2026.10.18

柏市で土地や中古住宅を買う方へ|道路の種類とセットバックの確認

「広さも駅からの距離も申し分ない。ただ、前の道が少し細い気がする」。柏市で土地や中古住宅の資料を見比べていると、こんな引っかかりを覚える場面があります。販売図面の隅には「セットバック要」「私道負担あり」の文字。言葉は知っていても、それで何がどれだけ変わるのかは、図面だけでは読み取りにくいものです。

そこで、千葉県我孫子市に本社を置く晃南土地の編集部が、千葉県柏市の公開資料と法令を読み比べました。前の道の決まりを、買う人の目線で順に整理しています。晃南土地は1991年に設立し、いまは売買・賃貸・賃貸管理・買取り・リノベーションを一社で手がけています。

この記事で分かることは、次の3つです。

  • 前の道(前面道路)の種類によって、家が建つかどうか、どこまで建てられるかがどう変わるか
  • 敷地を道路として下げるとき、使える面積がどれだけ減るか
  • 柏市で道の種類を調べる手順と、契約の前に確かめておくこと

気になる物件の前の道を、資料と照らして一緒に確かめたい方は、こちらからどうぞ。柏市の土地・中古住宅の道路の確認を「晃南土地」に相談する

家が建つかどうかは、前の道が「建築基準法の道路」かで決まる

この章の要点

  • 家を建てる敷地は、建築基準法の道路に2m以上接している必要がある
  • 「公道か私道か」と「建築基準法の道路か」は、別々に確かめる
  • 今の家が建っていても、建て替えのときに同じ広さで建つとは限らない

建築基準法第43条は、建物の敷地が「道路」に2m以上接していなければならないと定めています。これを接道義務といいます。火事や急病のときに消防車や救急車が近づけ、人が安全に逃げられるようにするための決まりです。

ここでいう「道路」は、同じ法律の第42条が定める道路のことです。舗装されて車が通れる道でも、この条文に当たらなければ、接道の上では道路になりません。反対に、私道でも条件を満たして指定を受けていれば、道路として扱われます。

つまり、前の道は2つの物差しで見ます。1つ目は、持ち主が国や市か、個人などか(公道か私道か)です。2つ目は、建築基準法の道路に当たるかどうかです。よく見かける道を、この2つで分けると次のようになります。

前の道の例持ち主建築基準法の道路か
幅4m以上の市道市当たる(1号道路)
幅4m未満の市道市2項道路の指定があれば道路とみなされ、敷地を下げる
市の指定を受けて造られた私道個人など当たる(5号道路=位置指定道路)
昔からある幅4m未満の私道個人など2項道路の指定があれば道路とみなされ、敷地を下げる
農道や、敷地と敷地の間の通路さまざま当たらないことがある

表の「1号道路」「2項道路」といった呼び方は、次の章でまとめて整理します。

「公道なら安心」とは言い切れない点に注意が要ります。市道でも幅が4mに満たなければ、建て替えのときに敷地の一部を道路として下げる対象になり得ます。これをセットバックといい、このあと詳しく見ていきます。

たとえば、築40年ほどの中古住宅が、幅3mほどの道に面して建っているとします。今の家は問題なく住めても、建て替えるときは道の中心から2m下がった位置までしか使えません。「今の家が建っているのだから、同じ家が建つはず」という思い込みは、道の種類によって外れることがあります。

道の条件は、重要事項説明(契約の前に宅地建物取引士が書面で行う説明)に出てきます。ただ、その説明は契約の直前に行われる場面もあり、そこで初めて気づくと考える時間が足りません。申込みの前に、販売図面と現地で前の道を見ておくと、落ち着いて判断できます。

柏市の道路の種別は?建築基準法の道路を一覧で比べる

この章の要点

  • 建築基準法の道路は、幅4m以上の5種類と、幅4m未満の「2項道路」に分かれる
  • 柏市の案内では、2項道路は幅1.8m以上の道とされている
  • 種別によって、持ち主やセットバックの有無、確かめる書類が変わる

第42条第1項は、幅4m以上の道路を5つに分けています。号の番号から「1号道路」「5号道路」のように呼ばれます。柏市のよくある質問の説明をもとに、買う人が見ておきたい点を表にしました。

種別どんな道か持ち主の例買う前に見る点
1号道路国道・県道・市道など、道路法による道路国・県・市市道でも、幅4m未満なら1号道路ではない
2号道路土地区画整理事業や開発許可などで造られた道路事業者。市に引き継がれることもある造られた経緯と、今の管理者
3号道路(既存道路)建築基準法が適用される前からある、幅4m以上の道柏市の案内では基本的に私道持分と、通行・掘削の承諾
4号道路2年以内に事業が行われる予定として指定された道路事業を行う国や市など事業の予定と時期
5号道路(位置指定道路)個人などが造り、市から位置の指定を受けた道個人など指定の図面と今の幅、持分
2項道路適用の時点で家が建ち並び、市が指定した幅4m未満の道市道・私道のどちらもある敷地を下げる幅と面積

「建築基準法が適用される前から」の時点は、地域によって違います。1950年11月に法律が施行された時か、そのあと都市計画区域に入った時です。

柏市のよくある質問では、2項道路を「幅員1.8m以上」の道と説明しています。法律では、1.8m未満の道を2項道路に指定するには、建築審査会の同意が要ります(第42条第6項)。建築審査会は、建築の許可などに同意する、市に置かれた機関です。

つくばエクスプレス(TX)の柏の葉キャンパス駅や柏たなか駅の周りは、土地区画整理事業で整備されてきた地区です。柏たなか駅の周りの事業は2022年3月に完了し、柏の葉キャンパス駅の周りは今も続いています。事業の中で造られた道路は2号道路に当たります。市道として認定された道路は、道路法による道路として1号道路にも当たります。

一方、昔からの住宅地では、幅4m未満の道に面した土地に出会うこともあります。表のどれに当たるかで、このあと見る点が変わります。

位置指定道路とは?公道との違いと、買う前に見る点

この章の要点

  • 位置指定道路は、家を建てるために個人などが造り、市から指定を受けた私道
  • 幅4m以上や行き止まりの長さなど、政令の基準を満たして指定される
  • 公道との大きな違いは、持ち主と、補修や配管の工事を誰が決めるか

位置指定道路は、第42条第1項第5号の道路です。土地を分けて家を建てるとき、分譲する会社や地主が道を造り、市から位置の指定を受けます。柏市は特定行政庁(建築確認などの権限を持つ自治体)のため、指定するのは柏市です。

指定の基準は、建築基準法施行令第144条の4で決められています。主なものをまとめました。

基準内容
幅4m以上(第42条第1項)
つながり方両端がほかの道路につながる。行き止まりは延長35m以下などの条件つき
角の隅切り道が交わる角に、2辺が2mの三角形の隅切りを設ける(内角120度以上などを除く)
路面砂利敷きなど、ぬかるみにならないつくり
坂縦断勾配(道の進む方向の傾き)が12パーセント以下で、階段状でない
排水道と、道に接する敷地の排水のための側溝などがある

位置指定道路に面した家を買うとき、公道との違いで気にしたいのは次の点です。

比べる点公道(市道など)位置指定道路
持ち主市など個人や、道に面した家の持ち主どうし
舗装や側溝の補修道路の管理者(市など)が行う持ち主が費用を出し合って行うのが基本
水道・ガス管を引き込む工事道路の管理者の許可を得て行う持ち主の承諾が論点になる
固定資産税かからない広く通行に使われていれば、非課税になる場合がある
道をなくす・形を変える道路法の手続きによる接する敷地が接道を失う場合、市が禁止や制限をできる(第45条)

柏市では、位置指定道路の図面の写し(縮小コピー)を、1通400円で交付しています。場所の分かる資料を持参して、市の窓口で受け取る仕組みです(柏市のよくある質問、申請手数料の一覧)。

指定の図面と、今の道の様子が違うこともあります。たとえば、図面では幅4mなのに、塀や植木が道にはみ出して、実際には3.6mほどしかない場面です。はみ出しは、建て替えや売却のときに話し合いが要ることがあります。図面の幅と今の幅を、現地で見比べておくと安心です。

道の傷み具合も見どころです。造られてから年数のたった位置指定道路では、舗装のひび割れや側溝の詰まりが見られることもあります。補修の費用は持ち主で分け合うため、近いうちに直す話が出ていないかも、売主に聞いておきたいところです。

2項道路のセットバックとは?中心線から2m下がる決まり

この章の要点

  • 幅4m未満の2項道路では、道の中心線から2mの線が道路の境界とみなされる
  • 向かい側が崖や川なら、その端から4mの線まで、こちら側だけで下がる
  • 下がった部分は道路の扱いになり、建物だけでなく門や塀も建てられない

2項道路は、第42条第2項の道です。幅4m未満でも道路とみなす代わりに、道の中心線から2mの線を、道路の境界線とみなします。今の道の端からその線までを、敷地から道路として下げる。これがセットバック(敷地の後退)です。

道の向かい側が崖や川、線路の敷地などに沿っている場合は、決め方が変わります。向かい側の端から4mの線が境界になり、こちら側だけで下がります。中心線から2mの場合より、下がる幅は大きくなります。

下がった部分は、道路として扱われます。建築基準法第44条により、道路の中に建物や擁壁(土を支える壁)はつくれません。柏市の案内でも、建物とそれに付く門や塀は、中心線から2m以上下がった位置に建てるとしています。

中古住宅でよく見かけるのが、道の端ぎりぎりにブロック塀が建っている場面です。今はそのまま使えていても、建て替えのときは塀を下がる線まで動かします。門柱や駐車スペースの位置も、あわせて考え直すことになります。

柏市の様式集には、敷地が幅4m未満の道に接するときに、建築確認の申請に添える誓約書があります。中心線から2mの線を確定し、縁石や石杭で示すことを約束する書類です。建物・門・塀・擁壁を、その線まで下げて建てることも約束します(柏市の様式集)。

さらに柏市は、市街化区域にある2項道路を対象に「柏市狭あい道路拡幅整備指導要綱」を定めています。家を建てるときや塀をやり替えるときに、事前の協議を求める仕組みです。要綱で市が求めている主な流れは、次のとおりです。

時期要綱で求められていること
建築確認の申請の14日前まで事前協議書を出す(市道か私道か、下がる幅と面積、塀などの有無)
工事の前道と敷地の境界と、下がる部分の範囲を確定する
工事のとき下がる部分の塀・擁壁・植栽などを撤去し、舗装して、後退の杭か金属標を設ける
工事のあと完了報告書を、写真を添えて出す

前の道が市道なら、下がる部分を市に寄附する予定かどうかも、協議書に書く項目です。要綱には、撤去や舗装の費用を市が出すとは書かれていません。中古住宅を買って建て替える計画なら、塀の撤去や舗装の費用も見込んでおくと、あとで慌てずに済みます。

なお、下がった部分も、寄附などをしない限り、土地の持ち主はそのままです。持ち主の土地のまま道路として使われるため、固定資産税の扱いも気になるところです。この点は、私道の章で触れます。

セットバックで使える面積はどれだけ減る?計算例で比べる

この章の要点

  • 減る面積は「下がる幅×道に接する長さ」でおおよそつかめる
  • 建ぺい率と容積率は、下がったあとの面積に掛けて上限を出す
  • 坪単価は、使える面積で割り直してから比べる

建築基準法施行令第2条により、セットバックした部分は敷地面積に入りません。建ぺい率は、敷地面積に対する建築面積の割合です。容積率は、敷地面積に対する延床面積の割合です。どちらも、残った面積に掛けて上限を出します。

仮の数字で比べてみます。敷地130㎡、道に接する長さ(間口)10m、建ぺい率50パーセント・容積率100パーセントの土地です。

前の道の幅下がる幅減る面積使える面積建築面積の上限延床面積の上限
4m以上0m0㎡130㎡65㎡130㎡
3.6m0.2m2㎡128㎡64㎡128㎡
3.0m0.5m5㎡125㎡62.5㎡125㎡
2.7m0.65m6.5㎡123.5㎡61.75㎡123.5㎡
2.7m(向かい側が川)1.3m13㎡117㎡58.5㎡117㎡

※道の中心が今の道のまん中にあり、向かい側もまだ下がっていない場合の単純計算です。

幅3mの道なら、減るのは5㎡、畳でおよそ3枚分です。間取りへの影響は小さく見えるかもしれません。ところが向かい側が川の場合は13㎡で、駐車スペース1台分に近い広さになります。同じ「幅2.7mの道」でも、向かい側の状況で結果がこれだけ変わります。

価格への影響も、数字で見ておきます。この土地が2,600万円だとすると、130㎡(約39.3坪)で割った坪単価は約66万円です。使える117㎡(約35.4坪)で割り直すと、約73万円になります。周りの土地と比べるときは、使える面積の坪単価をそろえて見ると、割安かどうかを判断しやすくなります。

販売図面では、土地面積に下がる部分を含めて書き、「セットバック約○㎡含む」と添えてあることがあります。どちらの面積で書かれているかを、まず確かめます。

前の道の幅が12m未満なら、道の幅による容積率の上限もかかります(第52条第2項)。住居系の地域では、原則「道の幅×0.4」です。2項道路では、下がったあとの4mとして計算するのが基本です。4m×0.4で160パーセントとなり、指定が100パーセントの地域では影響しません。

影響が出るのは、指定の容積率が200パーセントの地域などです。この場合は、道の幅による160パーセントが先に効きます。使える面積が117㎡の土地なら、延床面積の上限は187.2㎡です。3階建てや二世帯住宅を考えるときは、この数字で間取りを組み立てます。

計算はあくまで目安です。中心線の位置は、道の今の状況や、これまでに下がった経緯をふまえて確定するため、計算どおりにならないこともあります。

道路に2m接しているか|旗竿地と行き止まりの道の注意点

この章の要点

  • 2m以上接しているかは、間口の長さだけでなく、通路の幅でも見る
  • 行き止まりの位置指定道路には、長さや転回広場の基準がある
  • 建物の用途や規模によっては、条例で接道の決まりが上乗せされることがある

旗竿地(道路から細い通路で奥に入る形の土地)では、通路の部分が道路に接しています。入り口の幅が2mあっても、途中で2mより狭くなる場所があると、接道の条件を満たさないと判断されることがあります。測量図で、通路の幅がどこでも2m以上あるかを見ておきます。

間口がちょうど2m前後の土地は、特に慎重に見たいところです。塀や境界の位置が数cmずれるだけで、条件を割り込むおそれがあります。境界標(土地の角に打たれた目印)が残っているか、測量図と合っているかも、あわせて確かめます。

行き止まりの位置指定道路にも、決まりがあります。位置の指定を受けるとき、行き止まりの道は次のどれかに当たる必要があります(施行令第144条の4)。

  • 延長が35m以下である
  • 終わりが公園や広場など、車が向きを変えられる場所につながっている
  • 35mを超える場合に、終わりと35m以内ごとに、車の転回広場が設けられている
  • 幅が6m以上ある

このほか、周りの状況から、市が避難や通行に支障がないと認めた場合も含まれます。奥の区画を買うなら、道の長さと転回できる場所を図面で見ておきます。車の出し入れや、ごみの収集車が入れるかどうかのイメージもつかめます。

もう1つ、建物の用途や規模による上乗せの決まりがあります。第43条第3項では、地方公共団体が条例で、接道の決まりを加えられるとしています。対象になり得るのは、共同住宅や店舗などの特殊建築物、3階以上の建物、延べ面積1,000㎡を超える建物などです。行き止まりの道だけに接する、延べ面積150㎡を超える建物も含まれます(一戸建て住宅を除く)。千葉県では、千葉県建築基準法施行条例に、敷地と道路との関係を定めた条文があります。

2階建ての一戸建てなら、気にする場面は限られます。ただ、3階建てや賃貸併用住宅を考えているなら注意が要ります。どんな上乗せがかかるかを、設計者に早めに確かめてもらうと安心です。

道に見えても道路ではない通路と、建て替えられない家

この章の要点

  • 農道や里道、敷地の間の通路は、建築基準法の道路に当たらないことがある
  • 道路に2m以上接していない敷地は、原則として建て替えができない
  • 例外として、柏市の基準による認定や許可で建てられる場合がある

見た目は道でも、建築基準法の道路に当たらないものがあります。たとえば、田畑のための農道や、里道(古くからある公有の細い道)です。里道は古い公図に赤く塗られていたことから、「赤道」とも呼ばれます。敷地と道路の間に水路があり、そのままでは道路に接していないと判断される例もあります。

建築基準法の道路に2m以上接していない敷地では、原則として建物を新しく建てられません。今の家に住むことはできても、壊して建て直すときに建築確認が受けられない状態です。これを「再建築不可」と呼びます。周りより価格が抑えられている理由が、ここにあることもあります。

例外として、第43条第2項の認定・許可の制度があります。柏市の案内をもとに、2つの違いを整理しました。

制度主な条件決め方
第1号(認定)幅4m以上の道(道路に当たらないもの)に2m以上接し、利用者が少ない建物など、国の基準に合う市が支障がないと認める
第2号(許可)敷地の周りに広い空き地があるなど、国の基準に合う市が支障がないと認め、建築審査会の同意を得て許可する

柏市は、この認定と許可の運用基準を定めて公開しています。申請の前には、事前の協議が要るとされています(柏市の「建築基準法第43条第2項認定・許可」のページ)。認定や許可は、敷地ごとの審査で決まります。買う前から「許可が出る前提」で値段を判断しないことが大切です。

建て替えられない家は、住宅ローンの審査で担保の評価が低く見られることもあります。将来売るときも、買い手は限られやすくなります。それを理解したうえで、今の建物を直しながら長く住むという選び方も考えられます。リノベーションして住む考え方は『リノベ前提で柏の中古を買う|物件選びで見る10のポイント』でも触れています。

候補の物件がどの道に接しているかは、図面と現地の両方を見ないと判断しにくいところです。個別の土地の条件を一緒に確かめたい方は、お手元の物件資料とあわせてお知らせください。候補の物件の前面道路について「晃南土地」に相談する

私道に面した家を買うときの、持分と通行・掘削の承諾

この章の要点

  • 私道の持ち方には、全員で共有する形と、区画ごとに分けて持ち合う形がある
  • 持分がない、または一部しかない場合は、通行や配管の工事の承諾が論点になる
  • 2023年4月の民法改正で、ライフラインの設備を他人の土地に設けるルールができた

位置指定道路は個人などが造る私道で、柏市の案内では3号道路も基本的に私道です。私道に面した家を買うときは、道の持ち方と自分の持分を確かめます。私道の持ち方は、法務省の「所有者不明私道への対応ガイドライン」が2つに分けて説明しています。2022年6月に第2版へ改訂された資料です。

持ち方どんな形か買うときに見る点
共同所有型私道全体を、面する家の持ち主などが共有する持分の割合と、ほかの共有者
相互持合型私道を区画ごとに分け、それぞれが一部を持って通らせ合う自分が持つ部分の位置と、ほかの部分を通る承諾

土地や中古住宅の売買では、私道の負担は重要事項説明で説明される項目です(宅地建物取引業法第35条)。私道の面積や持分は、その書面で確かめられます。

持分がない場合や一部しかない場合に、論点になりやすいのが2つの承諾です。1つは通行の承諾で、車で通ることも含めて、道を通ってよいというものです。もう1つは掘削の承諾で、水道やガスの管を引き込むために、道を掘ることを認めてもらいます。売買では、売主がこうした承諾書を取りまとめて引き渡すかどうかを、契約の前に決めておくことがあります。

承諾書を受け取るときは、中身にも目を通します。だれが、どの土地について、どんな通行や工事を承諾したのかが書かれているか。将来この家を売ったとき、次の持ち主にも引き継がれる書き方になっているか。こうした点で、承諾書の安心感は変わります。

2023年4月1日からは、民法第213条の2が施行されました。他人の土地に設備を設けないと電気・ガス・水道などを受けられない場合、必要な範囲で設置できるとする決まりです。あらかじめ土地の持ち主などに通知し、生じた損害には償金を払います。

法務省のガイドラインは、この権利が成り立つ場合、承諾書がなくても民法上は設備を設置できると説明しています。不当な承諾料を求められても、応じる義務はないという記載もあります。ただし、実際に当てはまるかどうかは、土地ごとの判断です。法律の当てはめが要る場面では、晃南土地が窓口となり、専門家と連携して確かめます。

私道の補修についても、ガイドラインに考え方が示されています。共有の私道で傷んだ舗装を直すことは、保存行為(今の状態を保つための行為)として、共有者が単独でできる扱いです。砂利道をアスファルトで舗装するのは、持分の過半数で決められる例として挙げられています。

補修の費用は、原則として持ち主の負担です。柏市には「柏市私道整備事業補助金交付要綱」があり、条件を満たす私道の整備に補助金を出しています。主な条件は次のとおりです。

項目要綱の主な内容
対象の私道位置指定道路、または昭和45年7月31日以前から通行に使われている幅1.8m以上の道など
ほかの条件造られてから5年がたち、家が2戸以上面し、舗装と排水の整った公道につながっている
対象の工事舗装、排水施設の設置や改修、階段などの手すり(部分的な改修は除く)
工事の規模補助金の額が50万円を超えるもの
補助の割合道のつながり方により、対象経費の10分の7か10分の8
申請する人私道の持ち主など全員から委任を受けた人、または管理組合などの代表者

補助を受けるにも、持ち主全員の委任が要ります。道に面した家どうしで話し合える関係かどうかも、私道の家を選ぶときの見どころです。

固定資産税にも関わります。柏市のよくある質問では、公共の用に供する道路(広く通行に使われる道路)は非課税と案内しています。分筆されていない私道でも、要件を満たせば対象になります。申請が必要で、適用は申請した年の翌年度からです。税の判断が要る場面では、晃南土地が税理士などの専門家と連携して確かめます。

「持分なしと書いてあるけれど、この家は大丈夫?」と、まず一言だけ聞いてみたい方もいらっしゃると思います。スマートフォンから気軽に送れるよう、売買部につながるLINEも用意しています。晃南土地のLINEで売買部に相談する

柏市で道路の種別を調べる手順

この章の要点

  • 市道かどうかと道路台帳は、柏市公開型GISの地図で見られる
  • 建築基準法の道路の種別は、市の窓口で確かめる仕組みで、電話では照会できない
  • 地図や台帳は参考の情報で、実際の幅や境界は図面と現地で確かめる

柏市で前の道を調べるときは、手軽な資料から順に重ねていきます。

手順見るもの分かること
1販売図面・物件資料の「接道」「道路」欄公道か私道か、幅、接する長さ、セットバックの有無
2柏市公開型GISの「市道認定路線網図」「道路台帳図」前の道が市道かどうかと、その路線番号
3公図(土地の区画と地番を示す登記所の図面)・登記事項証明書(登記の内容を記した書類)道の部分の地番、持ち主、持分
4市の窓口での確認、位置指定道路の図面の写し建築基準法の道路のどの種別に当たるか
5現地今の幅、側溝、境界標、後退の杭、塀のはみ出し
6重要事項説明の書面道路の種別、接する長さ、私道の負担、下がる面積

手順1の販売図面には、たとえば「南側 私道 幅員約4.0m 接道約10m」のように書かれています。「約」がつく数字は目安のため、測量図や現地でも確かめます。私道なら「私道負担 約15㎡(持分4分の1)」のような書き方で、負担の面積と持分が示されることもあります。

手順2の柏市公開型GISは、GIS(地理情報システム)の略で、市の情報を地図で見られるサービスです。地点を探し、テーマの切り替えで「市道認定路線網図」を選びます。柏市の案内では、2026年10月9日までの路線の情報を反映し、更新は年2回(10月・4月)の予定です。

ただし、この網図は実測の幅や、市道と民有地の境界を示すものではないと、市が注意書きをしています。そして、網図で分かるのは道路法の市道かどうかです。建築基準法の道路のどれに当たるかは、別に確かめます。

柏市は、建築基準法の道路についての電話での照会を受け付けていません。市の窓口で確かめる仕組みです。仲介する不動産会社は、重要事項説明に向けて、こうした役所の資料を調べます。

手順3の公図と登記事項証明書は、登記所の窓口やインターネットで取り寄せられます。道の部分が独立した地番になっていれば、持ち主と持分が分かります。地目(登記上の土地の使いみち)が「公衆用道路」になっていることもあります。

公図と登記事項証明書からは、私道の持ち方の手がかりも得られます。道が1つの地番で、登記に複数の名前と持分が並んでいれば、共同所有型です。道が家ごとの細かい地番に分かれていれば、相互持合型の可能性があります。

手順5の現地では、道の幅を何か所かで測ります。幅は場所によって違うことがあるため、1か所だけでは判断しません。向かい側の家がすでに下がっているか、後退の杭が打たれているかも、手がかりになります。

契約の前に確かめたいことと、かかる費用の見込み

この章の要点

  • 道の条件は、価格・建てられる家・将来の売りやすさの3つに効く
  • 塀の撤去や舗装、承諾書の取りまとめなど、道まわりの手間と費用を先に洗い出す
  • 決めたことは、契約書や重要事項説明の書面に残す

ここまでの内容を、契約の前に見るチェックリストにまとめました。

  • □ 前の道の種別(1号〜5号道路・2項道路・道路に当たらない道)
  • □ 道に接する長さが2m以上あり、旗竿地なら通路の幅もどこでも2m以上あるか
  • □ セットバックの幅と面積、使える面積で計算した建ぺい率・容積率
  • □ 今の塀・門・擁壁・植木が、下がる部分に入っていないか
  • □ 私道の持ち方(共有か持ち合いか)と、自分の持分
  • □ 通行・掘削の承諾書の有無と、だれが取りまとめるか
  • □ 位置指定道路の図面と、今の道の幅やはみ出しの有無
  • □ 水道・ガスの管が、前の道のどこを通っているか

道まわりで生じやすい手間と費用は、次のとおりです。金額は工事の内容で大きく変わるため、見積もりで確かめます。

手間・費用生じる場面見ておきたい点
塀・門・植栽の撤去下がる部分にかかるとき狭あい道路の要綱で、撤去が求められる
下がる部分の舗装と後退の杭2項道路に面して建てるとき要綱で求められる。市の費用負担は要綱に書かれていない
境界の確定・測量下がる範囲を決めるとき市道なら、境界の確定が済んでいるか
承諾書の取りまとめ私道に面するとき売主と買主のどちらが行うか
私道の補修私道の舗装が傷んだとき持ち主の負担。柏市の補助の対象になる場合がある

塀の撤去には、柏市の補助制度が使える場合もあります。「危険コンクリートブロック塀等除却工事費補助金」という制度です。道路などに面し、高さが原則1.2mを超えるブロック塀などが対象です。対象になるかは、市の職員による現地の調査で判定されます。

2026年度(令和8年度)の内容は、次のとおりです。

項目2026年度の内容
補助の額塀の長さ1mあたり1万円と、撤去の費用の低いほう
上限道路などに面する塀は10万円、通学路に面する塀は20万円
受付2026年5月7日から11月30日まで、20件
主な条件事前の相談をしたうえで、撤去工事の契約より前に申請する。販売のための撤去は対象外

補助を受けられるのは塀の持ち主のため、使えるのは買ったあとです。翌年度も同じ内容で続くかは、市の公式ページで確かめます。

中古住宅を買う場合は、今の家がすでに下がって建っているかも見ます。下がっていなければ、建て替えのときに塀や駐車スペースの位置が変わることがあります。

決めたことは、口約束にせず、契約書や重要事項説明の書面に残します。たとえば、承諾書を売主が引渡しまでに取りまとめる、といった取り決めです。中古住宅を買う手順は『柏で中古住宅を買う流れ|申込から引渡しまでのステップと注意点』で整理しています。土地から建てる場合は『柏で土地を買って注文住宅を建てる|土地探しから引渡しまでの流れ』をご覧ください。

道の条件は、建物と違い、買ったあとに自分だけでは変えにくいものです。価格や間取りより先に、前の道を確かめる順番にしておくと、候補の絞り込みがぶれにくくなります。

よくある質問

Q. 前の道のことは、何から確かめればいいですか?

A. まずは販売図面の「接道」や「道路」の欄を見るところから始めます。そこに、道が公道か私道か、幅、道に接する長さ、敷地を下げる必要(セットバック)の有無が書かれています。そのうえで、建築基準法の道路のどれに当たるかを、仲介する不動産会社に確かめてもらいます。柏市では、この確認は電話ではできず、市の窓口で行う仕組みです。

Q. 敷地を下げる必要がある土地は、買わないほうがいいですか?

A. いいえ、それだけで避ける理由にはなりません。道の中心から2m下がる分、使える面積は減りますが、その分が価格に反映されていれば、納得して選べます。大切なのは、下がったあとの面積で、建てたい家が入るかを計算することです。道が広がることで、車の出し入れがしやすくなる面もあります。

Q. 私道に面した家で、道の持分がないと困りますか?

A. すぐに住めなくなるわけではありませんが、確かめておきたい点があります。持分がないと、車で通ることや、管の引き込みで道を掘ることについて、持ち主の承諾が論点になりやすくなります。2023年4月からは、電気・ガス・水道の設備を他人の土地に設けるルールが民法で定められました。それでも、承諾書があるかどうかは、契約の前に確かめておくと安心です。

Q. 私道と市道では、暮らしや費用に違いはありますか?

A. 主な違いは、道の補修をだれが負担するかです。市道などの公道は、道路の管理者である市などが補修します。位置指定道路などの私道は、持ち主が費用を出し合って直すのが基本です。柏市には、条件を満たす私道の舗装や側溝の整備に、対象経費の10分の7か10分の8を補助する制度があります。

Q. 建て替えができない家でも、買って住んで大丈夫ですか?

A. 住むことはできますが、建て替えられない前提で判断します。今の家を直しながら長く住む計画なら、選び方の1つになります。ただし、住宅ローンの審査や、将来売るときの買い手の数で、不利になることがあります。柏市の基準による認定や許可で建てられる場合もありますが、敷地ごとの審査で決まるため、買う前に見込みを確かめます。

まとめ

前の道の条件は、建てられる家の広さや、建て替えができるかどうかを左右します。ポイントを振り返ります。

  • 家を建てる敷地は、建築基準法の道路に2m以上接している必要がある(第43条)
  • 「公道か私道か」と「建築基準法の道路か」は別で、種別によって確かめる点が変わる
  • 2項道路では中心線から2m(向かい側が崖や川なら、その端から4m)まで下がり、下がった部分は敷地面積に入らない
  • 私道に面した家は、持ち方と持分、通行・掘削の承諾、補修の負担を確かめる
  • 柏市では、市道かどうかは公開型GISで、建築基準法の種別は市の窓口で確かめる

土地や家の値段には、前の道の条件も含まれています。使える面積で坪単価を割り直し、建てたい家が入るかを計算してから、候補を比べてみてください。

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なお、晃南土地は2026年12月に、柏駅から徒歩6分の柏市中央町に柏支店を開業する予定です。開業までの来店でのご相談は、我孫子店で承っています。柏支店の所在地は、「晃南土地」柏支店のページでご覧いただけます。

「まだ物件を見始めたところ」と添えていただいても大丈夫です。特定の物件をおすすめするのではなく、道の条件の読み方の整理としてお手伝いします。

企画構成・文/晃南土地 編集部

千葉県我孫子市を拠点に、1991年から地域の不動産に携わる晃南土地株式会社の編集部です。売買・賃貸・賃貸管理・買取り・リノベーションを一社で手がける立場から、柏・我孫子エリアの住まいと不動産の情報を、分かりやすくお届けします。

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