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私たちの街創りby Abiko A-life

2023年12月24日

みんなで楽しみながら、子どもたちに「ふるさとの思い出」をつくりたい 郷原洋一郎さん

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PROFILE

郷原 洋一郎(ごうはら よういちろう) 69才
会社勤め引退後、我孫子市のICT教育支援員として市内の小学校に勤務。並木小学校の学校運営協議会委員、地域学校協働活動推進委員も兼ねる。現役時代に根戸小学校PTA会長、久寺家中学校PTA会長を経験。

 

 


 

 

デザインとアートを暮らしに取り入れた空間を提案する「ART VILLAGE|アートビレッジ」プロジェクト。大規模団地「我孫子ビレジ」などにおいて、住まいを通して新しい物語を始めていただく「リボーン」を踏まえたリノベーションをご提案しています。 

 

今回ご紹介するのは、我孫子ビレジ周辺で楽しくつながり合い、街のために活動する「つくし野睦会」のこと。メンバーの方々は25年もの間、冬になると団地前道路のグリーンベルトにイルミネーションを飾り付け、道ゆく人の目を楽しませてくれています。その1人である郷原洋一郎さんに、活動が長続きする理由や「我孫子ビレジ」のよさについてお話を伺いました。 

 

 


地元の仲間ミレニアム記念に」とスタート 

 

 

 

――― 国道6号線、「我孫子駅入口」交差点をつくし野方面へ進んだところにある「つくし野グリーンベルト」に、毎年冬になると灯るイルミネーション外がどんどん寒くなり、暗いニュースも多い中で、明るいイルミネーションを見ると心が明るくなりますし街の雰囲気も良くなりますよね。イルミネーションはのようなきっかけで始めたですか? 

 

 

郷原:もともと子どもの幼稚園の保護者同士で、地元の神輿を継続するために「大人神輿守る会」というの1997年に立ち上げです。その後、小学校の父母の会の人なども含めて総勢20人ほどが集まって。夏祭りで着た法被に「睦」と書いてあったことから「つくし野睦会」に改称しました。そんな仲間、夏祭り以外にもいろいろ楽しい事をやっていたです。 

 

イルミネーションは、夏祭り出店で焼きししゃもやちぢみなどの食べ物を販売して得た利益を使って、1999年から始めました。みんなイベントが大好きなので「ミレニアムを記念して何かやろう」。その時は、グリーンベルトのハナミズキの木2本とその周りにイルミネーションを飾っただけ。翌年も「20世紀最後だから何かやろう」と同じような飾り付けをして。その頃は電源も社協から借りてきたポータブル発電機で、3時間だけ点灯していました 

 

周囲からのサポートや創意工夫で、震災やコロナ禍でも活動を継続 

 

 

 

――― 今はだいぶ規模も大きくなって、点灯も夕方から夜遅くまでされていますよね。

 

 

郷原:20012002年はつくし野郵便局の横の広場の木や、フェンスにも電飾を飾ったりして、楽しくて、だんだんやめられなくなっちゃったんです(笑)。そのうち、もっと電源が欲しいということになって、仲間が「東京電力の電柱から電源が取れるらしい」という情報を仕入れてきて。それで地域の電気屋さんに工事申請を出してもらって、2003年からはまたグリーンベルトで、電飾を巻くハナミズキの本数も増やして、だんだん規模が大きくなっていったんですね。 

 

当時は手動で点灯・消灯していましたが、2007年からはタイマーで自動にして。その後、夜中の2時までつけていたこともありましたが、節電のため今年は23時には消しています。 

 

 

 

 

――― 夜、仕事から帰ってここを通る人もイルミネーションが迎えてくれ嬉しいでしょうね。イルミネーションは、東日本大震災や、コロナ禍でも休まず続けておられたとか。 

 

 

郷原:震災が起きた2011年は、節電を意識する中でどうしようかと悩みましたが、一度やめたら次はなくなると思って、電飾をLED電球に変えて省電力にして実施しました。 

 

2015年には、流山の一軒家で大々的にルミネーションをやっていた友達の知り合いが、家ではもうやらないからということで、観覧車や機関車など大きな飾り物や、本格的なアウトドア用の電源ケーブルなどトラック1台分くらいを寄付してくれて、ますますやめられなくなりました(笑)。 

 

コロナ禍では夏祭りがなくなったので、イルミネーションの予算も作れない中で、自治会から歳末募金と一緒にイルミネーション募金をやらないかと誘って頂きました。結構募金が集まって、なんとか続けることができたんです。 

 

 

 

――― 多くの方のサポートもあって続こられ活動なですね。イルミネーションも毎回違った要素を取り入れていて素晴らしいです。 

 

 

郷原:今年は新しい飾り付けをプラスしました。毎年同じ場所で飾り方も変わらないとマンネリ化するので、みんな工夫して飾っています。もともと自分も、あれこれ試行錯誤するのが好きな性格なので、趣味で電気工事士の資格も取ったんですよ。 

みんな毎年やっているのに、飾り付けの配置などを全然覚えないので、図を書いたりして。自分で電源ボックスも作ったりして、効率よく飾れるようにもしています。 

 

 

――― イルミネーションを上空から捉えた動画もご自身で撮影されたそうですね。 

 

 

郷原:360度カメラを買って、ドローン風に撮影しました。飾り付けもそうですが、みんなから「すごい!」と言われるのが嬉しくて(笑)。日頃から、学校でもいろな行事の撮影を頼まれてお手伝いしていますし、カメラは元々好きです。 

 


 

郷原さんが撮影した「2023つくし野イルミネーション 

youtube:https://youtu.be/yuweqkyo_nU

 

 

子どもが安全に遊べる緑豊かな環境。住民同士が自然とつながる 

 

 

 

―――我孫子ビレジのような団地は、戸建てよりも周囲の家族と一緒に生活している感覚が強いと思いますつくし野睦会も、そういう集まりだからこそ続いているのかな、と思います。郷原さんにとってこの団地の良さは? 

 

 

郷原:やっぱり住みやすいですよね。うちは90歳を超えた両親も、娘家族も我孫子ビレジに住んでいるんです。 

 

団地の中に公園が4つあるので、子どもたちが安全に遊べるのもいいですね。うちの娘も子どもの頃はここで遊んでいたし、今は孫も毎日ここで遊んでいます。以前、別のマンションに住んでいたときは、目の前が道路だったので、危なくて子どもを遊ばせられませんでしたから。 

 

とにかく子育て環境がいいので、娘もそうですが、ここで育った子どもが、一度は別の場所に出ていっても、また自分が子育てをする段階で帰ってくる。そういうケースは知っているだけでも3家族います(娘さんも、前回の記事に登場してくださっています→インタビュー記事)。 

 

私自身も、はじめは両親が我孫子ビレジの築浅の頃に購入したので、そこで家族で暮らして、結婚してからはいったん川崎に移りましたが、2年くらい経ってからまた我孫子ビレジに戻ってきて子育てをしました。 

 

特に子どものいる世帯のつながりが多いし、棟ごとに防災集会なども実施されているので、そこで知り合いが増えるのもいいですよね。親父も別の会に所属していて、公園に鯉のぼりを飾る活動に関わったりしています。 

 

(娘さん) 

小学校時代は、基本的に遊ぶのは団地内でした。捨て猫を見つけて、友達でお小遣いを出し合って缶詰を買って、内緒で育てたりしたのも思い出ですね。自分の子どももいつも団地内で遊んでいるので安心していられます。 

 

 

―――大人になって子育てをし始めて、改めて自分が育った環境の良さを思い出すことってありますよね。 

 

 

郷原:ここには公園や、街路樹などがいっぱいあるのいいです。どこ行くにも、緑のある空間を歩いて行けるし、水路もある。夏には子ども会の人たちが水路に水を流してじゃぶじゃぶ池を作ったりもしています。子どもたちがすごく喜んで、水着を着て遊んだり、水を堰き止めてキャーキャー盛り上がったり。親も集まってきて足を突っ込ん涼んだりね。他の団地だと殺風景なところも多いと思いますが、ここは景色も豊かだと思いますね。 

 

大切に続けてきた活動を、末永くつないでいくために 

 

 

 

―――イルミネーションのお話に戻りますが、25年継続しているのは本当に素晴らしいことだと思いますその背景にはどんな想いがあるのでしょうか。 

 

 

郷原:基本的には楽しく続けてきただけなのですが、イルミネーションにしても、夏祭りの神輿にしても、どもたちにふるさとの思い出を作りたいという想いはあります。

 

メンバーは現役を離れて歳をとり、「腰が痛い」「肩が痛い」なんて言いながら活動をしていますが、やめる人はほとんどいません。みんなが得意なことをやっていて、できる人がやればいい、というスタンスだから、続いているのかもしれません。周囲の支えもありがたいですね。飾り付けをしていると、通りすがりの人が「今年もありがとうございます」とか「いつも見ていますよ」なんて声をかけてくれるのも励みになって、やれる間はやろうかなと思っています。 

 

これから続けていくにあたっては、今の会新しく入ってくるのは難しいと思うので、他の団体で引き継いでくれたらいいかなと。今もメンバー以外でお手伝いに来てくれる人はいて、ありがたいですね。近くの学校と連携して、中学生たちに手伝ってもらう話も出ています。 

 

 

 

 

―――ぜひ学生さんたちにも参加してもらいたいですね。芋掘りなどもそうですが、学校の課外活動楽しし、地域に目を向けるきっかけにもなります。人の繋がり希薄にな中で、今まで続けた地域活動が継続しにく、という課題は全国的に生じています。それでも、活動してきた人と、これから活動していきたい人がつながってイノベーションを起こせば、街は今後も活性化していくはず。そのために我々も我孫子市100カイギ」というイベントを開催していますので、郷原さんにぜひ登壇いただければ。イルミネーションをはじめ、「つくし野睦会」の活動をこれからも楽しみにしています 

 

 

 

 

聞き手:晃南土地株式会社 中澤 洋一
文:野中 真規子