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私たちの街創りby Abiko A-life

2021年05月14日

教えるとは「めばえ幼稚園 井上ミドリ園長」

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指導の目的、それは「指導のいらない状態」の実現。子ども一人ひとりが生活の主体者として自由と自立を獲得し、幼稚園生活の主人公になっていく。そのために子どもたちに保証していく時間・仲間・空間という三つの「間」の自由、などなど。

 

保育にとどまらず、人が豊かに生きるための大切なヒントがそこかしこに散りばめられたオアシス。それがめばえ幼稚園(学校法人めばえ学園)です。

 

 

我孫子駅から子どもとおしゃべりを楽しみ歩いているうちに着いてしまう、白山地区の最良ロケーションにあるめばえ幼稚園。3000坪の緑豊かで広大な園庭(いや、森か!)の中を、無邪気な笑顔で駆け回る子どもたちは森の妖精そのもの!

 

 

 

子どもも大人も、関わる全ての人が幸せになってしまうめばえ幼稚園の「環境」づくりについて、井上ミドリ園長先生にお話を伺いました。今回もまたまたロングインタビュー!余す事なくお伝えしたくVOL.001&VOL.002でご紹介いたします!

 

リスナーをさせていただいたAbiko A-lifeの大坪も、初めての子育てで「居場所」を作っていただいたお母さんの一人です。めばえを通じてかけがえのない親友、大切にしていきたいライフスタイルの礎ができたのは、子どもだけではありませんでした。

 

<note>※一部取材&撮影は2019年12月に実施したものとなります。新型コロナウイルスにより街創りダイヤリーを一時的に休止していたため、掲載延長としていましたインタビューです。

 

語り手:井上ミドリ園長先生

聞き手:大坪祐三子

 


 

VOL.002

 

 

「翌日の目的意識」。おかえりで作っていくことで、ずっと継続した意識になる。

 

大坪:

めばえでは高学年にあがるにつれて、子どもたち同士のディスカッションがものすごく向上します。素晴らしい事だと思っています。

 

 

最後のクリスマス会、ページェントの役割分担を決める様子をたまたま覗く機会がありました。お星様の役を誰がやるかを決めるところで、沢山の子がやりたいと手をあげて。すると自然に「どうしてその役をやりたいか一人ずつ話を聞いてあげようよ」と一人の子が言い、自然とプレゼンのようなものが始まり。

 

全員の星の役をやりたい理由を聞き終わると、これまた自然にそれに対しての意見交流を始めてたんです。「〇〇ちゃんは運動会で〇〇ちゃんにやりたかった係を譲ってもらったから、今回は〇〇ちゃんに譲ってあげたらどうか」など。テンポ良くあっという間に全員で星の役をする子を決めていたんです。

 

※みんなで決めたお星様!黄色の衣装で立派に大役をつとめていました!

 

大坪:

会社での会議でもこうはなかなかならない!と感動したことを覚えています。そして本当に全部子どもたちで決めていますよね。上司の意見に頼らず、現場が主体となって物事を決めていける環境は、大人になってもいい会社や社会づくりをしていくために非常に大切です。

 

 

園長先生:

うちは朝来て「点呼」も「集会」もしません。毎日の「おかえり」の時間が一番大事なんです。その日にどんな遊びをして、じゃあ明日は誰ちゃんがやっていたこれをやってみよう!とか。インディアン祭りや運動会、芋掘りとか行事がある時にはそう言ったものためにおかえりを使う時もありますが、何しろそこで生まれる「翌日の目的意識」が大事なんです。「明日きたらこれをやろう!」という。それを翌日の朝に決めるのではなく、おかえりで作っていくことで、ずっと継続した意識になるのです。

 

 

あとうちはレコードなどの音源を使わないのですが、「音」を使って何かを一斉にやると言うことに疑問があるんです。音を出して何かを一斉にやると言うのは「防災訓練」や「地震などの防災のサイレン」だけです。そう言う点では、めばえは肉声をすごく大事にしています。

 

 

 

 

大坪:

1日の終わりにその日を振り返り、次につなげていく準備をすると言う行為はすごく大事ですね。会社でも学校でも朝礼が習慣化して確認の場になっていることは多いですが。

 

園長先生:

幼稚園もそうです。朝の会に確認事項をする幼稚園。朝の会で確認して突発的に始まる1日と、前の日から穏やかに繋がっていく始まりは違います。「明日が楽しみ」「目的が定まってる」そう言ったところに差が出てきます。

 

 

園長先生:

お部屋の配置も他の園と少し違います。3歳保育は生活指導なので3歳児でひとかたまりです。でも年中と年長は隣あわせの「ペアクラス」。年長の行動をみて「僕も年長さんみたいになりたい!」って、賛美歌にしても何でも年長がしていることを見てすぐ覚えてしまいます。

 

 

そう言う幼稚園はなかなかないみたいですから、見学にいらっしゃる方がよく「どうしてペアクラス」なのですかと聞かれます。年中年長がいつも一緒でも、年長さんでなければできない活動は、年中さんはちゃんと心得ていて、邪魔しないんです。年長さんにとって大事な時は、年中さんは静かに見てる。でも、年長さんの方が楽しそう!と思うと、椅子を持って年長さんのところに移動する子もいるんですよね。でもそれは絶対誰も咎めない。あっち行きなさいとは誰も言いません。それでいいんです。邪魔してはいけない大事な時はそうしないから。

 

大坪:

みんな、先生からではなく、お友達、仲間から教わるんですよね。そしてお兄さんお姉さんが模範になって、下の子達がその姿に憧れて真似をして育つ。素晴らしいです。

 

息子も、オムツからパンツになるにしても本が読めるにしても字を書くにしても全部、お兄ちゃんお姉ちゃんに憧れて自分で自発的にあっと言う間にできるようになってめばえから帰ってきました。何かできるようになって帰ってくるたびに、すごくキラキラ自信満々でした!今思うと、めばえに通っていた間、母親として「教えなきゃ!」と言うストレスは全くと言っていいほどありませんでした。

 

 

園長先生:

教えるってことって何?ってことです。教師は教えるためにいるのではないんです何のための集団生活で仲間であるか。お互いに学び合う環境だって言うことですよね。

 

うちは入園受付は並んだ準備に受け付けています。障害を持った子もいますし、ダウン症の子だって、多動の子もいます。差別はつけません。それは健常児もみんなお互いにお互いから学ぶことがいっぱいあるからです。「人間ってね、いろんな人がいるんだ!」って言うことを学ぶ所が幼稚園なんです。人間学ですよ。そう思っています。

 

 

園長先生:

年に2、3人毎年、障害を持っている理由で、よそのプレイルームに断られたってうちにくる方もいます。うちは熱心なお母さんお父さんのその熱意でお子様を預かりますから、11月1日はどうぞご自由にお越しくださいと、毎年言っています。なのでどんな子がくるか、蓋を開けるまで全くわかりません。それでいいんです。なぜかと言うと、大人がその子達を育てるのではないからです。仲間が育てるのです。素晴らしいの、その優しさは。

 

 

園長先生:

50年程前ですけど、脳性麻痺でほとんど歩けない子が来た時です。園は傾斜地にあるので、最初は傾斜の上の保育室で過ごしてたのですが、2年目は少し歩けるようになったので少し下がった所のお部屋に行ったんです。ある体操の時間、先生が先に表にでた時です。5、6人なかなか来ない子がいて、先生が「何やってるの?どうしたのー?」と声をかけに行くと、「先生!〇〇ちゃん忘れたでしょぉぉ!今僕たちで〇〇ちゃんそっちに連れていくからぁ!」ってね……(涙)。あ、思い出したら泣いちゃった!

 

大坪:

(もらい泣き)自然と人をみる力を子供たち同士で育んでいくんですよね。

 

 

園長先生:

毎年、何かしらの理由で凄い難しい子がいるのよ。でも子ども達はみんな仲間なの!教師が差別しないから、子ども達も絶対に差別しない。子供はしっかり大人を見ています。

 

大坪:

めばえの子は人のいいところを見つけること、面倒見の良さは大人真っ青ですよね!

 

 

園長先生:

本当に!面白いのが、外から見学者が来ると子ども達が勝手に案内してくれてるのよね(大笑)!

 

大坪:

そうですね!お迎えで広い園庭の中遊び回ってる息子を探す冒険が楽しみでした。園に着くとすぐ方々から子ども達が駆け寄ってきて「誰のママ?」「あそこにいたよー!」って案内してくれました。みんな園庭の森を知り尽くして自由に飛び回るどろんこまみれの可愛い妖精さんのようでした!めばえの門を潜ると子ども達の笑顔と豊かな自然に包まれて、仕事の疲れが吹き飛ぶんですよね。オアシスです。

 

 

 

 

大坪:

五本松に開園された「めばえの里」のお話も伺いたいです!

 

 

園長先生:

里ね!山形に45年ほど前に始めたもう1つのめばえがあります。うちの次男坊がそこをみてるのですが、最初の35年間は私たちが通っていました。幼保関連、社会福祉法人で運営していまして、園には障害のある子も多いんです。なのでホースセラピーをやっていて、馬を4頭飼っています。月に何度か次男がこっちに来るのですが、こちらにもクラスごとに障害のあるお子さまがいるので、「ここでも山形でやってることを持ってこようよ。」ということではじめることに。

 

 

 

園長先生:

めばえは敷地が3000坪ほどです。同じくらいの敷地でやりたい!と次男が言ったのですが、我孫子ではそれは難しいと最初は話していました。でも色々調べていたら、500坪ほどの別荘が売りに出ていたんです、岡堀田に。すぐその隣に1200坪の荒地があったのですが、その荒地が偶然にも卒園生の土地で。一眼見るやここが良い!と気に入りまして。すぐにどちらも手に入れました。

 

※丘の上の家には障害を持つ陶芸作家さんの陶芸(ねんど)教室が開講される予定。少しでもそうした障害のある方の生活(収入源)を支えられるような、活動の場を創造していくことも園長先生の今のライフワークになっています。

 

園長先生:

4月くらいに始められたらと教師のみんなでコツコツと開拓しています。馬小屋なども作っています。

 

※馬小屋も何もかも先生方の手作り!さすがです!

 

園長先生:

ポニーも山形から連れてきました。そのうちの1頭がグリーンっていう名前なのですが、つい最近仔馬を産んだんですよ。めばえの子どもたちもバスで行き、一緒に遊べる場所になったらと思っています。

 

※ママのグリーンと敷地内を気持ちよく駆け回っていました!小鳥のさえずりと大地をならす2頭の足音は最高のBGM!

 

大坪:

オアシスがもう1つ誕生ですね!広い視野で子育てのこと、自分たちのできること、したいことを真剣に考えていらして、すぐに行動されて形にしてしまう、めばえの先生がたのエネルギーに感動します!

 

※私の洋服を味見してくれたヤギのミルクさん。

 

※好奇心旺盛の可愛い羊のメイさん。近寄りすぎるからこんな写真(苦笑)。

 

園長先生:

市内小学校の学童状況を見ていましたので、小学部を作りたい思いもありはじめて見たのですが、小学生と幼稚園生の体格や体力差があまりにも違い、同じ環境で遊ぶのが難しく。小学部の子もめばえの園庭が嬉しくて駆け回るのですが、すると幼稚園児がその勢いで吹っ飛んでしまいそうなくらい差があり。小学校に上がっていく子もひ孫のように大好きで見てあげたいのですがここではできないとわかりましたので、1期生が3年に上がったタイミングで残念ですが閉じることになりました。

 

※牧師先生こと井上理事長(左)と井上ミドリ園長先生。

 

大坪:

小学生が子供らしく伸び伸びと遊びながら成長できる環境がどんどん失われていると感じています。小学時代に子どもらしく自然体で豊かな経験や学びを重ねていける環境が「あびっこ」などの市の仕組みを活用して、街のぐるみでブランディングしていければ、我孫子ならではの教育環境を創造していけるように感じています。簡単ではないかもしれませんが。

 

出生率が下がり子どもがどんどん減ってきている中、若い世代が子育てしやすい街、安心して健やかに子育てができる街として有力な選択肢の1つになれる※(1) 、子供も親も支えていってあげられる街づくりを、教育に携わる市内の先生方や、行政、街のみんなでのびのびとつくっていけると素晴らしいなと思います。

 

※(1) 我孫子市の魅力をわかりやすくご紹介する我孫子市発行の「住み替えナビ」は【こちら】

 

我孫子の文化と歴史のある上質な本物の質感、自然豊かで伸び伸びとした環境は貴重で宝物です。※(2) 子どもからお年寄りまでが繋がり、笑顔に溢れる街として充実していくと嬉しく思います。先生、本日はありがとうございました!そしていつもワクワクをありがとうございます!

 

※(2) 我孫子市の素敵なスポットやイベントなどの情報をたっぷりご紹介するリンク集は【こちら】

 

 

 

<VOL.001はこちらから>

 

 


 

めばえ幼稚園 / めばえの森保育園

http://www.mebae.ed.jp/

 

我孫子市白山2-7-5

04-7184-1313

 

園庭開放&入園案内に関して:

http://www.mebae.ed.jp/?page_id=52

 

めばえの保育(ご興味ある方はぜひご一読を。)

http://www.mebae.ed.jp/?page_id=13

http://www.mebae.ed.jp/?page_id=19

http://www.mebae.ed.jp/?page_id=25