金利が上がると、返済はいくら増える?|柏・我孫子の大家さん向けに手取りを試算!
柏や我孫子でアパートを持つ大家さんのもとに、借入先から新しい返済予定表が届く。めくってみると、毎月の返済額が少し増えている。「金利がこのまま上がったら、手元にいくら残るのだろう」。2026年の秋は、そんな計算をし直したくなる時期かもしれません。
その計算を、千葉県我孫子市に本社を置く晃南土地の編集部が、日本銀行や銀行の公表資料をもとに試してみました。読んでいただきたいのは、千葉県柏市・我孫子市で変動金利のアパートローンを返済中のオーナーです。自分の数字に置き換えられるよう、計算の前提もすべて示しました。晃南土地は1991年に設立し、いまは売買・賃貸・賃貸管理・買取り・リノベーションを一社で手がけています。
先に目安をお伝えします。借入残高5,000万円・残り25年なら、金利が0.25%上がるごとに、年間の返済はおよそ7万〜8万円増えます。1%上がれば年約30万円です。税金を考える前の手取りは、増えた返済と同じ額だけ減ります。この記事では、その根拠と打ち手を、次の3つに分けて整理しました。
- 日銀の利上げで、アパートローンの金利がどこまで上がってきたか
- 借入残高と金利ごとの返済額と、アパートの手残りの変わり方
- 借り換え・固定金利・繰上げ返済・家賃の見直しを、どの順で考えるか
試算の前提は、物件ごとに違います。お持ちのアパートの家賃と空室の状況から、収支を一緒に整理したい方はご連絡ください。柏・我孫子のアパートの収支を「晃南土地」に相談する
アパートローンの金利が上がると、手取りはどれだけ減る?
この章の要点
- 残高1,000万円あたり、金利が0.25%上がると、年間の返済は約1.3万〜1.5万円増える
- 1%上がると、残高1,000万円あたり年約5.5万〜6.2万円増える
- 増えた返済は、税金を考える前の手取りから、そのまま減る
結論から言うと、手取りの減り方は「借入残高」と「上がった金利の幅」でほぼ決まります。残りの返済期間の長さは、思ったほど効きません。
下の表は、元利均等返済(毎回の返済額が一定になる返し方)で、金利2.0%から上がった場合を計算したものです。数字はすべて仮の条件です。
| 残りの返済期間 | 0.25%上がったとき | 1%上がったとき |
|---|---|---|
| 10年 | 約1.3万円 | 約5.5万円 |
| 15年 | 約1.4万円 | 約5.6万円 |
| 20年 | 約1.4万円 | 約5.8万円 |
| 25年 | 約1.5万円 | 約6.0万円 |
| 30年 | 約1.5万円 | 約6.2万円 |
※残高1,000万円あたりの、年間の返済の増加額。金利2.0%からの上昇で計算
使い方は簡単です。残高が5,000万円なら、表の数字を5倍します。残り25年で1%上がると、年約30万円の増加です。
家賃が月6.5万円のアパートなら、1部屋の家賃の4〜5か月分にあたります。「1部屋が4〜5か月空いたのと同じ」と考えると、重さがつかみやすくなります。
ただし、これは返済額がすぐに変わる契約の場合です。返済額を5年間変えない契約では、次の見直しまで引き落とし額は増えません。その代わり、元金の減り方が遅くなります(第3章)。
もう一つ、利息は不動産所得の必要経費になります。税金まで含めると、手取りの減り方は返済の増え方より小さくなることがあります(第6章)。
日銀の利上げで、アパートローンの金利はどこまで上がった?
この章の要点
- 日銀は2026年9月18日、政策金利を1.0%程度から1.25%程度へ引き上げた
- 主要行の短期プライムレートは、長く続いた1.475%から段階的に上がっている
- 大手銀行の中には、2026年11月2日に短期プライムレートを2.625%へ改定すると発表したところもある
変動金利のアパートローンは、銀行の基準金利に連動して動きます。基準には、短期プライムレートを使う商品があります。銀行が信用力の高い企業に1年以内で貸すときの、最も優遇した金利のことです。
この金利を動かすきっかけが、日本銀行(日銀)の政策金利です。日銀は2024年3月にマイナス金利をやめ、7月からは政策金利を段階的に引き上げてきました。
| 日銀の決定日 | 政策金利(無担保コール翌日物の誘導目標) |
|---|---|
| 2024年3月19日 | 0〜0.1%程度(マイナス金利の解除) |
| 2024年7月31日 | 0.25%程度 |
| 2025年1月24日 | 0.5%程度 |
| 2025年12月19日 | 0.75%程度 |
| 2026年6月16日 | 1.0%程度 |
| 2026年9月18日 | 1.25%程度(9月24日から適用) |
2026年9月の決定は、賛成7・反対2でした。日銀は公表文で、経済・物価・金融情勢に応じて、引き続き政策金利を引き上げていく考えを示しました。
銀行の短期プライムレートも、この動きを追って上がってきました。日銀がまとめる主要行の最頻値(最も多くの銀行が採用している水準)は、次のとおりです。
| 変わった時期 | 短期プライムレート |
|---|---|
| 2009年1月 | 1.475%(2024年8月まで続いた水準) |
| 2024年9月 | 1.625% |
| 2025年3月 | 1.875% |
| 2026年2月 | 2.125% |
| 2026年8月 | 2.375% |
| 2026年11月2日 | 2.625%(大手銀行の発表) |
約2年で、1.15ポイントの上昇です。仮に、2024年8月までに金利2.0%で借りていたとします。短期プライムレートと同じ幅で動く契約なら、11月の改定後は3.15%になる計算です。
アパートローンにも、この動きは届いています。ある信託銀行は2026年9月28日、11月2日付の短期プライムレートの改定に伴うローン金利の変更を案内しました。対象には、短期プライムレートを基準とするアパートローンも含まれ、変更の幅は0.25%です。変わる日は、商品ごとに異なるとしています。
ただし、基準にする金利の種類や上乗せの幅、変わる日は、銀行と契約ごとに違います。自分のローンが何に連動しているかを知ることが、すべての出発点です。
変動金利のアパートローンは、いつから返済が増える?
この章の要点
- 返済が増える時期は「金利の見直し日」と「返済額の見直し方」の2つで決まる
- 返済額を5年間変えないしくみは、住宅ローンの説明として示されている例がある
- アパートローンに同じしくみがあるかは、契約書と返済予定表で確かめる
金利が上がっても、翌月からすぐに返済が増えるとは限りません。返済に響く時期は、契約にある2つの決まりで変わります。
1つ目は、金利の見直し日です。年2回の基準日の金利で見直す形などがあり、時期は銀行ごとに異なります。
2つ目は、返済額の見直し方です。ある銀行の住宅ローンの案内には、次の2つの方式が載っています。
- 5年ごとに見直す方式:返済額は5年間一定。見直し後の返済額は、前回の125%が上限
- 年2回見直す方式:4月1日・10月1日を基準日とする金利が変われば、そのつど計算し直す
前者は、いわゆる「5年ルール」「125%ルール」と呼ばれるしくみです。ただし、この案内は住宅ローンについての説明です。アパートローンに同じしくみがあるかは、契約ごとに見ておく必要があります。
返済額が変わらない方式でも、負担が消えるわけではありません。毎月の返済のうち利息に回る分が増え、元金の減り方が遅くなるからです。
仮に、残高5,000万円・残り25年で、金利が2.0%から3.0%に上がったとします。返済額を5年間変えない場合、5年後の残高は約4,438万円です。2.0%のままなら約4,189万円なので、約249万円多く残ります。この分は、6年目以降の返済に上乗せされます。
6年目からの返済は、月約24.6万円になる計算です。最初から返済額が変わる契約の月約23.7万円より、かえって重くなります。
契約書(金銭消費貸借契約書)と返済予定表で、次の項目を確かめておくと安心です。
- □ 基準にしている金利(短期プライムレート・銀行独自の基準金利など)と、上乗せの幅
- □ 金利の見直し日と、新しい金利が返済に反映される月
- □ 返済額の見直し方(年2回か、5年ごとか)と、上限の有無
- □ 固定金利に切り替えられるか、その手数料はいくらか
- □ 繰上げ返済の手数料と、1回あたりの最低金額
自宅用に借りた住宅ローンが残る家を貸している方は、前提が別になります。次の記事をご覧ください。
借入残高と金利で、年間の返済額はいくら変わる?
この章の要点
- 残高5,000万円・残り25年では、金利2.0%で年約254万円、3.0%で年約285万円
- 同じ1%の上昇でも、残高8,000万円なら年約48万円の増加になる
- 自分の残高と今の金利に近い行を探して読む
ここからは、残高の大きさごとに年間の返済額を並べます。前提は、元利均等返済・残り25年・ボーナス返済なしです。
| 借入残高 | 金利2.0% | 金利2.5% | 金利3.0% | 金利3.5% |
|---|---|---|---|---|
| 3,000万円 | 約153万円 | 約162万円 | 約171万円 | 約180万円 |
| 5,000万円 | 約254万円 | 約269万円 | 約285万円 | 約300万円 |
| 8,000万円 | 約407万円 | 約431万円 | 約455万円 | 約481万円 |
※年間の返済額。金利が一度に上がり、そのまま続くものとして計算(仮の数字)
2.0%から3.0%に上がると、年間の返済は3,000万円で約18万円、5,000万円で約30万円増えます。8,000万円なら約48万円です。
月の返済で見ると、5,000万円の場合は約21.2万円から約23.7万円へ、毎月約2.5万円の増加です。
第2章の例のように、2.0%が3.15%まで上がったとします。この場合、5,000万円の年間の返済は約289万円で、2.0%のときより約35万円増えます。
元金均等返済(毎回、同じ額の元金を返す方式)で借りている方は、響き方が少し違います。元金の部分は変わらず、利息の部分だけが新しい金利で計算されます。残高5,000万円で1%上がれば、利息は最初の1年で約49万円増え、残高が減るにつれて小さくなります。
実際の返済額は、銀行の端数の扱いや見直しの時期によって、表と少しずれます。正確な数字は、借入先が出す返済予定表でご確認ください。
8室のアパートで試算|金利上昇で収支はどう変わるか
この章の要点
- 仮の8室アパートでは、金利2.0%から3.0%で、年の手残りが約208万円から約178万円に減る
- 家賃収入に対する返済の割合は、約41%から約46%へ上がる
- 返済まで払うのに要る入居の数が、5室から6室に増える
返済額の表だけでは、経営への響き方は見えにくいものです。そこで、仮のアパートで手残りを計算します。手残り(キャッシュフロー)とは、家賃収入から運営費とローン返済を引いて残るお金です。
| 項目 | 仮の条件 |
|---|---|
| 部屋数・家賃 | 8室・月6.5万円(満室なら年624万円) |
| 入居率 | 95%(家賃収入は年約593万円) |
| 運営費 | 年130万円(管理委託料・固定資産税・保険・修繕・共用部の電気など) |
| ローン | 残高5,000万円・残り25年・元利均等返済 |
この条件で、金利ごとの手残りを並べると次のとおりです。
| 金利 | 年間の返済 | 年の手残り(税引き前) | 満室の家賃に対する返済の割合 |
|---|---|---|---|
| 2.0% | 約254万円 | 約208万円 | 約41% |
| 2.5% | 約269万円 | 約194万円 | 約43% |
| 3.0% | 約285万円 | 約178万円 | 約46% |
| 3.5% | 約300万円 | 約162万円 | 約48% |
2.0%から3.0%になると、手残りは約30万円、率にして約14%減ります。
もう一つ見ておきたいのが、何室埋まっていれば返済まで払えるかです。運営費は入居の数で変わらないものとして計算しました。
2.0%なら、8室のうち5室が埋まれば、運営費と返済を家賃で払えます。金利が2.2%ほどを超えると、5室では足りず6室が必要です。空室に耐えられる余地が、1室分小さくなったということです。
よくあるのは、満室に近い年は気にならなかった返済が、退去が重なった年に急に重く感じられる場面です。金利が上がった今は、空室が1室増えたときの手残りも、あわせて計算しておくと安心です。
計算の考え方は、次の記事で詳しく扱っています。
『アパートの利回りはどう計算する?|表面・実質利回りと収支の見方』
利息は経費になる|税金を引いた後の手取りで見る
この章の要点
- 賃貸用の建物を取得するための借入金の利子は、不動産所得の必要経費になる
- 元金の返済分は必要経費にならないため、返済の増え方と利息の増え方は一致しない
- 税金への響き方は人によって違うため、税理士などの専門家と連携して確かめる
国税庁の「収支内訳書(不動産所得用)の書き方」は、借入金利子の欄に書くものを示しています。賃貸している建物等を取得するための借入金の利子です。あわせて、返済額のうち元本(元金)に当たる部分は必要経費にならない、と明記しています。
このため、金利の上昇は、手元のお金と税金の両方に響きます。第5章の例で、金利が2.0%から3.0%に上がった1年目を見てみます(仮の数字)。
| 1年目 | 金利2.0% | 金利3.0% | 差 |
|---|---|---|---|
| 年間の返済 | 約254万円 | 約285万円 | 約30万円増える |
| うち利息(経費になる) | 約99万円 | 約148万円 | 約50万円増える |
| うち元金(経費にならない) | 約156万円 | 約136万円 | 約19万円減る |
返済は約30万円増えるだけなのに、経費になる利息は約50万円増えています。元金の返済に回るお金が、そのぶん減るからです。
経費が増えると、不動産所得は小さくなり、税金は下がる方向に動きます。仮に、所得税と住民税を合わせた税率が20%なら、利息の増加で税金は約10万円下がる計算です。
ただし、手元から出ていくお金が増えることに変わりはありません。元金の減りが遅くなるぶん、借入も長く残ります。
不動産所得が赤字になる年は、もう一つ注意が要ります。国税庁の損益通算(赤字をほかの所得と差し引くこと)の説明に、次の決まりが示されています。土地を取得するための借入金の利子に当たる部分の赤字は、給与などと差し引きできないとされています。
実際の税額は、ほかの所得や経費、青色申告かどうかなどで変わります。税金の判断は、税理士などの専門家と連携して確かめることをおすすめします。経費の基本は、次の記事にまとめました。
『相続や転勤で初めて大家になった方へ|賃貸経営の確定申告、知らないと損する経費のキホン』
晃南土地の賃貸管理では、年間の収支報告書や、経費の計算に使う書類をご用意しています。税理士への引き継ぎもしやすくなります。毎年の数字の整理に手間を感じている方は、収支の書類づくりも任せられる「晃南土地」の賃貸管理を見る
アパートローンの借り換えは得か?金利差と費用で判断する
この章の要点
- 借り換えで減る返済額と、かかる費用を比べ、何年で取り戻せるかを見る
- 抵当権の設定登記には、借入額の0.4%の登録免許税がかかる
- 新しい借入先の審査では、物件の収支や建物の状態も見られる
借り換えとは、今より低い金利で新しく借り、今のローンを返すことです。金利の差だけで決めず、費用と残りの期間を合わせて判断します。
仮に、残高5,000万円・残り25年で、3.0%から2.5%に借り換えられたとします。年間の返済は約285万円から約269万円へ、年約15万円減ります。
一方で、借り換えには次のような費用がかかります。
| 主な費用 | 目安・決まり方 |
|---|---|
| 新しい抵当権の設定登記の登録免許税 | 借入額の0.4%(5,000万円なら20万円) |
| 今の抵当権の抹消登記の登録免許税 | 不動産1個につき1,000円 |
| 登記を頼む司法書士の報酬 | 依頼先で変わる |
| 新しい借入先の事務手数料・保証料 | 借入先と商品で変わる |
| 今のローンを返すときの手数料 | 契約で変わる。固定金利の期間中は違約金がかかる場合もある |
| 契約書に貼る印紙 | 借入額で変わる |
※登録免許税の税率は、登録免許税法の別表第一による
費用の合計が50万円なら、年15万円の差で取り戻すのに3年あまりかかります。残りの期間が長いほど、借り換えの効果は大きくなります。
気をつけたいのは、変動金利から変動金利への借り換えです。新しいローンも、その後の利上げの影響を同じように受けます。借り換え直後の低い金利が続くとは限らない点も、計算に入れておきます。
審査では、本人の収入だけでなく、家賃収入や入居率、建物の築年数なども判断の材料になります。築年数によっては、借りられる期間が今より短くなることもあります。期間が縮むと、金利が下がっても、年間の返済がかえって増えかねません。
金融機関に条件を聞く前に、直近の家賃の一覧(レントロール)と、過去数年の収支をまとめておくと話が早く進みます。
固定金利への切り替えと繰上げ返済は、どう効く?
この章の要点
- 固定金利は、上乗せになる分を「これ以上の上昇への備えの費用」と見て判断する
- 500万円の繰上げ返済で、返済額を減らす型なら年約28万円の減少になる(仮の数字)
- 修繕や空室に備える手元のお金は残しておく
まず、固定金利への切り替えです。切り替えができる契約なら、その時点の固定金利で、一定期間の金利を決められます。固定金利は、その時点の変動金利より高く設定されている場合があります。
仮に、変動3.0%から固定3.6%に切り替えるとします。残高5,000万円・残り25年なら、年間の返済は約285万円から約304万円へ、年約19万円増えます。
この約19万円は、これ以上の利上げに備えるための費用のようなものです。固定の期間中、変動金利が早いうちに0.6ポイント以上上がるかどうかが、損得の分かれ目の目安になります。
切り替えの手数料や、固定の期間が終わった後の金利の決まり方も、契約書で見ておきます。
次に、繰上げ返済です。手元のお金で元金の一部を先に返すことで、2つの型があります。
| 型 | 何が変わるか | 3.0%・残り25年で500万円を返した場合(仮) |
|---|---|---|
| 返済額を減らす型 | 残りの期間はそのままで、毎回の返済額が下がる | 年間の返済が約285万円から約256万円へ。利息の合計は約211万円減る |
| 期間を縮める型 | 毎回の返済額はそのままで、残りの期間が短くなる | 残り25年が約21年半に。利息の合計は約504万円減る |
金利1%分の増加(年約30万円)は、500万円を、返済額を減らす型で繰上げ返済すれば、ほぼ打ち消せる計算です。利息を減らす効果は、期間を縮める型のほうが大きくなります。
ただし、繰上げ返済に使ったお金は、後から引き出せません。外壁や屋根の修繕、空室が続いたときの備えまで回してしまうと、別の借入が要りかねません。
アパートにかかる費用の全体は、次の記事で一覧にしています。
『アパート経営の維持費はいくら?|税金・保険・修繕・管理料の一覧』
金利上昇の賃貸経営は、家賃・空室・経費の見直しで支える
この章の要点
- 家賃6.5万円の空室を1室埋めると年78万円で、金利1%分の増加を大きく上回る
- 家賃の見直しは、金利ではなく、周辺の家賃との比較で説明する
- 運営費は、管理委託料・保険・共用部の費用を一つずつ見直す
借入の条件を変えるには、金融機関との交渉が要ります。一方で、家賃・空室・経費は、オーナーの側から手を打てる部分です。
第5章の8室の例で、金利1%分(年約30万円)を埋める手段を比べてみます(仮の数字)。
| 打ち手 | 年間の効果 |
|---|---|
| 空いている1室を埋め、1年間入居が続く | 約78万円 |
| 退去後の空室期間を1か月縮める(年2回の退去) | 約13万円 |
| 8室すべての家賃を月2,000円上げる | 約19万円 |
| 運営費を5%減らす | 約6.5万円 |
効果がいちばん大きいのは、空室を埋めることです。この例では、次の入居者が早く決まるかどうかで、手残りが金利の動き以上に変わります。
空室を早く埋めるには、募集の条件と部屋の見せ方を、周辺の物件と比べて見直すのが近道です。築年数の経った部屋は、間取りや内装の手直しで、選ばれる理由をつくれることもあります。
家賃を上げるときは、伝え方が大切です。入居者に伝わりやすいのは、近くの似た部屋の家賃との比較です。「ローンの返済が増えたから」は大家の側の事情で、入居者の納得は得にくいでしょう。
借地借家法第32条は、家賃の増額を求められる事情を挙げています。税などの負担の増加、土地建物の価格の上昇などの経済事情の変動、近くの似た建物の家賃との比較です。一定の期間は家賃を上げないという特約がある契約では、その特約に従うことも、同じ条文に定められています。進め方は、次の記事で詳しく扱っています。
『家賃の値上げはできる?|大家が知っておきたい伝え方と手順』
運営費では、管理委託料、火災保険、共用部の電気、点検や清掃の費用を一つずつ見ます。物価の上昇への向き合い方は、次の記事もあわせてご覧ください。
『物価高・修繕費高騰時代の柏の賃貸経営|コストとどう向き合うか』
晃南土地は、周辺の家賃の調査をもとにした家賃の提案や、空室を埋めるための改装の提案をしています。今の家賃と募集の条件が周辺に合っているか知りたい方は、周辺の家賃と空室対策を「晃南土地」に相談する
返済が重くなったアパートは、持ち続けるか売るか
この章の要点
- 返済の重さ・建物の状態・借入残高と価格の関係の3つで考える
- 売ると決める前に、借り換えや家賃・空室の打ち手を試したかを確かめる
- 売り方には、入居者がいるまま売る方法と、退去後に売る方法がある
金利が上がり続けると、「この物件を持ち続けてよいのか」という問いも出てきます。判断の材料は、次の3つです。
| 見る点 | 確かめること |
|---|---|
| 返済の重さ | 家賃収入に対する返済の割合が、金利がもう1%上がっても耐えられる水準か |
| 建物の状態 | 築年数と、これから10年の大きな修繕の見込み |
| 借入残高と価格 | ローンの残高を、売ったときの手取りで返せるか |
第5章の例では、金利3.5%で返済の割合は約48%でした。ここに外壁や屋根の大きな修繕が重なると、手残りはさらに細くなるでしょう。
売るときは、仲介手数料などの費用がかかり、利益が出れば税金もかかります。また、多くの場合は、引き渡しのときにローンの残高を返し、抵当権を外します。売却の代金で足りなければ、手元のお金で補うことになります。
ですから、売るかどうかは、ほかの打ち手と並べて決めるのが順番です。まずは借り換えや繰上げ返済、家賃と空室の見直しを試します。それでも返済の割合が下がらないとき、売却が現実の選択肢に入ってきます。
売り方には、入居者がいるまま投資家に売る方法と、退去してもらってから売る方法があります。築年数ごとの選択肢は、次の記事で比べています。
『築40年のアパートどうする?|建て替え・リノベ・売却を比べる』
晃南土地は、賃貸管理だけでなく、売却・購入・建築・リノベーションまで一社で相談を受けています。持ち続ける場合と売る場合を並べて比べたい方は、持ち続けるか売るかを「晃南土地」に相談する
こんなときは、晃南土地にご相談ください
金利が上がったいま、次のような場面にあてはまる方は、一度ご相談ください。
- 新しい返済予定表が届き、年の手残りがいくら減るか計算し直したいとき
- 退去の連絡があり、家賃を下げずに次の入居者を決めたい場合
- 今の家賃が周辺と比べて見直せるか、知りたいとき
- 築年数が進み、修繕して持ち続けるか売るかで迷い始めたとき
晃南土地では、周辺の調査をもとにした家賃の提案や、空室対策・リノベーションの提案をしています。管理会社の乗り換えのご相談も受けています。ご相談は無料です。柏・我孫子のアパート管理を「晃南土地」に相談する
よくある質問
Q. 金利が上がったら、まず何をすればいいですか?
A. 最初にすることは、返済予定表と契約書で、今の金利・次の見直し日・返済額の決まり方を確かめることです。次に、第1章の目安で、増える返済額をざっと計算します。残高1,000万円あたり、0.25%の上昇で年約1.3万〜1.5万円です。数字が分かれば、どの打ち手から始めるかを決めやすくなります。
Q. 返済額が5年間変わらない契約なら、心配しなくていいですか?
A. いいえ、返済額が変わらなくても、利息の負担は増えています。毎月の返済のうち利息に回る分が増え、元金の減り方が遅くなるためです。見直し後の返済額を前回の125%までとする例は、住宅ローンの説明として示されているものです。アパートローンに同じしくみがあるかは、契約書でご確認ください。
Q. 借り換えは、金利がどれくらい下がれば考える価値がありますか?
A. 目安は、減る返済額で、借り換えの費用を何年で取り戻せるかです。残高5,000万円・残り25年なら、0.5%下がると年約15万円返済が減ります(仮の数字)。費用が50万円なら3年あまりで取り戻せる計算で、残りの期間が長いほど考える価値があります。
Q. 金利が上がったことを理由に、家賃を上げてもいいですか?
A. 金利の上昇だけを理由にすると、入居者の納得は得にくいと考えておくのが無難です。借地借家法第32条が挙げるのは、税などの負担の増加、経済事情の変動、近くの似た建物の家賃との比較です。伝えるときは、周辺の家賃や、設備の手直しの内容とあわせて説明します。
Q. 管理会社に相談するのは、どんなときがいいですか?
A. 増えた返済を、家賃・空室・経費のどこで補うか決めたいときが、相談のよい時期です。
まとめ
金利が上がると、手取りは「借入残高」と「上がった幅」で決まる分だけ減ります。残高5,000万円・残り25年なら、0.25%ごとに年約7万〜8万円、1%で年約30万円が目安です(税引き前)。
- 日銀の政策金利は1.25%程度になり、大手銀行の短期プライムレートは2026年11月に2.625%へ上がる
- 返済が増える時期は、金利の見直し日と返済額の見直し方で決まる。まず契約書で確かめる
- 利息は必要経費になり、元金の返済はならない。税金への響き方は専門家と連携して確かめる
- 借り換えは費用を何年で取り戻せるか、固定金利は上乗せ分を備えの費用と見て判断する
- 繰上げ返済は修繕の備えを残して行う。手残りへの効果がいちばん大きいのは、空室を埋めること
自分の物件で手残りがどう変わるか知りたい方は、金利上昇に備えた賃貸管理を「晃南土地」に相談するからご連絡ください。
管理のことに限らず、まず話を聞いてほしい方は、アパートの経営について「晃南土地」に問い合わせるをご利用ください。
返済予定表や家賃の一覧を見ながら話したい方は、総合不動産「晃南土地」我孫子店への来店予約からどうぞ。
なお、晃南土地は2026年12月に、柏駅から徒歩6分の柏市中央町に柏支店を開業する予定です。開業までの来店のご相談は、我孫子店でお受けしています。所在地は「晃南土地」柏支店のページでご覧いただけます。
金利の行方は、誰にも読み切れません。それでも、自分の数字を一度出しておけば、次の通知が届いたときに落ち着いて打ち手を選べます。
企画構成・文/晃南土地 編集部
千葉県我孫子市を拠点に、1991年から地域の不動産に携わる晃南土地株式会社の編集部です。売買・賃貸・賃貸管理・買取り・リノベーションを一社で手がける立場から、柏・我孫子エリアの住まいと不動産の情報を、分かりやすくお届けします。
参考にした公的データ・情報
- 金融市場調節方針の変更について(2026年9月18日)/日本銀行
- 金融市場調節方針の変更(2026年9月金融政策決定会合)/日本銀行
- 金融市場調節方針の変更について(2026年6月16日)/日本銀行
- 金融市場調節方針の変更について(2025年12月19日)/日本銀行
- 金融市場調節方針の変更について(2025年1月24日)/日本銀行
- 金融市場調節方針の変更および長期国債買入れの減額計画の決定について(2024年7月31日)/日本銀行
- 金融政策の枠組みの見直しについて(2024年3月19日)/日本銀行
- 長・短期プライムレート(主要行)の推移/日本銀行
- 令和7年分 収支内訳書(不動産所得用)の書き方/国税庁
- No.2250 損益通算/国税庁
- 登録免許税法/e-Gov法令検索
- 借地借家法/e-Gov法令検索