親が元気なうちにやる「不動産の生前整理・終活」|我孫子で実家を空き家にしないための準備

「実家がいつか空き家になったら、どうしよう」。親がまだ元気なうちは、つい後回しにしてしまうテーマです。けれど、空き家問題の多くは、ある日突然ではなく、「話し合えるうちに話し合わなかった」ことから生まれます。親が高齢になり、判断する力が弱まってからでは、できることが一気に狭まってしまうのです。
逆に言えば、親が元気な今こそ、実家を空き家にしないための準備ができる、いちばん良いタイミングだということです。名義や権利を確認し、「住む・貸す・売る」の方向性を親子で話し、必要ならお金や仕組みの準備を整えておく。これらは、元気なうちにしか落ち着いて進められません。
この記事では、我孫子で実家を持つ親世代・子世代に向けて、不動産の「生前整理・終活」を、親子で無理なく進める手順を整理します。名義の確認から、生前贈与や家族信託といったお金・仕組みの選択肢、そして「どう切り出すか」という現実的な悩みまで、順を追って解説します。読み終えるころには、「まず親と何を話せばいいか」が見えているはずです。
将来のことを早めに整理しておきたい――そう感じた今が、相談の良いきっかけです。
「実家が空き家になる」は、親が元気な今こそ防げる
空き家は、誰かが「空き家にしよう」と決めて生まれるわけではありません。多くは、親が施設に入ったり亡くなったりしたあと、「誰も住まないが、どうするかも決まっていない」家が、宙ぶらりんのまま残ることで生まれます。
この「宙ぶらりん」を防ぐ鍵は、判断のタイミングにあります。家の使い道(住む・貸す・売る)を決めるにも、名義を整えるにも、お金の準備をするにも、本人である親の意思と判断が必要です。ところが、親の判断力が弱まってからでは、これらの手続きの多くが止まってしまいます。
だからこそ、「まだ元気だから大丈夫」という今の時期が、実は最も動きやすい時期なのです。準備は、縁起の悪い話でも、親を急かす話でもありません。「親が望むかたちで実家を次にどうつなぐか」を、家族で穏やかに決めておくための、前向きな段取りです。次の章で、なぜ「元気なうち」がそれほど大きな分かれ目になるのかを、もう少し具体的に見ていきます。
なぜ「元気なうち」が分かれ目なのか──認知症と”不動産の凍結”
「元気なうち」が決定的に重要な理由は、認知症などで判断する力が低下すると、不動産が事実上”凍結”してしまうからです。
不動産の売却や賃貸の契約、預金の引き出しといった行為は、本人にその意思と判断力があることが前提になります。もし親が認知症と判断される状態になると、たとえ家族であっても、親名義の家を勝手に売ったり貸したりはできなくなります。これがいわゆる「不動産の凍結」です。
凍結が起きると、たとえば「親の介護費用のために実家を売りたいのに売れない」「空き家のまま固定資産税だけを払い続ける」といった、身動きの取れない状況に陥りかねません。これを後から解決するには、家庭裁判所を通じた成年後見制度を使うことになりますが、手続きには時間がかかり、後見人の判断で自由に売却できるとも限りません。
一方、親が元気なうちであれば、名義の整理も、方向性の決定も、後述する家族信託のような備えも、親自身の意思で進められます。「元気なうちにやる」とは、選択肢が豊富なうちに動く、ということなのです。
生前整理で最初にやること──実家の「現状」を家族で共有する
準備の第一歩は、難しい手続きではありません。まず、実家の「現状」を家族で共有することから始めます。
確認したいのは、おおまかに次の点です。実家の名義は誰になっているか。住宅ローンや借入は残っていないか。土地の境界ははっきりしているか。固定資産税はいくらかかっているか。そして、親自身は将来、その家をどうしたいと思っているか。
意外と、子世代はこれらを正確には知りません。「なんとなく親の家」という認識のまま時間が過ぎ、いざというときに「名義が祖父のままだった」「兄弟の共有になっていた」と判明して慌てる、というのはよくある話です。
最初から完璧に把握する必要はありません。まずは親と一緒に、固定資産税の納税通知書や、家の権利に関する書類を探すところから。現状が見えてくると、「次に何を決めるべきか」が自然と浮かび上がってきます。この”見える化”こそが、生前整理のいちばん大事な土台です。
不動産の名義・権利を確認する──登記・境界・共有名義の落とし穴
現状共有の中でも、特に丁寧に確認したいのが「名義と権利」です。ここでつまずくと、後の選択肢が大きく狭まります。
まず名義(登記)。実家の登記上の所有者が、本当に親になっているかを確認します。もし祖父母の代から名義変更がされていなければ、まず過去の相続を整理する必要があります。なお、相続による名義変更(相続登記)は2024年4月から義務化され、取得を知った日から3年以内の申請が求められるようになりました。放置できないテーマになっています。
次に境界。土地と隣地の境界がはっきりしていないと、売却時にトラブルや測量費用が発生することがあります。古い住宅地では境界が曖昧なケースもあり、親が元気なうちに、隣家との認識を確認しておくと安心です。
そして共有名義。実家が親と他の親族の共有になっている場合、売るにも貸すにも全員の同意が必要です。相続でさらに共有者が増えると、話がまとまらなくなりがちです。共有になっているなら、元気なうちに整理の方向を考えておく価値があります。
これらは専門的に見えますが、確認の入口は「登記の内容を取り寄せて一緒に見る」だけです。不明点は、不動産会社や司法書士に相談すれば整理できます。
「住む・貸す・売る」の方向性を親子で話しておく
名義や現状が見えてきたら、いよいよ本題――「この家を将来どうするか」の方向性を、親子で話しておきます。選択肢は大きく三つです。
住む(誰かが引き継いで住む)。子や孫が将来住む可能性があるなら、その前提で維持・管理を考えます。誰も住まないのに「いつか使うかも」で放置するのが、最も空き家化しやすいパターンです。
貸す(賃貸に出す)。住む人がいなくても、貸せば家は傷みにくく、家賃収入も得られます。立地次第では有力な選択肢ですが、貸すための修繕や管理の手間も考える必要があります。
売る(手放す)。維持の負担をなくし、資産を現金化します。前述の税の特例など、タイミングによって有利・不利があるため、早めに見通しを立てておくと選びやすくなります。
大切なのは、今すぐ結論を出すことではなく、「親はどうしたいか」「家族はどう関われるか」を共有しておくことです。親の希望が分かっていれば、いざというときに家族が迷わず動けます。逆に、ここを話さないままだと、残された家族が「親はどうしたかったのか」を推し量りながら、重い決断を背負うことになります。
お金の準備①:生前贈与という選択肢
方向性が見えてきたら、お金の準備も視野に入ります。そのひとつが「生前贈与」、つまり親が元気なうちに財産の一部を子や孫へ渡しておく方法です。主な選択肢は二つあります。
ひとつは暦年贈与。年間110万円までの贈与には贈与税がかからない仕組みで、コツコツ移すのに向いています。ただし注意点として、相続開始前の一定期間内に行った暦年贈与は、相続財産に加算されるルールがあり、この期間が改正によって従来の3年から段階的に7年へ延長されつつあります。早く始めるほど、この加算の影響を受けにくくなります。
もうひとつは相続時精算課税。60歳以上の親などから18歳以上の子などへの贈与で選択でき、累計2500万円までの特別控除が使えます。さらに2024年からは、この制度にも年110万円の基礎控除が新設され、その範囲の贈与は贈与税がかからず、相続財産にも加算されない扱いになりました。まとまった財産を早めに移したい場合に検討されます。
どちらが有利かは、財産の規模や家族構成、いつ何を渡したいかによって変わります。一度選ぶと戻せない制度もあるため、自己判断で進める前に、税理士や不動産会社に相談して全体設計を描くことをおすすめします。
なお、贈与税・相続税の制度は改正されることがあり、本記事は2026年6月時点の情報をもとにしています。実際に判断する際は、最新の要件を国税庁の公式情報でご確認いただくか、税理士、あるいは私たちにご相談ください。
認知症に備える仕組み:家族信託と任意後見の違い
「親が元気なうちに、もしものときの備えもしておきたい」――そんなときに知っておきたいのが、家族信託と任意後見という二つの仕組みです。どちらも判断力の低下に備えるものですが、性格が異なります。
家族信託は、親(委託者)が信頼する家族(受託者)に、財産の管理・処分を任せておく契約です。あらかじめ結んでおけば、後に親の判断力が低下しても、受託者である家族の判断で、実家の売却・賃貸・修繕などを進められます。不動産の凍結を防ぐ手段として注目されており、家庭裁判所の関与なく柔軟に動けるのが特徴です。費用は、自宅を対象にした場合で概ね40万〜50万円程度かかるのが一般的な目安とされます。
任意後見は、親が元気なうちに「将来、判断力が低下したらこの人に支援を頼む」と契約しておく制度です。介護・医療に関する手続き(身上監護)にも対応できる一方、実際に始まると家庭裁判所が選ぶ任意後見監督人がつき、その報酬(月1万〜3万円程度)が継続的にかかります。柔軟な資産活用というより、本人を守ることに重きを置いた制度です。
おおまかには、「実家を含む財産を家族の判断で動かせるようにしたい」なら家族信託、「介護や生活の支援も含めて本人を守りたい」なら任意後見、と整理できます。両者を併用するケースもあります。どちらも親の意思があるうちにしか結べないため、関心があれば早めに専門家へ相談してください。
将来の備えまで含めて、何から手をつけるか整理したい方は、対面でじっくりお話しするのが近道です。
モノの生前整理──親子で進める片付けのコツと気をつけたいこと
不動産そのものと並んで、家の中の「モノ」の整理も、元気なうちに少しずつ進めておきたいテーマです。これを後回しにすると、いざ実家を手放すときに、膨大な遺品整理が一気に家族へのしかかります。
進め方のコツは、一度に片付けようとしないことです。親にとって家財は思い出そのもので、急に「捨てよう」と言われると心を閉ざしてしまいます。まずは「写真や大事な書類だけ場所をまとめる」「使っていない部屋から少しずつ」といった、負担の軽いところから始めるのがおすすめです。
特に大切なのは、権利や契約に関わる書類を、親と一緒に把握しておくこと。不動産の権利証、保険証券、預金通帳、年金関係などの所在を、元気なうちに共有しておくと、後の手続きが格段にスムーズになります。
また、片付けは「親を否定しない」姿勢で。長年の暮らしを整理する作業は、親にとって感情の伴うものです。子世代が主導しすぎず、親のペースを尊重しながら一緒に進めることが、結果的にいちばん前に進みます。モノの整理は、親子で実家の将来を話す自然なきっかけにもなります。
我孫子・柏で「実家のこれから」を相談する進め方
「準備が大事なのは分かったけれど、誰に相談すればいいのか」と思われたかもしれません。私たち晃南土地は、我孫子を拠点に、隣接する柏エリアも含めて、実家の生前整理・終活にまつわる不動産の相談をお受けしています。
私たちが大切にしているのは、いきなり売却や契約をすすめないことです。まずは親世代・子世代の希望をうかがい、名義や現状の確認から、「住む・貸す・売る」の方向づけ、必要に応じた生前贈与や家族信託といった備えまで、全体像を一緒に描くところから始めます。登記は司法書士、税は税理士、信託は専門家へと、必要な専門家への橋渡しも含めて、窓口がバラバラにならないよう支えます。
親が元気なうちのご相談は、急いで何かを決める必要がないぶん、選択肢をじっくり比べられるのが利点です。親御さんと一緒に来ていただいても、まずは子世代だけで話を聞きに来ていただいても構いません。
なお、私たちの実店舗は現在、我孫子にあります。柏エリアのご相談も承っていますが、対面でのご来店は我孫子の店舗にてお願いしています。地元で長く不動産に関わってきた立場から、「このエリアなら、住む・貸す・売るのどれが現実的か」という相場観もあわせてお伝えできます。
元気なうちに話すための切り出し方と、準備リスト
最後に、いちばんの難所――「親にどう切り出すか」と、話を進めるための準備をまとめます。
切り出し方は、相続やお金の話から入ると身構えられがちです。おすすめは、ニュースや身近な話題を入口にすること。「最近、空き家の話をよく聞くね」「相続登記が義務化されたみたいだよ」といった一般論から、「うちの家はどうなってるんだろう」と、自然に実家の話へつなげていくと角が立ちません。あくまで「親を心配しての話」という姿勢が伝わると、親も受け止めやすくなります。
用意しておくとよいものは、固定資産税の納税通知書、家の権利に関する書類、住宅ローンの有無が分かるもの、そして「親自身が将来どうしたいか」という希望です。すべてそろっていなくても、所在地が分かれば相談は始められます。
実家の生前整理は、一度に終わらせるものではありません。今日は現状の確認、次は方向性の話、その次はお金の備え――と、少しずつでも前に進めれば十分です。大切なのは、「元気なうちに、家族で話し始めておく」こと。その一歩が、将来「実家が空き家になる」未来を、確実に遠ざけます。
まとめ──「いつか」を「今」に変えるのが、いちばんの空き家対策
実家の空き家問題は、ある日突然やってくるのではなく、「話し合えるうちに話し合わなかった」ことの積み重ねで生まれます。そして、その分かれ目は、親が元気で判断できる「今」にあります。
名義と現状を家族で共有し、「住む・貸す・売る」の方向性を話し、必要なら生前贈与や家族信託といった備えを整える。モノの整理も少しずつ進める。どれも、親の意思があるうちにしかできないことばかりです。難しく考えず、「まず現状を一緒に見てみる」ところから始めれば十分です。
「いつか考えよう」を「今、少しだけ話してみよう」に変える。それが、実家を空き家にしない、いちばん確実な対策です。何から手をつければいいか分からないときは、その入口として、私たちにご相談ください。
対面でじっくり相談したい方は、こちらからどうぞ。
「まだ何も決めていない」という段階で大丈夫です。急かすことなく、状況整理のお手伝いとして対応いたします。
参考にした公的データ・情報
No.4103 相続時精算課税の選択/国税庁
No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)/国税庁
相続登記の申請義務化について/法務省