 相続税の申告事績の概要/東京国税局
- 固定資産課税台帳の閲覧/柏市