遠くの実家通い、いつまで続ける?|柏の実家の手放し方5つを費用と手取りで比較
月に一度、電車を乗り継いで柏の実家へ向かう。窓を開けて風を通し、郵便受けのチラシを片付け、伸びた庭木を少し切って帰る。帰りの電車で、ふと「この先も、ずっとこれを続けるのだろうか」と考える。
この記事は、親から相続した千葉県柏市の家を、離れた場所から見守ってきた方のためのものです。千葉県我孫子市に本社を置く晃南土地の編集部が、空き家の手放し方を一つずつ比べてお伝えします。晃南土地は1991年に設立した不動産会社です。売買・賃貸・賃貸管理・買取り・リノベーションを、一社で手がけています。相続した家や土地のご相談も、多くお受けしています。
この記事で分かることは、次の3つです。
- 空き家を手放す5つの方法と、それぞれにかかるお金・時間・手間。
- 国に土地を引き取ってもらう制度が使える場合と、使えない場合。
- 売ったときの税金を軽くできる特例と、その条件。
どの方法が合うかは、家の状態や場所によって変わります。先に売却の流れだけ知っておきたい方もいらっしゃると思います。その場合は、柏の空き家の売却にも対応する「晃南土地」の売却サービスのページが参考になります。
手放し方は5つ。まず一枚の表で見比べる
この章の要点
- 空き家の手放し方は、仲介・買取・解体して売る・寄付・国の制度の5つ。
- お金を受け取って手放せるのは「売る」3つ。寄付と国の制度は、こちらが費用を払う側になる。
- まず表で全体をつかみ、気になる方法の章から読み進める。
「手放す」と一口に言っても、方法によって中身はかなり違います。いちばん大きな違いは、お金を受け取るのか、払うのかです。
売る方法は3つあります。一つ目は、不動産会社に買い手を探してもらう「仲介」。二つ目は、不動産会社が直接買う「買取」。三つ目は、建物を壊して土地として売る「解体して更地で売る」です。どれも、売れた金額から費用を引いた分が手元に残ります。
一方、寄付と国の制度は、土地を受け取ってもらう代わりに費用を払う方法です。名義を移す費用や負担金がかかり、手元にお金は残りません。
5つの違いを、費用・期間・手間・手取りで並べると次のようになります。
| 手放し方 | 主にかかるお金 | 終わるまでの期間 | 手間 | 手元に残るお金 |
|---|---|---|---|---|
| 仲介で売る(家が建ったまま) | 仲介手数料、片付け、必要に応じて測量など | 買い手が見つかるまで。読みにくい | 片付け・内見の準備・契約 | 5つの中で多くなりやすい |
| 買取(不動産会社が直接買う) | 直接買う場合は仲介手数料なし。家財ごと引き取る条件もある | 条件がまとまれば、決済日を決めやすい | 少なめ | 仲介より低くなりやすい |
| 解体して更地で売る | 解体費(柏市に建物の解体への補助はない。2026年10月時点)、片付け、仲介手数料など | 解体の期間+買い手が見つかるまで | 解体の手配・建物がなくなったことの登記 | 解体費の分が減る。更地で高く売れれば取り戻せることも |
| 寄付 | 名義を移す費用など | 受け取る相手しだい | 受け取る相手を探す | なし |
| 国に引き取ってもらう(相続土地国庫帰属制度) | 解体費、審査手数料(登記で数える土地の単位「1筆」ごとに14,000円)、負担金(柏市の市街化区域の宅地は面積で計算し、150㎡で67万円。市街化調整区域の宅地などは原則20万円) | 審査の標準処理期間は8か月。その前に解体などの準備 | 書類の準備・境界の確認 | マイナス(払って手放す) |
売る3つの中では、手取りを大事にしたいなら仲介が軸です。早さと手間の少なさを優先したいなら、買取が候補になります。解体して売るかどうかは、更地にしてどれだけ高く売れそうかが分かれ目です。寄付と国の制度は、売る見込みが立たないときに考える方法です。
通い続けてきた方の気持ちは、人それぞれです。「多少時間がかかっても、親の家をきちんと評価してもらいたい」。そう思うなら、まず仲介の査定から見てみましょう。「冬が来る前に、通う生活を終わりにしたい」。そう感じているなら、買取の見積もりも早めに取っておくと安心です。
比べる前に、家の「3つの条件」を見ておく
この章の要点
- 名義が親のままでも、相談や査定は始められる。ただし相続登記は、どの方法でも3年以内の義務。
- 家が建てられた年は、税金の特例が使えるかどうかに関わる。
- 土地の広さと場所で、国の制度の負担金が変わる。
どの方法を選ぶにしても、先に見ておきたい条件が3つあります。ここが分かると、表のどの行が自分に関係するのかが見えてきます。
一つ目は名義です。登記の名義が、亡くなった親のままになっている。そんな家は珍しくありません。名義が親のままでも、売却の相談や査定は始められます。
売る場合は、買主へ名義を移すまでに、相続による名義の変更(相続登記)を済ませておく必要があります。国の制度は、相続登記の前でも申請できます。その場合は、戸籍など、相続したことを示す書類を付けます。
ただ、相続登記はどの方法を選ぶ場合でも義務です。2024年4月1日から、相続で不動産を取得したと知った日から3年以内の申請が必要になりました。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象です。2024年4月1日より前の相続でまだ登記していない場合は、2027年3月31日が期限です。相続を知ったのが2024年4月1日以後なら、その日から3年以内です。
手放し方に迷っている間にも、この期限は進みます。名義の手続きは、方法選びと並行して進めておくと安心です。手順は『【2026年版】柏の相続した空き家、名義はそのまま?相続登記の義務化と「名義整理」の進め方』にまとめました。
二つ目は、家が建てられた年です。1981年(昭和56年)5月31日以前に建てられた家かどうか。ここで、売ったときの税金の特例が使えるかが変わります。登記事項証明書(法務局で取れる、土地や建物の記録)を見れば、建物の建てられた年が分かります。
三つ目は、土地の広さと場所です。柏市には「市街化区域」と「市街化調整区域」があります。市街化区域は、建物を建てる場所として計画された地域です。市街化調整区域は、建物を建てることを抑えている地域です。どちらにあるかで、買い手の探しやすさも、国の制度の負担金も変わります。場所は、柏市の都市計画図(用途地域図)の閲覧ページで調べられます。
ご兄弟などと共有で相続している場合は、もう一つ大事な点があります。売るときも国の制度を使うときも、共有している全員がそろって進めることになります。方法を比べる前に、「手放す」という方向だけでも家族で話しておくと、あとが進めやすくなります。
仲介で売る|時間をかけても、手取りを大事にしたいとき
この章の要点
- 不動産会社に買い手を探してもらう方法。手元に残るお金は多くなりやすい。
- 仲介手数料には上限があり、800万円以下の空き家などには特例がある。
- 遠方の方は、片付けや内見の段取りを誰が担うかを先に決める。
仲介は、不動産会社に買い手を探してもらう方法です。家を探している一般の方に、広く売り出します。そのため、5つの中では売れる金額が高くなりやすい方法です。
その代わり、いつ売れるかは買い手しだいです。売り出してすぐ決まることもあれば、半年たっても決まらないこともあります。売れるまでの間は、固定資産税や通う交通費などがかかり続けます。
費用の中心は仲介手数料で、国の定めで上限が決まっています。売れた金額が400万円を超える場合は、「売れた金額×3%+6万円」に消費税を加えた額が上限です。たとえば2,000万円で売れた場合、上限は72万6,000円です。手取りを考えるときは、この分を先に引いておきます。
売れた金額が800万円以下の土地や家には、特例があります(国の定めでは「低廉な空家等」)。売却を頼むときに説明を受けて合意すれば、上限が33万円(消費税込み)まで引き上げられます。
古い家は、家が建ったままの土地として売り出す形もとれます。買い手が建て替えを考えている場合、建物の価値はあまり見込まれず、土地の価格が中心になります。柏市はJR常磐線・東武アーバンパークライン・つくばエクスプレスの3路線が通る街です。駅からの距離や前の道路の幅によっても、買い手の付き方は変わります。
もう一つ知っておきたいのが、売ったあとの責任です。引き渡したあとに雨漏りなどが見つかると、売主が責任を問われることがあります(契約不適合責任)。古い家では、責任を負う範囲を契約で取り決めておくことが大切です。
遠方に住んでいる方がまず気になるのは、「内見のたびに柏へ行くのか」ということかもしれません。鍵を不動産会社に預けて、内見の案内を任せる方法もあります。片付けや立ち会いを誰が担うかを先に決めておくと、通う回数を見通しやすくなります。工夫の例は、『遠方に住んでいて柏の実家を相続したら|現地に行かずに売る方法』にあります。
買取|早く、手間をかけずに終えたいとき
この章の要点
- 不動産会社が直接買う方法。売り出しの期間がなく、決済日を決めやすい。
- 価格は仲介より低くなりやすいが、片付けや修繕を引き受けてもらえることもある。
- 「価格」ではなく「手取り」と「かかる時間」で比べる。
買取は、不動産会社が直接その家を買う方法です。買い手を探す期間がないため、条件がまとまれば、いつ現金になるかの見通しが立てやすくなります。
その代わり、価格は仲介で売る場合より低くなる傾向があります。買い取った会社は、そのあと手を入れて売り直します。その工事の費用や、売れるまでのリスクを見込んで価格を決めるためです。
ただ、低くなる分、引き受けてもらえることもあります。たとえば次のような点です。
- 家財が残ったままでも、そのまま引き取る条件を用意している会社がある。
- 古い家の修繕や解体を、売主がしなくて済むことがある。
- 引き渡したあとの売主の責任を、軽くする条件で契約することがある。
- 不動産会社が直接買う場合は、仲介手数料がかからない。
遠方に住む方にとって大きいのは、通う回数を減らせることです。片付けのために何度も柏へ足を運ぶ負担が、ぐっと軽くなる場合があります。
「家の中には親の家財がそのまま。片付けに通う元気が、正直もう続かない」。こう感じている方には、買取が向いていることがあります。価格の差だけでなく、片付けにかかる費用と時間も一緒に比べてみてください。
仲介と買取は、どちらか一方に決めなくても構いません。一定の期間は仲介で売り出し、売れなければ買取に切り替える進め方もあります。買取の考え方は、『相続した家を早く現金にしたい|柏で買取を選ぶときの考え方』で掘り下げています。
仲介の査定と買取の見積もりを、両方並べてから決めたい。そうした方は、「晃南土地」に柏の空き家の仲介・買取をまとめて相談することから始めてみてください。
解体して更地で売る|先にお金を払う選択
この章の要点
- 解体費は、全額自分で払う前提で考える。柏市に建物の解体そのものへの補助はない(2026年10月時点)。
- 更地にすると、翌年度から土地の固定資産税が上がることがある。
- 更地のほうが売りやすい土地もあるため、見積もりを比べてから決める。
解体して更地で売る方法は、売る前に解体費を払うのが特徴です。古い建物がなくなると、家を建てたい人が土地の広さや形を見やすくなります。そのため、場所によっては買い手が付きやすくなることがあります。
まず、費用は自分で用意すると考えておきましょう。柏市の公式サイトで調べた範囲では、建物の解体そのものへの補助はありません(2026年10月時点)。補助があるのは、道路などに面した危険なブロック塀などを取り除く工事です。こちらも対象の条件があります。詳しくは柏市の危険コンクリートブロック塀等除却工事費補助金のページでご確認ください。
次に、税金です。住宅が建っている土地は、固定資産税が軽くなる特例を受けています。総務省によると、200㎡以下の部分は、税額を計算するもとの金額が6分の1になります。200㎡を超える部分は3分の1です。つまり、家があるおかげで、土地の税金が低く抑えられているということです。
この特例は、毎年1月1日の状態で判断されます。年内に解体して、年が明けても売れていない。この場合、翌年度の土地の固定資産税が上がることがあります。秋から冬に解体を考えるなら、売り出しの時期と合わせて段取りを組むのがおすすめです。
なお、管理が行き届かない空き家として、市から勧告を受けるケースもあります。この場合は、建物があっても特例から外れることがあります。
取り壊したあとは、建物がなくなったことの登記(建物滅失登記)が必要です。不動産登記法では、取り壊した日から1か月以内に申請することになっています。
もう一つ、売ったときの税金の特例にも関わります。相続した空き家を解体してから、土地を売る場合です。その間に土地を駐車場として貸すなどすると、特例が使えなくなることがあります。この特例は、あとの章でまとめて説明します。
たとえば、隣の家との間が狭く、重機が入りにくい。古い家財がたくさん残っている。こうした家は、解体費が高くなりやすい傾向があります。解体費の考え方は『【2026年版】柏の空き家、解体すべき?費用・固定資産税の落とし穴と「更地にしない」選択肢』へ。
寄付で手放せるのは、受け取る相手がいるときだけ
この章の要点
- 寄付は、相手が受け取ると決めて、はじめて成り立つ。申し出れば受けてもらえるものではない。
- 自治体が活用を決めた例や、隣の土地の持ち主が引き受けた例もある。
- 誰に渡すかで、税金の扱いが変わる。
「市に寄付すれば、引き取ってもらえるのでは」。そう考える方もいらっしゃいます。ただ、寄付は相手が受け取ると決めて、はじめて成り立つ方法です。申し出れば受けてもらえる、というものではありません。
自治体が土地を受け取ると、その後の草刈りや見回りなどの管理は、自治体が続けることになります。柏市に寄付を申し出た場合も、受けてもらえるかどうかは市の判断です。古い建物が残ったままの土地は、管理の手間がかかります。受け取る相手を見つけるのは、さらに難しくなりやすいと考えておきましょう。
一方で、受け取る相手が見つかることもあります。国の制度の統計には、申請を取り下げた理由の例が載っています(法務省、2026年8月末現在)。一つは、自治体や国の機関が土地の活用を決めた例です。もう一つは、隣の土地の持ち主が引き受けを申し出た例です。使い道を考えてくれる相手がいれば、手放す道が開けることがある、ということです。お隣が「庭を広げたい」「車をもう1台置きたい」と考えていることもあります。
ただし、誰に渡すかで税金の扱いが変わります。国税庁の案内をもとに整理すると、次のとおりです。
| 渡す相手 | 税金の扱い |
|---|---|
| 国や自治体 | 渡した人に、譲渡所得の税金(手放して得た利益にかかる税金)はかからない |
| 会社などの法人 | 時価で売ったものとみなされ、渡した側に譲渡所得の税金がかかることがある |
| お隣などの個人 | 受け取った人に、贈与税がかかることがある |
お隣に無償で譲るつもりが、相手に税金の負担をかけてしまうこともあります。金額によっては、相応の価格で買ってもらうほうが、お互いにすっきりする場合もあります。税金の判断が必要なときは、提携の税理士と連携してお手伝いします。
国に土地を引き取ってもらう制度は、建物があると使えない
この章の要点
- 相続した土地を、費用を払って国に引き取ってもらう制度。売れる見込みが立たない土地のための仕組み。
- 建物がある土地は申請できない。空き家なら、先に解体が必要になる。
- 柏市の市街化区域の宅地なら、負担金は150㎡で67万円。審査には8か月ほどかかる。
正式な名前は「相続土地国庫帰属制度」です。簡単に言うと、相続などで取得した土地を、費用を払って国に引き取ってもらう制度です。2023年4月27日に始まりました。売れる見込みが立たず、持ち続けるのもつらい土地のための仕組みと言えます。
空き家の場合、いちばん大きな条件は「建物がある土地は申請できない」ことです。登記されていない建物でも、実際に建っていれば申請できません。先に解体し、建物がなくなったことの登記を済ませておく必要があります。
ほかにも、法律で申請できない土地と、審査で認められない土地が決められています。主なものは次のとおりです。
| 区分 | 主な例 |
|---|---|
| 申請できない土地 | 建物がある/抵当権などが付いている/道路や墓地として使われている/土壌が汚染されている/隣との境界がはっきりしない |
| 審査で認められない土地 | 一定の高さと勾配の崖がある/地上に樹木や放置車両などがあり管理の妨げになる/地下に浄化槽や井戸、建築資材のかけらなどが残っている/隣の土地の人との争いがある |
たとえば、庭の隅に使わなくなった古い井戸がある。昔の浄化槽が、地面の下にそのまま残っている。こうした物は「地下に残る物」として、認められない理由に挙げられています。解体の見積もりを取るときに、撤去まで含めるかを業者と話しておきましょう。
費用は、審査手数料と負担金の2つです。
| 費用 | 金額 |
|---|---|
| 審査手数料 | 土地1筆ごとに14,000円(認められなくても返らない) |
| 負担金(市街化区域の宅地) | 面積に応じて計算。100㎡を超え200㎡以下なら「面積×2,450円+30万3,000円」 |
| 負担金(市街化調整区域の宅地など) | 原則20万円 |
負担金は、国がその土地を管理する10年分の標準的な費用をもとに決められています。柏市の市街化区域にある150㎡の宅地なら、67万円です(千円未満は切り捨て)。200㎡なら79万3,000円になります。空き家の場合は、これに解体費が加わります。
負担金は、認められたあとに届く通知の翌日から30日以内に納めます。納めた時点で、土地は国のものになります。期間の目安は、法務省が示す標準処理期間で8か月です。その前に解体や書類の準備があるため、全体ではもう少し長く見ておくと安心です。
法務省の統計(速報値)では、2026年8月末までに全国で3,119件が国に引き取られました。そのうち宅地は1,164件です。宅地でも、条件を整えて引き取ってもらえた例が1,000件を超えている、ということです。
申請の書類づくりを代わりにできるのは、弁護士・司法書士・行政書士に限られます。晃南土地では、提携の専門家と連携して準備をお手伝いしています。申請の手順や我孫子市での考え方は、『【2026年版】我孫子の「売れない土地」をどう手放す?相続土地国庫帰属制度の活用と、負動産にしないための売却準備』で順を追って紹介しています。最新の要件は、法務省の相続土地国庫帰属制度のページでご確認ください。
仮の数字で、手元に残るお金を比べてみる
この章の要点
- 同じ家を例に、5つの方法で手元に残るお金を仮の数字で並べる。
- 売る3つの差は、売れた金額ほどには開かないことがある。
- 税金は別の計算になる。特例が使えるかで手取りが大きく変わる。
ここからは、仮の数字で計算の流れを見てみます。数字はすべて説明のための仮のもので、実際の相場や見積もりではありません。
例にするのは、柏市の市街化区域にある150㎡の土地と、築50年ほどの木造の家です。家の中には、親の家財が残っているとします。
| 手放し方 | 売れた金額(仮) | 主な費用(仮) | 手元に残るお金(税金を除く) |
|---|---|---|---|
| 仲介で売る(家が建ったまま) | 1,800万円 | 仲介手数料66万円、片付け30万円、その他40万円 | 1,664万円 |
| 買取 | 1,400万円 | 仲介手数料なし、家財ごと引き取り、その他10万円 | 1,390万円 |
| 解体して更地で売る | 1,950万円 | 解体費200万円、片付け30万円、仲介手数料約71万円、その他40万円 | 約1,609万円 |
| 寄付 | 0円 | 名義を移す費用など | 0円より少なくなる |
| 国に引き取ってもらう | 0円 | 解体費200万円、片付け30万円、負担金67万円、審査手数料1万4,000円 | 約298万円の支払い |
「その他」は、印紙税や登記、測量などの費用を仮に置いたものです。国の制度の行には、境界の確認や測量の費用は入れていません。必要になれば、その分がさらに加わります。
まず仲介と買取です。売れた金額の差は400万円ですが、手元に残るお金の差は274万円です。片付けや手数料の分だけ、差が縮まっています。
さらに、売れるまでの期間も考えに入れます。仮に、仲介で売れるまで1年かかったとします。その間も固定資産税を払い、月に一度通うなら交通費もかかります。往復1万円なら、それだけで年12万円です。気持ちの負担も含めると、差はもう少し縮まって感じられるかもしれません。
次に解体です。この例では、更地にして150万円高く売れたとしています。それでも解体費200万円を引くと、手元のお金は家が建ったまま売るより少なくなりました。もちろん、更地にすることで大きく値が上がる土地なら、結果は逆になります。
最後に国の制度です。売れる見込みのある土地なら、国に引き取ってもらうより、売るほうが手元にお金が残ります。国の制度は、売る方法を試したうえで考える、という順番がよさそうです。
売ったときの税金を軽くする特例を知っておく
この章の要点
- 相続した空き家を売ると、条件を満たせば利益から最大3,000万円を差し引ける。
- 1981年5月31日以前に建てられた家であることなど、条件が細かい。
- 売却の期限は、2023年に相続した家なら2026年12月31日。2024年以降の相続なら2027年12月31日。
前の章の計算には、税金を入れていません。家を売って利益が出ると、所得税と住民税がかかります。ただ、相続した空き家には、利益から差し引ける特例があります。
正式な名前は「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」です。簡単に言うと、亡くなった親が一人で住んでいた家を売ったときに使える制度です。利益から、最大3,000万円を差し引けます。国税庁の案内(2026年4月1日現在の法令等)をもとに、主な条件を表にまとめます。
| 見るところ | 条件 |
|---|---|
| 売る時期 | 2016年4月1日から2027年12月31日までの売却 |
| 売る期限 | 相続の開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで |
| 家 | 1981年5月31日以前に建てられた家で、マンションなど区分所有の建物でない |
| 住んでいた人 | 相続の直前に、亡くなった方のほかに住んでいた人がいない |
| 売った金額 | 1億円以下 |
| 耐震か取り壊し | 売るときに耐震基準を満たすか、売った年の翌年2月15日までに耐震改修か取り壊しをする |
| 相続してから売るまで | 事業・貸付け・居住に使っていない |
| 取り壊して売る場合 | 取り壊してから売るまで、建物などの敷地として使っていない |
| 相続人が3人以上 | 2024年1月1日以後の売却は、最高2,000万円まで |
| 売る相手 | 親子や夫婦など、特別な関係がある人への売却は対象外 |
| ほかの特例との関係 | 同じ家や土地で、相続税の取得費加算の特例などを受けていない(どちらか一方を選ぶ) |
| 同じ親からの相続 | 同じ親から相続した家や土地で、この特例をまだ受けていない |
相続税を納めた方は、「相続税の取得費加算の特例」とどちらを使うかを選ぶことになります。こちらは、納めた相続税の一部を、利益の計算で差し引ける特例です。どちらが有利かは、納めた相続税の額などによって変わります。
2024年1月1日以後の売却では、対象が広がりました。売った翌年の2月15日までに、買主が取り壊しや耐震改修をする場合も認められます。家が建ったまま仲介や買取で売る場合も、この点が関係します。
実家の片付けをしていたら、引き出しの奥から、親が家を買ったときの契約書が出てきた。古い紙なので、捨ててしまおうかと迷う。そんなときは、ひとまず手元に残しておいてください。この1枚が、税金の計算に関わるからです。
この特例が使えるかどうかで、手元に残るお金は大きく変わります。前の章の仲介の例(1,800万円で売却)で、仮に計算してみます。
相続した家の取得費(買ったときの金額)は、親が買ったときの金額を引き継ぎます。契約書がなく金額が分からないときは、売った金額の5%を取得費にできます。この例では90万円です。
利益の計算で差し引けるのは、「売るために直接かかった費用」です。仲介手数料や印紙代などが当たります。前の章の表の費用には、これに当たらないものも含まれます。そのため、ここでは仮に100万円とします。すると、利益は1,610万円です。
親が買った日から、売った年の1月1日までが5年を超えているとします。この場合、所得税・復興特別所得税・住民税を合わせて約20%がかかります。特例が使えなければ、税金は約327万円になる計算です。特例が使えれば、利益が差し引ける額の範囲に収まるので、この税金はかかりません。
約327万円という差は、前の章で比べた仲介と買取の手取りの差より大きな金額です。特例を使うには、売った翌年に確定申告をします。
手続きでは、柏市が交付する「被相続人居住用家屋等確認書」が必要です。柏市の案内では、交付までに1週間程度かかるとされています。確定申告の時期は混み合うため、早めの準備が向いています。
ここで、秋にこの記事を読んでいる方へお伝えしたいことがあります。2023年中に相続した家は、売る期限が2026年12月31日です。この特例を使いたい場合は、売るまでの段取りを早めに立てておきましょう。
2024年以降に相続した家の期限は、いまの制度では、どれも2027年12月31日です。2025年以降の相続では、「相続から3年」より先に、特例そのものの期限が来るためです。期限が延びるかどうかは、今後の税制改正しだいです。
親が老人ホームに入っていた場合も、条件を満たせば対象になることがあります。どの特例が使えるかは、事情によって変わります。晃南土地では、提携の税理士と連携してサポートしています。
ご自身で連絡を取るのが負担なときは、お子さまに代わりに連絡してもらう方法もあります。スマートフォンからは、晃南土地のLINEで売買部に相談することもできます。
遠くに住んでいても進められる、今日からの3つの準備
この章の要点
- 書類を集める、家族で方向を話す、見積もりを並べる、の3つから始める。
- 窓口をまとめると、現地に行く回数を減らしやすい。
- 方法を決めるのは、3つの準備が済んでからにする。
ここまで5つの方法を比べてきました。最後に、遠くに住んでいても今日から始められる準備を、順番にまとめます。
1. 手元の書類を集める:固定資産税の納税通知書と登記事項証明書を用意します。親が家を買ったときの契約書があれば、一緒にしておきます。名義と建てられた年、土地の広さが分かると、使える方法が絞れます。
2. 家族で「手放す方向」と「いつまでに」を話す:共有で相続しているなら、まず全員の考えをそろえます。方法までは決めなくても、時期の目安だけ話しておくと進めやすくなります。
3. 仲介の査定と買取の見積もりを並べる:同じ家の数字を並べると、どれが合うかが見えてきます。売る見込みが立たないときに、国の制度を考えます。
遠方からの手続きで負担になりやすいのが、窓口が分かれることです。片付け、解体、名義の変更、売却、税金と、相手がそれぞれ違うと、そのたびに連絡と調整が必要になります。窓口を一つにまとめると、現地に行く回数を減らしやすくなります。片付けから売却までの流れは、『柏で実家じまいを進める|片付けから売却までの段取り』が参考になります。
3つのうち、どれか一つでも進めば、次に何をすればよいかが見えてきます。まずは、納税通知書を一通手に取るところからで構いません。
よくある質問
Q. 5つの方法のうち、どれから考えればいいですか?
A. まずは「売れる見込みがあるか」から考えるのがおすすめです。見込みがあれば仲介と買取を並べ、立たなければ寄付や国の制度を考えます。見込みは、仲介の査定と買取の見積もりを取ると見えてきます。名義が親のままでも、相談や査定は始められます。
Q. 兄弟の一人が、売ることに反対しているときはどうすればいいですか?
A. まずは反対の理由を聞き、手元に残るお金や管理の負担を、同じ表で見比べてみるのがおすすめです。数字を並べると、話し合いが進めやすくなることがあります。なお、共有で相続している家は、全員がそろわないと売ることも国に引き取ってもらうこともできません。
Q. 気持ちの整理がつかないまま、見積もりを取ってもいいですか?
A. はい、取って構いません。見積もりを取ることと、手放すと決めることは別のことです。数字が分かると、「売るか、もう少し持つか」を落ち着いて考えやすくなります。仏壇や写真など、残したい物を家族で先に分けておくと、気持ちの区切りにもなります。
Q. 柏市に寄付することはできますか?
A. 申し出ることはできても、受けてもらえるとは限りません。寄付を受けるかどうかは自治体の判断で、使い道や、その後の管理の負担が考えられます。建物が残ったままの土地は、受け取る相手がさらに見つかりにくくなる傾向があります。売る方法と並べて考えるのがおすすめです。
Q. 国に引き取ってもらうには、いくらかかりますか?
A. 柏市の市街化区域にある宅地なら、150㎡で負担金67万円が目安です(面積に応じて計算します)。市街化調整区域の宅地などは、原則20万円です。このほかに審査手数料が、土地1筆(登記で数える土地の単位)ごとに14,000円かかります。空き家の場合は、先に建物を解体する費用も必要です。
まとめ
月に一度の往復を、いつまで続けるか。決めるのは、比べる材料がそろってからで大丈夫です。この記事で比べてきたことを、振り返っておきます。
- 手放し方は、仲介・買取・解体して売る・寄付・国の制度の5つ。お金が手元に残るのは「売る」3つ。
- 名義が親のままでも、相談や査定は始められる。相続登記は3年以内の義務。
- 仲介は手取りを、買取は早さと手間の少なさを大事にしたいときの候補。
- 解体費は全額自分で払う前提で考える。柏市に建物の解体への補助はない(2026年10月時点)。
- 寄付は、受け取る相手がいて、はじめて成り立つ。
- 国の制度は、建物があると申請できない。柏市の市街化区域の宅地150㎡で、負担金は67万円。
- 税金の特例の売却期限は、2023年に相続した家なら2026年12月31日。2024年以降の相続なら2027年12月31日。
「うちの場合はどれが合うのか、一度聞いてみたい」と感じた方もいらっしゃると思います。ご都合に合わせて、次のいずれかからお進みください。
何から始めるか相談したい方は、柏の空き家の処分について「晃南土地」に問い合わせるからどうぞ。
書類を見せながら話したい方は、総合不動産「晃南土地」我孫子店への来店予約をご利用ください。
売却の進め方を先に知りたい方は、「晃南土地」の不動産売却サービスをご覧ください。
スマートフォンで気軽に送りたい方は、晃南土地のLINEで売買部にメッセージを送ることもできます。
なお、晃南土地は2026年12月に、柏駅から徒歩6分の柏市中央町に柏支店を開業する予定です。開業までの来店でのご相談は、我孫子店で承っています。詳しくは「晃南土地」柏支店のページでご確認いただけます。
「まだ検討段階」と添えていただければ、売却を前提とせず、状況を整理するお手伝いとして対応いたします。
企画構成・文/晃南土地 編集部
千葉県我孫子市を拠点に、1991年から地域の不動産に携わる晃南土地株式会社の編集部です。売買・賃貸・賃貸管理・買取り・リノベーションを一社で手がける立場から、柏・我孫子エリアの住まいと不動産の情報を、分かりやすくお届けします。
参考にした公的データ・情報
- 相続土地国庫帰属制度について/法務省
- 相続土地国庫帰属制度の概要/法務省
- 相続土地国庫帰属制度において引き取ることができない土地の要件/法務省
- 相続土地国庫帰属制度の負担金/法務省
- 相続土地国庫帰属制度に関するQ&A/法務省
- 相続土地国庫帰属制度の統計/法務省
- 相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律/e-Gov法令検索
- 相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行令/e-Gov法令検索
- 相続登記の申請義務化について/法務省
- 不動産登記法/e-Gov法令検索
- No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例/国税庁
- No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例/国税庁
- No.3208 長期譲渡所得の税額の計算/国税庁
- No.3255 譲渡費用となるもの/国税庁
- No.3258 取得費が分からないとき/国税庁
- No.3270 相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期/国税庁
- No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法/国税庁
- No.4402 贈与税がかかる場合/国税庁
- 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額/国土交通省
- 「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」の改正の概要/国土交通省
- 固定資産税/総務省
- よくあるご質問(固定資産税)/柏市
- 「被相続人居住用家屋等確認書」の交付/柏市
- 危険コンクリートブロック塀等除却工事費補助金の交付/柏市
- 空き家対策/柏市
- 都市計画図(用途地域図)等の閲覧/柏市