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私たちの街創りby Abiko A-life

2022年08月29日

多様性のエネルギー「NECグリーンロケッツ東葛 瀧澤 直」VOL.01

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「個人をチームを延いては街を活性化させる多様性とその理由。」

 

NECグリーンロケッツ東葛 瀧澤直選手

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晃南土地株式会社代表取締役 中澤洋一社長

特別対談【前編】

 

 

 

INTRODUCTION

 

2021年ラグビーの日本におけるリーグのあり方が大きく変わりました。興業制限が解除されプロ化が解禁、チームがより自主的に活動を展開できるようになり、NECグリーンロケッツは「NECグリーンロケッツ東葛」(以下GR東葛)に改称、活動拠点を我孫子市に置き、千葉県東葛エリアをホストタウンとして拠点を広げ、地域と積極的にコミュニケーションを取っていくことで地域の繋がりを築く重要なHUBとして欠かせない存在となることを目指し、「ジャパンラグビーリーグワン」のトップディヴィジョンにあたるDIVSION1に所属、様々な活動をスタートしています。

 

晃南土地株式会社は我孫子市の企業として、記念すべき公式スポンサー第1号としてオフィシャルパートナーに就任、チームの仲間入りをいたしました。現在パートナーとして2期目に入りオフシーズンでの連携した地域活動の準備を進めています。

 

1シーズンを共に戦い見えてきたこと、これからの展望を「NECグリーンロケッツ東葛」のキャプテンとして活躍する瀧澤直選手、晃南土地株式会社代表取締役の中澤洋一社長に伺いました。

 

 

対談:

NECグリーンロケッツ東葛  瀧澤 直 氏

晃南土地株式会社 代表取締役 中澤 洋一 氏

取材・編集:大坪祐三子

撮影:FILMS inc. 岡部俊雪

 

 


 

 

 

 

ラグビーの魅力は「多様性」

 

大坪:

以前瀧澤選手にラグビーの魅力をお伺いした時、すぐさま「多様性!」と断言くださったのが非常に印象的で忘れられませんでした。チームのキャプテンとして、なぜ多様性が魅力と断言なされたか?少し深掘りさせてください。瀧澤選手にとって「多様性」とは一体どのようなものでしょうか?また、なぜそれがチームスポーツであるラグビーの魅力と言えるのでしょうか。

 

瀧澤選手:

ラグビーで「多様性」を私なりに語るとすると、スポーツの中でラグビーというのは大きい人から小さい人、足が速い人遅い人、力がある人あまりない人、どういう人たちでも同じチームでプレイできて、何かしらその人にしかできない、その人でなければならない役割が生まれ、助け合い、強く大きく成長していける。そういうスポーツだと思います。

 

背が高い人が背の低い人をフォローする。その代わり背が低い人は足が速いから背が高くて足の遅い人のフォローをする。また、そういう肉体的、運動能力的違いだけでなく、15人が同時にフィールドに立ち、チームとしては40人50人という規模になるスポーツなので、チームの中で「キャラクター」というのも非常に重要になってきます。

 

口下手な人がいて背中で表現する人もいたり、身体能力でチームを引っ張っていきたいけどうまくやれない人もいて、自分の明るさやキャラクター、言葉でチームを引っ張って行ってくれたりする。そういうところでチームにプラスの影響を与えてくれるような「内面の多様性」が大切なスポーツでもあります。

 

またラグビーは日本の中でも非常に国籍も豊かなスポーツです。うちの選手で言うと、出身地はニュージーランド、サモア、フィジー、ウエールズ、オーストラリアなど、過去にはイギリスや韓国、台湾の選手もいましたし、色々な国の様々な言語を使う選手が一緒になって1つのチームを作り上げていかないとならないスポーツです。

 

肉体的だったり、精神的だったり、バックグラウンドだったり、様々な違いが複雑に絡み合い、それら全てを1つにしていくプロセスが他のスポーツより色濃く、特徴として強いのがラグビーだと思っているので、「多様性」そのものと言えるスポーツだと思いますし、それを受け入れなければチームとして成り立たないスポーツだと思っています。

 

 

 

「助け合い」「想定外な動き」が面白い!

 

大坪:

地球で生きる人間の営みそのものがラグビーの本質とつながっているのですね、面白いです!ラグビーを見る側にとって、その多様性とはどのような魅力、面白みになって伝わってくるとお考えですか。

 

瀧澤選手:

僕のようなスクラムを組む選手がボールを持って走り出すと「おぉぉー!」となりますし、こういう想定外、予想外のことが起きるのが面白い。

 

小さい人がものすごいパワフルなプレイをするようなシーンとか、そういう想定とのギャップが見られる時って凄く楽しいと思います!

 

勿論、皆がオールラウンドで全てにおいて満遍なくできる事は、本当は素晴らしいことなのかもしれませんが、実際にそれはなかなか難しく、「助け合い」の部分が必要です。それが試合で「想定外な動き」として見えてくるのが面白い、ワクワクするのだと思います!

 

僕のように足の早くない選手を、足の速い選手が助けてくれているようなシーンって、見ていて何か心に届くものを感じられるのではないかなと思います。そういった「助け合い」を見つけていただけると、見ていて楽しいかなと思いますし、見ていて熱いものが伝わってくるのではないかなと思います。「助け合い」を見てもらいたいかなと思います!

 

大坪:

試合の中で想像もしていなかったような場面にワクワクしたり、助け合いの場を見て感動したり。伝わってきて感動するというのはそういった部分ですね!

 

思いつきですが、会場で配られるパンフレットに、いつものように選手の得意な部分と合わせて、苦手な部分、弱みも書いてあって、「助け合いを探して楽しもう!」なんてメッセージがご案内にあるのもラグビーらしくて面白いかもしれませんね!新しい!

 

大坪:

キャプテンとしてチームづくりという観点からですと、企業のトップとして経営をされ、多くのスタッフをまとめてリードしていらっしゃる中澤社長にとっても何か通じるものがあるように思います。

 

中澤社長は総合不動産であること、部署間のサービス連携での生涯にわかる顧客ケア(我・孫・子の世代を超えたライフサポートパートナー)にこだわって事業を展開されていますが、何か多様性に関して共通する思いはありますか。

 

 

 

共通の価値観があって、はじめて多様な集まりも強さや魅力となる

 

中澤社長:

先日瀧澤選手が「多様性」とおっしゃっていて、改めて言葉の意味を調べていました。異なる性質が幅広く集まるだけでなく、「ラグビー」「NECグリーンロケッツ東葛」というような、核となって重なり合う共通の価値観があって、はじめて多様な集まりも強さや魅力を持つようになると考えます。

 

街づくりをしていくにしても仕事づくりをしていくにしても、これから多様性は益々重要になってくると思います。多くの情報の中、正解のない時代を生きていくにあたり、私たちはこれから如何に情報を見極めてまとめていくか、そういう力が必要になってきます。

 

そうした中、不動産業としての役割として「人のつながり」を大切にしていきたいと考えています。多様な価値を持つ人を見つけてつないでいくことが、街の活性化につながってくると思っています。

 

大坪:

中澤社長はなぜ、地域の不動産企業として「総合不動産」であることにこだわっていらっしゃるのでしょうか。新たな事業を始めるにあたり、建設業の免許も取得されましたね。そのような成長を続ける組織を形成されていくにあたり、大切にされていること、またどのような人事、採用を心がけていらっしゃるのでしょうか。

 

 

 

街のニーズや課題に合わせて事業展開。多様で総合的な体制の重要性

 

中澤社長:

地域に根付いた不動産会社は街の人の生活の中でなくてはならないビジネスの1つだと思っています。そのため絶やしてはいけないですし、より必要とされるために何をすべきか考え続け、成長を続けていかなければならないと思っています。

 

会社のヴィジョンを100年企業としていますが、私も先代の社長から会社を継承しているように、私もまた次の代につなげていきたいと思っています。

 

大坪:

街の住まう事へのニーズや課題に合わせて、時代に合わせて柔軟に事業を展開して解決をしていけるためにも、総合的な体制でいることを非常に重要だということですね。

 

中澤社長:

そうですね、多様性です!

 

 

 

スポーツチームは地域の感謝や感動、共感、応援、支え合いを届けるメディア

 

大坪:

多様性を持ってNO1チームを目指すお二人ですが、パートナー企業としてご一緒している理由が互いの根底にある地域創生、地域に根付いた活動という理念に共感したからですね。質問させてください。

 

なぜ今、日本の企業として「地方創生」に取り組むことが大切なのでしょうか。地域に根付いた企業(事業)として考える地域創生とは一体どのようなもので、チームの代表としてどのようなリーダーシップを実践されているのでしょうか。

 

瀧澤選手:

僕たちはラグビーチームというフィルター通して、試合だったり、その結果だったり、活動だったりから「感動」や「共感」、「感謝」など、そうした「見えない大切な何か」を伝え合い、分かち合うような役割を果たしていくというのが使命であり、存在価値であると思っています。

 

世界に向けてそのような役割を担っていけるのが勿論必要なのでしょうが、まずは何より自分たちの一番近くで身近な存在である地域の方々に「それ」が伝わらなくては、遠くの人にも届くことはありません。

 

個人としても多くの選手が生活をして、母体も拠点を置く我孫子市、そして東葛8市エリアの方に試合に足を運んでいただき、まずは気軽に私たちの試合や活動を見にきていただける事、そしてそこで皆さまの心に「見えない大切な何か」を届けられて、何かを動かせることができればいいなと思います。数字では表せない部分でもあるかもしれませんが、これはスポーツの根底にある、価値そのものなのではないかなと思います。

 

その中にラグビー独自の価値も創り出せるかもしれませんし、選手一人ひとりが、選手としてだけでなくひとりの人間として、その人にしかない価値を、まずは近い存在である地域の皆さまに伝えていけたらと思います。

 

地域の方に「がんばってね」「応援しているよ」と声をかけていただけるだけでも有り難いことですスポーツという好きな事もやらせてもらっていますし、僕たちは応援の言葉で地域の方に「見えない大切な何か」を既にいただいてるので、私たちも常に何かを皆さまにお返しできたらいいなと思って活動しています。

 

大坪:

地域の皆さまとつながり、互いに感謝の気持ちや感動、共感、応援、支え合いを分かち合い、それをより広くより多くの方に届けていくための発信源となっていく。地域がこれから必要としていく新たな形のメディア的存在ですね。街の1人の住人の声では響かないメッセージも、地域のスポーツチームが伝えると全く別物になる。スポーツチームは、地域から世界に向けて奇跡が起こせるメディアですね!

 

 

中澤社長:

興業化が決まりスポンサーとしてのお声かけいただいた時、GRさんの活動理念として地域に対する社会貢献、課題解決をうたっていらしていて、私たちもまさに「私たちにしかできない街づくりを」と地域創生をテーマにした理念を掲げていますので、地元のスポーツチームとパートナーになりご一緒することで、何かより街のためになることが具体的にしていけるのではないかと思いました。

 

企業の認知度アップといったプロモーション要素でスポンサードする企業も多いと思いますが、私たちはご一緒することで地域の方と選手の皆さまを「おつなぎする役目」として貢献のではないかとパートナーになりました。今年もより一層積極的に活動をして成功事例を作り、地域の企業の方々にとって良いモデルケースになり、こうしたパートナーシップが増えて活動が盛んになっていけばいいなと思っています。

 

 

 

 

地域づくりには街づくりと人づくりがあると聞きました。私たちは不動産会社として街づくりを軸に「つなぐ」活動をしていきたいと考えています。地域創生とはこうしたつないで掛け合わせる経済活動だと思います。企業が自社の利益追求だけで経済活動をしても成功しない時代です。私たちであれば「不動産x街づくり」といったように、企業の存在価値に合わせて様々な活動をしていかなければ生き残っていくのは難しいと感じています。人口も明らかに減っていきますので、地方で活動する企業は一層掛け算で様々なことができる体制を取ることが重要になってくると思います。

 

地域に根差したスポーツチームの選手と地域の方々、地域の子どもたちが同じ街に暮らし、日常でつながり、試合でつながり、様々な出会いから色々な展開に広がり、勢いのある元気な人がどんどん出てきて活躍して、街を盛り上げてくれると面白くなってくると思っています。

 

大坪:

GR東葛の「発信力と求心力」、そして晃南土地をはじめとするパートナー企業の「つなぐ力」が掛け算になり、そこに引き込まれるようにプラスアルファのエッセンスが加わって、地域創生が始まり、地域から日本を元気にする。元気な人が日本を元気にしていく、そういう動きが始まっているということがパートナーシップの何よりの魅力であり価値ですね!

 

 

 

ただただいい選手であるだけがいいのか、それとも。

 

瀧澤選手:

選手たちはチームが強くなるために自分たちのパフォーマンスを日々高めていくことにどうしてもフォーカスをしてしまいます。それは勿論私たちがしなくてはならない大切なことだと思いますが、反面、中澤社長のおっしゃる通り、色々なところに顔を出して人と積極的に触れ合っていくことも、ラグビーがプロフェッショナル化をして、スポーツの存在意義を一層に問われている今だからこそ、これまで以上に考えていかなければならなくなっていると思います。

 

ただただいい選手であるだけがいいのか、それとも地域や色々な人に接していく場に出ていく活動もしていくべきか、選手も今後一層考え、アプローチしていく必要があると思います。問題は、選手たちは私を含めそういったことが得意な人間ではないので…。ごくたまにいるのです、自分でどんどん活動して自分でラグビー教室とかも立ち上げて全国行脚していくような積極的な選手も。ごく稀にいるのですが、本当に稀で(苦笑)。

 

基本的にはみんな内向的で自分たちから「何かしよう!」と言える選手は少ないので、選手たちをそうした機会とつないでくれるような場があるととても有難いです。「自分たちにやらせて下さい」という思いの選手は多く、そこで選手たちも学びや気づきを得ることが沢山ありますので。

 

 

 

「スキルの多様化」

 

瀧澤選手:

例えばこうした対談で話すことは、自分の考えが整理できるチャンスにもなりますし、人と話すことで様々な考えに触れて新しい気づきを得ることもできます。今選手にとって、自分たちで動いてこうした場を得る、もしくは人からいただく、というのがこれまで以上に必要になってきていることを痛感しています。地域であればあるほど、日常での地域とのつながりは強くなっていきますので一層強いと思います。

 

大坪:

スポーツチームにとって、興業化をして様々な異業種のスポンサーがパートナーとして一緒に活動をしてくれることになり、応援してくれる仲間が多様化したことは大きなメリットであると思います。多様なサポーターが応援してくれることで、チームが成長するためにより多くのアイデアやできることが増えてくることは勿論ですが、瀧澤選手がおっしゃるように、選手一人ひとりの「スキルの多様化」の活性にもつながっていきますね。

 

 

 

瀧澤選手:

興業化のおかげでこうしてスポンサーをしてくださる地域のパートナーさんと、より深い関係が生まれました。以前の 「NECのラグビー部」という形ではこのような関係を地域企業と築いていくことはなかなかできなかったので、Rugby League Oneになったことで良いチャンスをいただけていると実感しています。

 

 

【 後編 】に続く