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私たちの街創りby Abiko A-life

2021年02月19日

感性の力が必要な時代「FACTORY GEAR 高野倉匡人 」

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「工具にこだわり丁寧な作業をする、日々を丁寧に生きる人たち。」その生き方や思想を尊重し、上質な工具が提案できる様々な価値を国内外に向けて発信、挑戦と拡大を続けるFACTORY GEAR(ファクトリー・ギア)は、1996 年に千葉県柏市で代表取締役の髙野倉匡人さんが創業した国内で唯一の上質工具専門店です。

 

上質なモノ作りを支える厳選した高品質工具を世界中からセレクトし、国内外16店舗で紹介しています。また工具を使う現場からの声を元に、日本の現場にフィットするオリジナルブランド「DEEN」を開発し、業界に旋風を巻き起こしています。個人から大手法人まで多くの方の工具選びのコンシェルジュとして信頼を集めている髙野倉さんの、国の歴史や文化などを交えた独特な世界観で熱く語る「工具魅力トーク」は、YouTubeでも人気を博し、その感性は様々な業界からも注目を集めています。

 

 

高野倉さんは我孫子在住。このビジネスの閃きは幼少期の沢山のご経験から。

グローバルにご活躍する高野倉さんがなぜ住まう地として我孫子を選んだのか。高野倉さんから見た我孫子の魅力と、経営者として今どんな思いでご活動をされているかを伺ってきました。YouTubeでお馴染みのトークに引き込まれワクワクが止まりませんでした!高野倉ワールドに引き込まれ、すっかりロングインタビューとなりました。リスナーとしてプライベートでも親交のある晃南土地株式会社、代表の中澤洋一社長にもご参加いただき実現しましたワクワク対談。VOL.001【我孫子編】、VOL.002【ビジネス編】にて、全文掲載でシェアいたします。

 

VOL.002【ビジネス編】はビジネスのみならず、子育てにもとても参照になる素敵なお話やヒントが盛り沢山です!子育て世代のお父さんお母さん必見です!多くの方にこのワクワクが届きますように!

 

聞き手:晃南土地代表取締役 / 中澤洋一

編集:大坪祐三子

 

<note>※取材&撮影は2019年年末に実施いたしました。新型コロナウイルスにより街創りダイヤリーを一時的に休止していたため、掲載延長としていましたインタビューです。

 


 

VOL.002【ビジネス編】

 

人が豊かに生きると言うこと

 

中澤さん:

高野倉さんは、人が豊かに生きると言うことにとてもしっかりとした強いビジョンをお持ちですね。

 

高野倉さん:

私が初めて沼南町(当時)でビジネスを始めたのは1995年です 。本当に何にもなくて、森だったんだよ。全部!森の中にうちの家しかなかった。普通なら絶望的なシチュエーション。こんなところに親が土地を持っていて、我孫子の人すらきっと「こんな所でどうやって商売したらいいんだろう」と絶望すると思う場所でスタートしました。大抵はみんな東京に出て行ったり、東京に行けば誰かが助けてくれる、東京に行けば大きなマーケットがあるかもしれないって思って離れて行くと思います。でも僕は、森の中の一軒家でどうやってビジネスを作りげていくのかと言う視点で、「チャレンジすれば出来ることがある」という考え方をしたんです。

 

 

 

与えられた環境と自分が持っている条件の中で、やれる方法を少し考える。

 

僕は始めたった一人でした。誰も居ない森の中にポツンとある一軒の道具屋で、レンチを1本1本売り始めました。オープンした初月の売上は、忘れもしない66万円です。それが今は200倍くらいになってる。月1億3千万とかです。そう行った「可能性」がこの場所にもあったという事です。

 

え、こんなところ?え、我孫子で起業?とか、そう行った入り方ではなく、まず最初に与えられた環境と自分が持っている条件の中で、やれる方法を少し考える。こんな風に考えをもつと、何とかやれる可能性は見つかるんだと言うことが1つあります。

 

Something different。いかに人と違うこと世の中にないものを売りだし、その魅力を打ち出して伝えていくか。

 

大抵皆、何か始める時もビジネスを始める時も、世の中にあるものや流行っているもの、人気があるものを追いかける。でも、そこへ行っちゃうと巨大なマーケットで力のある強いところしか勝てません。そう言う中で秀でるには、いかに人と違うこと世の中にないものを売りだして、その魅力を打ち出して伝えていくか、なんです。その視点でいくと、我孫子市のブランディングも一緒。いかに人と違う何かsomething different、何かちょっと違う、ちょっと特別なものを考えていけば可能性ってすごく出てくるんです。

 

だからと、敢えてここを選んで商売を始めた訳ではないですが、たまたま親が持っていた土地があり、そこに区画整理が入り、20年先をイメージして違う建物を立てよう、そう考える機会に恵まれたんです。区画整理で移動の保証があり、タダでお店が建てられる。チャンスでした。

 

国道16号、当時は国道サイドでのビジネスが華やかな時で。1日に何百万台と言う車が通り、テレビ広告よりもラジオ広告よりもロードサイドにあるお店の宣伝広告の方が人気で、反響がすごく高いと授業で聞いたことを思い出し、自分はお店の前で工具をこうして持ってこうやって(振りながら)「いかがですかー!」って販売をしてました(笑)。でも元々は新卒で大塚商会に入社し、トップセールスマンとなりタイトル総ナメ、のような会社勤めをしていました。で、2年目に退職。うちの親に騙されて(笑)。

 

普通なら息子のこんな成功ぶりを喜ぶのに、うちの親はそれが非常に不愉快だと言ってきたんです。何で人の会社のためにそんなに頑張ってるのよ、うちで商売やってるのに!うちに帰ってきたらもっと稼げるじゃない、なにやってるんだ!と。工場回って軍手を売って回ってるような、お父ちゃんお母ちゃん商売ですよ。その勢いで半ば無理繰り帰らされてまして。俺はまだ残ってオフィスラブとかもしたかったし、まだ何もなかったから、もうちょっといたかった(笑)。

 

だけど帰ってこいって言うから帰りました。そうしたらもう、自分は「大塚商会」って看板があったから売れていただけで、親父とお袋のやっている街場の商売に入り、自分には「売る力」が無いんだと痛感しました。やる気を失い暗黒の二十代に突入という訳です。

 

 

 

 

中澤さん:

苦労をされている分、大切にされていることのエピソードがいっぱいありますよね!JCで一度ご講演されているのを伺いました。給料日に社員に毎月必ずお手紙を書いているエピソードは印象的で、今でもよく覚えています。そこでおっしゃっていた事は、私も経営者として自信にもなりましたし、大切にしています。

 

短絡的な考えには、そうした落とし穴がある。現場に考える習慣をつけること。

 

高野倉さん:

あの、お手紙ね!一度やめてまた復活させたんだよ。企業は絶対に、社長だけを意識して仕事をするようになっては絶対にダメだと思ってる。それもあり、発信を控えるようになったのですが、すると全然違う空気が出来上がってしまい。発信を再開したら、「あれ?皆こんなに誤解、勘違いしていたの?」と一生懸命軌道修正です。ただそれも危険で、社長発信を始めるとまたすぐに「社長、社長」って一瞬で戻ってしまうんだよね。全部、聞くようになる。簡単だから、その方が。

 

最近の子は、何でも瞬間に簡単に答えが出るのが好きだから、社長っていうこんな最高で簡単なGoogleはない訳ですよ。ググったらすぐに答えてくれますから。投入すれば、もうみんな頼り始めてしまいます。挙げ句の果て「ネットの商品説明をコメント出したいので書いてください!」と言う始末。

 

「俺は書かないよー、俺がなぜ書かないか、みんなでディスカッションしてね。マーケティング的に書かない理由をみんなで考えてごらん。」と返した訳です。俺が書いたら他のコメントが見られなくなって、皆のコメント書きが意味のない仕事になってしまう可能性を示唆しました。ZOZOのコメントを前澤さんが書いてしまったら途端にお客様は前澤さんのコメントしか注目しなくなっちゃう。そういう事です。短絡的な考えには、そうした落とし穴があることを考える習慣をつけて欲しくて、今は全てに「ナゼ、ナゼ、ナゼ?」と返すようにしています。働いているスタッフの意識を改善していくと言うのは、簡単な事ではありません。

 

人と一緒でないことがいい。一番大きなきっかけは小学校6年生のある出来事。

 

中澤さん:

高野倉さんの「ピンチはチャンス」発想や考え方の転換など、それはどのようにして出来上がっていきましたか。

 

小さい時から親に、「人と一緒でないことがいい」と刷り込まれてました。皆と同じような事や格好をしようとすると、「そんなのでいいの?」といつも言われて。母親の一族は商売人が多く、祖母の弟はEDWINの創業者で日暮里で飛ぶ鳥落とす勢いで売れていて、親族皆で商売を手伝っていたりして、母は常に「商売」という環境の中で育ってきたからでしょう、そうした中で色々な気づきがあったのだと思います。だから僕は常に人と違うことが重要なんだと、繰り返し言われて育ちました。

 

JCのセミナーでも話したことがあります。一番大きなきっかけは小学校6年生の時。一日留学という中学訪問が当時開催されていました。全校集会で中学生に「今日は小学校から中学校を見に来ました。」って紹介をされるのですが、体育館にいる男子生徒が皆同じ学ランを着て丸坊主で、その同じ格好の中学生が全員一堂にこっちを見てきた時に、もの凄い違和感を覚えたんです。?、おかしいな、と。学校に戻った時に、担任の先生にその事を伝えたんです。「みんな同じ丸坊主で同じ制服着てなんか変だった。どうしてみんな同じ丸坊主にするの?」って聞いたんです。

 

すると先生が「お前面白いことに気がついたね。自分が不思議だと思うことは中学校の先生に聞いてみたらいい!」と言ってくれて。小学校に家に帰る途中にランドセル背負って中学校に行ったんです。中学に着いて職員室に行くと、最初は生徒指導の先生が出迎えてくれたのですが、その先生が校長室に案内してくれて、小学生の僕が校長先生と1対1で話す事になったんです。校長先生に聞くと「理由なんか無いんだよ。君がおかしいと思うなら、髪を伸ばしてきたらいいじゃないか。私が許可をしよう。その代わりご両親に説明するから一度来てもらってね。」て言ってくれて。早速両親に話すと「じゃあ行ってきてあげる!」と。

 

そうして校長先生が許可をくれて、全員丸坊主の学校に一人だけ長髪で学校に通ったんです。それは当時にしてみたら大変な革命で、裏の竹やぶに上級生に毎日呼ばれるような状況でした。人と違うことをやるのは、こんなに大変なことなのか!と思いましたが、そういう自分を面白いと思ってくれる先生もいたり。やってご覧と機会をくれた校長先生がいたことが巡り合わせでしたね!

 

そうそうそうそう。本当に大変だったので、時々校長先生と帰りが一緒になると車で家に送ってくれたり、支持してくれる先生は、僕が風邪をひいて試験に出られなくても5をくれたりとか、自分のことが嫌いな先生はどんなに全校トップクラスの成績を取っても5を絶対にくれないとか。本当にめちゃくちゃなんですよ、そう言うのが当時あったんです。大変でしたが、中学生のうちに人と違う事をする苦労を体験したので、高校に入学してホッとしました。人と一緒は楽だな、でもやっぱりつまらないなって痛感しました。それ以来ですね、人と違うことをすると言うことが体に入ったのは。

 

うちの奥さんもそうですけど、誰からも評価され誰からも良い子って言われるように、はみ出ないようにいじめられないようにと、常識的なところで子供に要求をしたりお母さんも多いじゃないですか、比較的。

 

個性や個人の考えを抑える事で、表現しにくい環境が出来上がっているのは事実。表現できない分、違う形で心の内に閉じ込めている自分が制御できなくなり、見えない所で出してしまったり、突然爆発してしまうような状況も出ているのだと思います。

 

モノを生み出す力やクリエイティビティが育ちにくい環境になってきてるな、とも思います。

自分は個性を表現できる環境に恵まれたので良かったと思います。

 

 

※写真は2019年に手賀沼公園で開催したイベントNEIGHBORSHIPでのワークショップの様子。自分たちで楽器(カホン/打楽器)を作り、プロのフラメンコダンサーと演奏家に混じって即興で作り立てのカホンで演奏を行うというもの。

生きる力がある人って、皆すごく創造力があります。

 

生きる力がある人って皆すごく創造力がありますよね。これからの時代、益々すべてのことが仕事になりうる、自分で作る肩書きで自由に仕事をしていける、そんな感性の力が益々生きるために必要になってくる時代です。自分らしさを表現できる事はとても重要になってきます。

 

 

 

感性の力が生きるために必要になってくる時代、「親の意識を変えること」が凄く重要。

 

そのためには「親の意識を変えること」がすごく重要になってきます。親の意識が変わらないと子供の意識は変わりません。親世代の意識を変えることがすごく重要。卒業した学校で講師として中学生に講義をすることが度々あります。中学生の時にはもう既にどんな仕事になりたいか、親や大人の固定概念の中にある、限りある仕事のバリエーションの中で選択し、それになるためはどの学校に行ってどんなお勉強をするか、そんな決まったレールに綺麗に乗せようとするのが主流です。親たちに要求されて、どんなお勉強をどこでしたら最短でそのゴールに行くか強要されていってしまうんです。無理繰り当てはめられてしまい、勉強する事が面白く無くなって言ってしまうんです。そう言う負のループがあります。

 

以前講義をした際に学生に、「夢はどうやって作ったらいいのでしょうか?」と聞かれたことがあります。「えー!夢は作るものでなく、見るものでしょう!」とすぐ言いました。「夢を見るためにはいろんな経験をしないといけない。だから今もし夢が見れないとするならば、夢が見れないと言うことが君の現実だから。それはおそらく学校も親も認めない現実でしょう。でも夢がない、わからないと言うのは恥ずかしいことでもなく、悪いことでもないよ。怖いこと思うことは全くないよ!」と伝えました。

 

「夢がわからない、無い。」と子供に言われたら、「あ、この子は経験が足りないんだな!もっと沢山の世界を見せてあげないとな!」と、スーッと言える親が隣にいる環境があることは凄い大事ですよね。

 

それがあるだけで子供達は変わりますそれを親が言える勇気。それを親たちに伝えていかなければなりません。

 

現実問題、お父さんが今の会社を辞めて給与が減ったり無くなったら困るから辞めないで、って言うような会話が続くと、子供にだって同じようなことを言ってしまうんです。やっぱりそうでは無い、そうあってはいけないと思います。こんな事を言うと、「高野倉さんは社長だから。皆、高野倉さんみたいな人じゃないって。」ってよく言われます。そう言うと簡単ですから。できない理由を正当に見つけたいのです、安心したいから。

 

 

 

大坪:

人と違う事を表現するにあたり、工具に特化したエピソードもお聞かせください。

 

高野倉さん:

バブルが終わり、もの凄いデフレだった時代です。とにかく安いもの安いものっていう時代で、安くて簡単にできるものが主流の中、人と違うことをしたい!と、兎に角いい物を、価値をしっかり伝えて売る事にチャレンジし続けました。

 

作り手が手間をかけて、作られたものは人の心を動かす

 

いい工具を売り続けてわかったことは、作り手が手間をかけて作るものは人の心を動かすと言う事。手間をかけていないものは、見た時、触れた時に、やっぱり「脳が揺れない!」って言うか「心が揺れない!」んですよね!

 

良い素材や工具を手にして、良いモノの良さを感じながら、良いモノをそれで作ろうとする。

そうする事によって、世の中に良いモノや価値あるモノが生まれてくるんですよね。

 

だとしたら、そこに自分は挑戦し続けないとな!と。この商売を20年しながら学んだこと。それは、そのモノ自体(工具やパーツ)の価値を味わい、丁寧に感じる。そうする事で、「あぁ、いい。」と、ネジを丁寧に回すような行為に繋がっていく。そうした連鎖でいいモノが生まれていく事と言う事を痛感しました。

 

しかし、世界はどっちの方向に進んでいるかと言ったら、やはりイージーで簡単な方。丁寧にモノづくりをしている人たちを軽んじているところがある。今お金持ちの人たちはどういった人たちかと言うと、うまくお金を動かせる人だったりITだったりで、そう言う所に人はどんどん行きますよね。要するに体を動かさない、汗をかかない、油まみれになんかならない、そういった環境でいかにお金を稼げるかって世の中になっていっています。

 

子供達が一番なりたいのがユーチューバーですよ。そんな時代に「モノづくりは大事なんだよー!」とそのまま言っても、なかなかモノづくりしようと言う人は出てきません。もうどんどん減ってきている訳です。これは世界規模の大問題です。若い人たちがそうしたモノづくりに興味を持たず、挑戦しない環境が蔓延するとモノづくりする人がいなくなってしまいます。モノづくりが、人が憧れる仕事でなくなってしまうのは本当に大問題なんです。

 

 

 

「工具」と「スタイル」という視点からの働き方改革

 

なので、良いモノを作る人たちや良いモノづくりに携わる人たちはもの凄くカッコイイ、リスペクトすべき存在だと言う事に、モノづくりをしている人たちには、自分が誇れる仕事をしている最高にカッコイイ人なんだと言う事に気づいて欲しい。どうしたら注目してもらえるのかって、考えました。

 

であれば、この人たちを「めちゃめちゃカッコよくしたらいいんだ!」ってなりました。働く人たちを思いっきりカッコよく!しかもいい仕事をいい工具を使って、すごく快適に作業をしている。そんな環境を作っていけばいいんだとなりました。まさに「工具」と「スタイル」という視点からの働き方改革です!

 

 

 

めちゃめちゃカッコイイ、スタイリッシュな方が電気屋さんだったり、大工さんだったり、トビ職人さんだったり、工場で働く人たちがすごくカッコよかったら、若い子たちも、必ずそこで働きたいとなると思います。実際はアジアを始めほとんどの所で起きてるのですが、なるべくコストをかけない環境で働かせようとするから、ペラペラな作業着で、良質な工具を使わず作業をさせている。働いている人はと言うと、とりあえず与えられた作業着や安全靴を着てある工具で作業をしてるけど、それが快適かと言われると決してそうではなく。そこがいい環境になってないんです。それでは途絶えちゃいます。

 

働く姿を見て人が「わー!カッコイイ!」って思われる人たちに、環境からもしていきたい訳です。「モノ」視点から出来ることの1つはこれです。

 

あともう1つは、俺が空想の世界で思い描いた、そうした人たちの働く理想的なライフスタイルを作っていってしまおうと思ってます。工場で働く人の朝、昼、夜、オフまで、こんな風ならすごくカッコイイじゃん、と言うのを実際に作っていこうと。

 

 

 

例えば朝起きたときに、これから肉体労働をする人が飲む、最高のコーヒーを作る。ロースティングマシーンも作って、レシピもこだわって全部作る。私の展開する事業の1つ、Deen Style Tokyoの1つのライフスタイルを提案するステージとして。そんなイメージを持って台湾のお店を作りました。

 

職人たちが朝どんなコーヒーを飲んで、どんな服を着て、どんなバイクに乗って工場に行くのか。出社してそのまま作業をするのですが、昼はランチが終わった後に消化を助けるコーヒーを飲んで。仕事が終わればTシャツと下着を着替えて、またバイクに乗って帰宅して…。夜は仲間がいるバーはどんなバーで、そこにどんな仲間が集まって、リラックスできるディカフェやお酒を飲んで…。週末はアウトドアで家族と過ごして…などなど。であれば、そのアウトドアグッズまでも全部、丸々全部作り上げないと、全部提案できるような事業ができたらと考えています。

 

 

 

働く環境をクリエイトする。大事なのは「本物」であること。

 

大坪:

私たちは1日のうちのほとんどを仕事場で過ごします。その職場環境の影響はとても大きいです。スタッフが触れるあらゆる部分から「磨かれていく」環境や、企業の展開するストーリーに触れて価値を見出して行き、お客様に新たな価値を創造して提案していける人として豊かに成長をしていける企業内の環境づくりは、とても重要ですね。

 

カッコイイ場所で働いているあのカッコイイ人のようになりたい!とお客様はそのお店をご利用される。「この人たちのように素敵になりたい。今日はこれを1つ買って、取り入れてカッコ良くなる!」そうして良いモノは繋がっていきますね。そしてそのカッコイイ絵は誰かが描かないと始まらない!ですよね!

 

高野倉さん:

ワークスタイルが少し流行ってきていてそれをカジュアルに着よう、買おうって動きがあるけど、機能のない形だけの安物ではダメなんだよね。大事なのは「本物」であること。

 

例えば、いま建築に関わってるワーカーの多くはサングラスをかけていない人が多くて。でも外で仕事をしていると一番目が紫外線のダメージを受けるんだよね。だからワーカーたちがかけて目を守る格好いいサングラスも作りたいんです。2、3万くらいするけど、本格的に目を守り、そのまま仕事の後のデートとかにもかけていけるような、そんな良いモノ。腕時計なんかも、腕時計したまま作業すると振動でダメになりがちなので、振動に耐えられる腕時計とか、そういうものを1個1個見つけて作って行ってます。ワーカーのスタイルをイメージした工具だけじゃなくて、それを全部イメージしたモノづくりを始めていて、それによって一緒に働く人たちにもお客様にもコンセプトが伝わるし、共感して使ってもらえる、そんな導線を作りたい。

 

 

 

中澤さん:

ここで働きたい!晃南土地も若い方にそう思っていただける企業として成長していきたいです。そのためにも、働く人たちが生き生きと輝いていて、素敵に成長し続けられる環境があることはとても重要ですね。素敵な人が素敵な提案をするから、お客様の暮らしも素敵なものに変わっていく。全て繋がっていきます。

 

高野倉さん:

ここ10年で東京からオフィス環境はもの凄い変わってきています。Google. Microsoftなど外資企業を筆頭にそのムーブメントを大きく持ち込み、良き営業が出てきている企業もあるけどまだごく一部。工場や建設現場で働く人たちは今もなお、ボロボロのハイエースに乗って、着心地の良くない格好悪い作業着を着て仕事をしています。でも例えば、ボロボロのハイエースを意識して、あえてドレスアップされたハイエースに乗ってきて、すごいカッコイイ作業着で全身しっかり整えている人が颯爽と降りたって、建築現場とかお客様の現場にきてみてご覧!しかも最高にいい工具揃えて腕もよく、手際のいい美しい仕事を見せられてご覧!「わー!キャー!」だよね。こういう最高にカッコイイ登場の仕方のできる環境にならないと、子供達が憧れて、入ってくるような職場にはならない。子供が働きたいとは思わない。日本のトップレベルの建築技術っていつまで残るのって、危惧します。電気屋さんとか凄いしっかりしてる。だけどスタイリッシュではない。だから結局いい人材があの世界に入っていかない。

 

大坪:

興味はあるけどあのスタイリッシュでない感じに、自分を合わせていかないとならないんだという印象を持ってしまうと、率先して働こうとする若い人はなかなか集まって来ないですね…。

 

高野倉さん:

だけどこれってなかなか経営者もだけど、現場のみんなの視点や感覚がそこに合わせっていかないと、なかなかできない。現場の意識が変わらないとできない。収益に直接影響の出てくることなので、そこに現場の意識が行かないと、そもそも時間もお金もかけられない。だから皆、よっぽど儲かっていないとそこにお金をかけないんだよね。すごく大事なことなのに、多くの会社で最後、後回しにならざるを得ない理由。それくらい、「現場のそこの意識を変える」って言うのはすごく難しい、というのも現実。すごい大変!

 

大坪:

先ほど「丁寧に作ったいいものが、次のいいものを作る。」とおっしゃっていましたが、人として豊かになる事、ビジネスの在り方、価値意識や感覚も確実に変わってきていると思います。情熱とこだわりを持って事業をされている方々が成功している事も多く目にします。高野倉さんは人より早くそこに気がつかれて行動されていらっしゃいます。今後企業が生き残っていくためにも、芯を強く持ちながらも柔軟に変化していくことが大切な時代になってきました。他ではできない本当に素晴らしいご提案ですし、同時に同じくらい見えない大変なご苦労があるのだと思います。

 

高野倉さん:

何かを変えることをやってる当の本人たちはもの凄く辛いよね。うん、すごく辛い!だって、働いている現場のスタッフにとっては、今までのことを継続する方が簡単だから。だからそっちに流れがちなんだよね。でも「そうじゃないんだよ!」って事を、社内からもそうだし、周りからもそうした意識を高めていくことが大切。なんだけど、もの凄いエネルギーがいることで、時間もかかるし。本当に大変!

 

最近よく言ってるんだけど、自分も60歳で、ガツガツ行けるのもあと数年。それでこう行った考え方や思想を後に残していくにはお店とか事業とか「形」で残すしかないんだよね。自分のメッセージを、体現していけるモノにして残さないと、皆「易」に流れるから。思想を残せないと、きっとうちはホームセンターに買収されて、安いものを売るお店になって無くなっていってしまうから。そうでは無い結末に向けてチャレンジしないとならないというのが、今自分のミッション。すごく大変!時間もお金もめっちゃかかるし。中澤くんに成功してもらって出資してもらわないと、苦笑。

 

 

 

感性は良いモノの上で、養われていく。良い感性を子供に養ってあげられるのは周りにいるお父さんお母さん、周りの大人。

 

大坪:

今はまだその思想を完璧に伝えられるのは高野倉さんと一部の方かもしれませんが、そうした思想のあるお店で丁寧な接客を受けて、その思想を1つの工具で引き継いだお客様は、きっと価値に触れ何らかの感動と化学反応が起きたはずです。その方に起きた小さな変化は、必ずその方の周りの方にも良い余波として届いていると思います。そうして良い感性が一人歩きしていってくれる。そうして必要とされる企業として残っていく。高野倉さんの立ち上げたブランド、DEANがきっとそうですよね。

 

高野倉さん:

You Tube配信を始めて興味深いのが、今まで雑誌などの媒体でだけ紹介していた時は、バイクとか車とか工具とか、専門的なところからお客様が入ってくるので範囲が狭くマニアックな方に限りがあったんですが、You Tubeで発信するようになってから、自分のメッセージに共感して「ライフスタイル」として興味を持ってきてくれる方が増えて。感性のいいお客様がめちゃくちゃ増えました。

 

大坪:

高野倉さんのお話はきっと「女性」や「お母さん」にも響きます!事実私がお話を伺いながら終始ワクワクしてます!背景にある思想や物語に共感して手に入れた、質のいい工具が1つあり、それで丁寧に作業をすることが家庭の日常にあり、そうした丁寧に暮らす良質な日常の中で子育てをしていくと、きっとお母さんたちは子供に「それで本当にいいの?」「みんなと一緒でいいの?」って自然に問いかけてあげられると思います。安いものを沢山消費していく生活から、丁寧に作られた良いものを少しずつ大切にしていく生活に変わり家もすっきり洗練されていく、そんな気がします。

 

 

 

思い出は、丁寧に作られた「いいもの」に刻まれて残っていく。

 

高野倉さん:

よくお父さんお母さんたちに言うんだけど、100円で買ったものは3年持てばいい方。思い出って、丁寧に作られた「いいもの」に刻まれて残っていくものだと思う。例えばスコップだってそう。100円ショップで買ったものは残らないから、そこに良き思い出も残されていかない。でも例えばうちで紹介しているような、鍛造で出来た良いスコップだったら、外に放って置いてあっても30年はしっかり残っていく。そうしたら、例えばそのピカピカのスコップを買って子供と初めて庭いじりして、息子が大きくなって実家に帰ってきた時にそれが古くなっていてもしっかりと残っていて。そこにはそのスコップというモノだけでなくて、一緒に過ごした「思い出」という大切なものが残っていくんだよね。球根植えたね、チュウリップ綺麗だったねって。呼び起こしてくれるんですよね。デジタルではできないこと。

 

感性のバトン

 

感性ってこうした良いモノの上で、養われていくと思ってる。こうした良い感性を子供に養ってあげられるのは周りにいるお父さんお母さん、周りの大人。DEANの工具は、こうした感性のバトンになっていったらいいね。良き道具の中にある人生。モノを作ってる人にはすぐ伝わるんだけど、一般の方にも伝わってほしいな。お母さんたちがお守りのように持っていてほしいな。

 

 

 

うちの息子が大学でラグビー部なので、学校の近くで一人暮らしをすることになった時、工具セットを持たせたんです。イタリアの革で作ったバッグに、必要だろうと思う工具をいっぱい入れて「これ持ってけ」って、渡したんです。ある日、息子のところに行ったら、そのバッグの中に印鑑とかが入ってて。「なんで印鑑なんて入ってるの?」って聞いたら「これは、大事なものが入ってるカバンにしたの」って言われて。嬉しかったです。息子にとって、僕らかもらったものだから大事なもの、大切にしなきゃいけないものになっていて、その工具箱が彼の中で自然と大事なものを入れる場所になっていったんです。

 

大坪:

素敵なお話です!自宅で愛用していた工具箱があって、例えば家を出る時に親から「これで自分の新しい時代を作ってね」と今度は自分専用の工具箱をもらえたらすごい感動します。生涯大事にして、きっと自分の子供に譲りたくなると思います。

 

高野倉さん:

「旅立つ息子にあげる工具箱」とか、「家を買う時に買う工具セット」とか、素敵だね!新しい家庭を築くその門出を祝いする時に、あげるギフトとして素敵です。ダイワハウスにも提案したことがあります、家に工具の場所をしっかり作って備えてあるような提案を。

 

やりたいことも、アイデアも、尽きないですね!

 

大坪:

晃南土地や我孫子の不動産会社、ハウスメーカーや工務店など我孫子の住まい提案に携わる企業で、それぞれに何かお祝い工具があったら、ユニークで面白いですね。「祝・我孫子ライフ」の祝いと防災にも役立つような良質な工具のお祝い。感性を豊かにしていく小さなきっかけの贈り物。我孫子の住まい選びに通ずる、我孫子らしい素敵な贈り物ですね。

本当に長いお時間ありがとうございました!

 

 

<VOL.001はこちらから>

 

 


 

 

 

インタビュー:

FACTORY GEAR 代表取締役 / ツールナビゲーター

高野倉匡人さん(TAKANOKURA MASATO)

 

FACTORY GEAR公式サイト:

http://f-gear.co.jp

公式動画サイト:

https://www.youtube.com/channel/UCXlID38-IjmwWbyN5aj0Izw