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私たちの街創りby Abiko A-life

2021年05月11日

自分をだしきるという始まり「めばえ幼稚園 井上ミドリ園長」

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指導の目的、それは「指導のいらない状態」の実現。子ども一人ひとりが生活の主体者として自由と自立を獲得し、幼稚園生活の主人公になっていく。そのために子どもたちに保証していく時間・仲間・空間という三つの「間」の自由、などなど。

 

保育にとどまらず、人が豊かに生きるための大切なヒントがそこかしこに散りばめられたオアシス。それがめばえ幼稚園(学校法人めばえ学園)です。

 

 

我孫子駅から子どもとおしゃべりを楽しみ歩いているうちに着いてしまう、白山地区の最良ロケーションにあるめばえ幼稚園。3000坪の緑豊かで広大な園庭(いや、森か!)の中を、無邪気な笑顔で駆け回る子どもたちは森の妖精そのもの!

 

子どもも大人も、関わる全ての人が幸せになってしまうめばえ幼稚園の「環境」づくりについて、井上ミドリ園長先生にお話を伺いました。今回もまたまたロングインタビュー!余す事なくお伝えしたくVOL.001&VOL.002でご紹介いたします!

 

リスナーをさせていただいたAbiko A-lifeの大坪も、初めての子育てで「居場所」を作っていただいたお母さんの一人です。めばえを通じてかけがえのない親友、大切にしていきたいライフスタイルの礎ができたのは、子どもだけではありませんでした。

 

<note>※一部取材&撮影は2019年12月に実施したものとなります。新型コロナウイルスにより街創りダイヤリーを一時的に休止していたため、掲載延長としていましたインタビューです。

 

語り手:井上ミドリ園長先生

聞き手:大坪祐三子

 


 

 

 

自分の意見がしっかり言える子になる。それがいちばんの学び。

 

ミドリ先生の学びのお話は、いつも何気ない雑談で和む日常に、すぅーっと穏やかに入り込んでは自然とはじまります。

 

「自分の意見がしっかり言える子になる。それがいちばんの学び。それは3歳児の時からの積み上げで育つわけです。これがめばえ幼稚園のスタート。」

 

この静かに突然始まる感じが園長先生なのです。先生のお茶目な笑顔とユーモアが入り混じり展開されていくお話に引き込まれてしまう「ミドリ先生節(笑)!」の始まりです。

 

まずは自分を出し切って、そこからスタート。3歳、入園、最初の大仕事。

 

園長先生:

幼稚園ですと、3歳児から子どもが初めて集団生活に入ります。その時に教師は何をするかと言うと、「自分の受け持つ子どもがやりたい放題、自分を出し切る」ところから始めます。乱暴な子も、泣き虫な子も、優しい子も、色々な子がいます。みんなまずは自分を出し切って、そしてそこがスタートです。

 

いろんな子がいます。すると集団ですので、自然と子どもたちの中に「ルール」が生まれるわけです。ルールというのは大人が作るものではなくて、子どもの生活の中から自然と生まれるものなのです。

 

例えば、お弁当用意して手を洗う。その時、子どもの中には横入りするような「こうやって(ぐいぐいする仕草)」する子もいます。すると気がつくの、子ども同士で。「お前、どうしてみんな並んでるのにー!」とか、「タオルで手を拭かないでビショビショにしてー、迷惑だろ」って。そこで気づくのですよね。

 

大事なのは、「大人は余分な口出しはしない。」ということです。子どもが自分たちで作ったルールというのは、まもるの。だから押しつけはダメなんです。

 

1学期、担任は凄い「忍耐」。口を出したくなって仕方ないのですけど(苦笑)。でもここで、子ども一人ひとりの性格を、教師たちは把握していくんです。そういう保育がめばえ幼稚園です。

 

 

 

園長先生:

そこから始まって3年間のうちに、みんなで力を合わせて共同でやるとか、例えばものをつくることもそうですよね。またそこで、乱暴な子がいると、仲間に入れると「遊びが壊れる」ので、楽しく過ごせるルールを子ども同士で決めていきます。日々の積み重ねの中で、色々なことを子ども同士で作っていきます。何を、と言葉にするの難しいのですけど!本当に些細なことでも、全部です。

 

 

例えばめばえの「おかえり(帰りの会)」は3歳児は強制的にみんなを部屋に入れません。あっという間の半日でしょ。するとお団子を作り始めている時に「おかえり」になると、そこでその子の興味をはぎ取ってしまいます。だけど、お部屋に入って紙芝居になり、先生のお話を聞きたいと子どもは入ってくる。

 

教師が「魅力的なおかえり」をしていれば、お団子作りそっちのけでもそっちに子どもは来るのよね(笑)。つまり子どもが「価値判断」をするわけです。すると楽しいから、お団子もおかえりの時間も両方必死になってやるのよね。

 

 

園長先生:

子どもたちが「お団子やっと出来た!」って思うと、何をするかっていうとそれを大事にお部屋に持ってくるんです。そこで教師は「おかえり!」って笑顔で答えるんですよね。「時間過ぎてるのに何やってたの!」じゃないんです。感心します。

 

 

園長先生:

すると子どもはホッとして伝えてきます「僕こんなお団子出来たの!」って。すると「誰ちゃん素晴らしいわね!ここ(指さして)、どこのお砂で作ったの?」と会話が始まり、お団子名人が生まれるのよね(笑)。

 

鉄棒も同じこと。一生懸命にやっていておかえりになると、子どもの興味が削がれてしまいます。

 

 

園長先生:

あ!ところで、こう言う喋り方でいいのかしら(笑)?!

 

大坪:

「最高です、一語一句逃さずに届けます!」

 

 

 

教師は認める。子供に自信がつく。これが大事。

 

園長先生:

例えば鉄棒に夢中になって、そして前周りがやっとできる。おかえりにはこない。それを教師は「認める」わけです。そこでその子に自信がつく。「僕は凄いな!」とね。これが大事なんです。そこからようやく始まる、それがめばえの保育です。

 

 

そうして1人遊びから、2〜3人の集団遊びに成長していきます。少しずつクラスと言う集団になって、大きなもの作ったり、話し合いが上手になっていくんですよね。2人以上は集団、周りを見て「うーん、あの子だったらお友達になれるかな」っていうような感覚、本能でね。

 

 

 

その子の持ってる味を出させる。その土台でできた集団は「安心」して自分の意見が言える。

 

園長先生:

なにしろ、その子の持ってる味を出させるって言うのが基本です。それが土台になって集団ができる。すると「安心して」自分の意見が言える。保育はそう言う、子供一人一人の思いを吐き出すところから始めることです。それ以外ありません。

 

 

園長先生:

そして、めばえ幼稚園は自然に恵まれてるじゃないですか。自然もすごい教材なんですよ、四季折々の。園内の自然も1本木が枯れると、必ず1本植える。そうしていつも共存共生を保ってます。

 

 

 

園長先生:

この木は(指差して)、40年前の卒園生が、「家を建てるのに木を切りたいって言ってるけど、切っちゃダメだから!」とここに運んできたんです。本当に大事に思います。自然環境も大切な教材です。

 

 

教師、人間も、「環境の一部」

 

環境といえば、もう1つの環境は「教師」。教師、人間も、私は「環境の一部」だと思っています。

 

 

 

静かな保育。大切なのは最初の一声

 

うちの教師は、本当に大声を出しません。毎年大学の学生や他の学校の方が沢山見学にいらっしゃるのですが、みんな「先生はどこにいらっしゃるんですか?」っていうくらい、全く静かに、保育してるんです。

 

おかえりの時でもいつでも、教師のトーンが上がってると、子供のトーンも上がります。すると「ざわめく」。いちばん最初の人が発した声の高さで、その場の雰囲気は出来てしまうからです。

 

私もお誕生会や母の会などで一番に声を出すことがありますが、一番大事なのは最初の一声です。「みーなーさーん!!!」って声を張り上げて言うと、もうダメ(笑)。自分の声の持つ、話しやすい雰囲気を作るトーンっていうのがあります。

 

大坪:

先生のトーンはいつも静かで柔らかいです、あっという間に皆の関心を1点に集約してしまいますね。

 

 

失敗から物事を考えることで「体験から経験」になっていく

 

園長先生:

保育者にもいつも言っています「無駄なことは言わないこと」って。つまりそれは「先生が口を開いたときは、大事なことをいう時なんだ」という環境づくりなんです。だからお母さんも、これを出来なきゃならないんです。

 

でもお母さんって「見えちゃうから」つい、転ばぬ先の杖で、「ダメ」って言っちゃうじゃない?失敗することってとても大事だと思うんです。失敗から物事を考えることで「体験から経験」になっていくでしょ。だからそういうことを、めばえの保育で大事にしています。

 

あと、保育者は「優しさと厳しさ」がないと魅力がないと思います。優しいだけではダメ。厳しいだけではついてこない。ここ一番!っていう時に「熱心に注意する」厳しさを要求していかないと、教師は子供に対して魅力がなくなっていってしまうんですよね。

 

信頼される教師は日頃は優しいけど、いざとなった時「何をあなたはやっているのですか!」と言える。そういう教師でないと魅力がありません。お母さんもそうよね(笑)。優しいだけではダメ。厳しいだけではダメ。

 

 

教師の教育するということって、そういうことですよね。自然も教師も環境の一部であるっていうことを念頭に過ごししています。

 

 

そして自然は人間の力ではどうにもならないでしょ。人の力が及ばないものが存在しているという感覚。神様がいるっていうキリスト教の教え。うちはキリスト教の園ですが、熱狂的というわけではないんです。

 

 

そこはかとなくわかるくらいでいいんです。おかえりの時に賛美歌を歌い、お祈りしたり。自然でいいと思うんです。人間の力以外のものが働いていると言うことがそこはかとなくわかって、卒園すればいいと思うんです。

 

 

教師の2/3が卒園生。子どもたちが戻ってくる園

 

うちは本当に先生たちがね…。今42名(*2019年末時点)いるんですけど、2/3が卒園生。私が結婚して初めて来たときに教えた卒業生が北見先生です。それが4代も続いてる(笑)。また今年も1人、4代目が入ってきたんですから。嬉しいことです。

 

大坪:

私が小さい時からめばえは我孫子にありましたが、何が凄いって、子どもたちが「めばえに通いたい」って言うんです。大きくなってからもめばえの卒園生の方に会う機会があるのですが、幼稚園から大学まで学業に専念していた頃を振り帰って一番楽しかった学びの場はどこだって言うと揃って「めばえ」って即答するんですよね!今の自分があるのは「めばえ」での体験があるからと。体験した人がぶれずにそう言えるって凄い事です。ここの学びは本物なんだなって痛感します。

 

園長先生:

とても嬉しいです。教師中心でなくて、園に入ったら子供たちが主人公。そう言う考えがみんなに芽生える。だから、お熱があってお休みしないとならない子が「僕がめばえにいかないと幼稚園が困るからいくのー!」なんて言い出すようなエピソードもしょっちゅう(大爆笑)!

 

 

同じ価値を共有できる。それは「信頼」の合図

 

園長先生:

別の話になりますが、箱根で結婚式があって1泊したことがあったんです。朝、芦ノ湖のほとりを歩いていたら四人ほど、三十代くらいの方が歩いていました。通り過ぎて少ししたら引き返していらして「ミドリ先生じゃないですか?!」って声かけてきたの。ビックリです。それで、「えー!あなたたち、ここで何してるの!?」と尋ねたら、めばえで仲良くなったお母さん同士で毎年1泊旅行してるのって言うんです。感動しました。うちは父兄同士の交わりがすごい!卒園してもずっと保護者同士ですっごい仲がいいのよね!

 

 

大坪:

そうなんです!!!今でもめばえで息子を介して知り合ったお母さんたちは大切なお友達です。会うたびに「我孫子でめばえに行けて本当によかったー!」と思います!時期が同じでないお母さんでも、ご縁あって知り合い子どもがめばえって聞くとそれだけで仲良くなることも。「この人とは同じ価値観を共有できる」、信頼の合図のような感覚があります(笑)。

 

園長先生:

そうなのよね!うちは素晴らしいのよ、父兄が。

 

大坪:

宝物です!息子にもめばえにも感謝しかないです。子供が生まれて初めて「子育て」となり、地域に根ざして子育てをしたい思いや、地域とつながって行く新しい習慣ができてきました。子育ては初めてでわからないことだらけ、尚且つ自分も親として成長しないとならないわけですから、一人でなんて到底出来ない!と感じていました。

 

 

 

 

大坪:

同じ価値観を共有できる人と出会って繋がって、子育て期間を乗り越えたいと思っていました。子供にとってもめばえ時代は宝ですが、親である私にとっても、きっとめばえで子供を育てたすべてのパパとママにとって、めばえで得たものは大きいと思います。

 

 

園長先生:

お父さん達の活躍もあるじゃない、めばえは!サッカーとか野球とかの活動をしてお父さん達も繋がっています。めばえの運動会は、お父さん達がいるから運営ができてる大行事です!

 

駐車場の誘導とか警備とか、プログラムの運営誘導とか、全部お父さん達が主体でやってくれてるんです!こんな幼稚園ありませんー!とみんなに言われます。

 

 

こちらからお願いしなくてもお父さん達が「今年は(運動会)いつ?」って聞いてきてくれて、全部セッテイングしてくださるの、本当にありがたいです。今でも、10年経っても、お父さんお母さんたちがお茶のみにきてくれるんです。嬉しいです。

 

 

 

大坪:

戻れる、戻りたくなる場所があるって言うのは子どもだけでなく、私たち親にとっても宝物です。そういった環境を我孫子に作ってくださり、維持存続してくださっていることに感謝です。

 

うちの子はめばえのこども園(現在:幼稚園と同じ敷地内にあるめばえの森保育園)の1期生としてお世話になっていたのですが、めばえに子ども園(保育園)が誕生したきっかけはどんなものだったのでしょうか?

 

 

子ども園誕生は時の流れとともに

 

園長先生:

私は、子どもは3歳までは親が育てるべきと言う信念がありました。ところが、だんだん共働きが増えてきて、市の要請もあり、よく話し合って「やってみましょうか」と。お母さん達が気持ちよく働ける、子ども達を預けて安心して働ける環境を作らないとって、軽い気持ちから(苦笑)。時の流れですよね。

 

私は、3歳までは親御さんが育てて、3歳から幼稚園に預けてというのが理想だったんですけど、働き手として政府が主婦に頼るようになってきた時代に。それは仕方がないことですよね。日本のために、ね(苦笑)。

 

大坪:

我が家は、先生のご決断の恩恵をすごい授かってます!育児休暇を取得していましたが、いずれは会社に戻らないとならなかったので、預け先は本当に悩みました。1歳の小さい子どもを預けて働きに戻るからには、預ける事に意味や価値がなければ、自分自身が納得して気持ちよく仕事に戻れない。小さい息子を預けてまで仕事に戻るならば、考えに共感できる環境で、息子が家で家族と過ごすことでは得られない豊かな経験が重ねられる、そんな場所にお願いしたい。そう思っていました。

 

めばえに預けたいけどあそこは幼稚園しかないしなぁ…と悩みながら保育園を模索していた際に、市役所の子供支援課からめばえ幼稚園がちょど今年こども園を始めるそうだから一度連絡してみては?と教えていただいて。市役所からの帰り、子どもを抱っこしながら、目の前がパーッと明るくなったことを覚えてます!「おおおぉぉーこれは運命だ!神様に感謝だ!」と(笑)!

 

子育てを自分の親や周り近所を頼りながら一緒にしていくという仕組みが成立しづらい今の時代、働く女性にとっても、全ての家庭にとって、子供の預け先や頼れる人や仲間、場所の確保は本当に大変な重圧のミッションです。

 

 

園長先生:

40年ほど前にここを立て替えたんですが、その時の理事長と私の思いは、3歳児以上の子供と老人と一緒に生活したくて「A棟」「B棟」を作りました。B棟は日本式の建物で、縁側があってお年寄りが座布団を抱えてくるようなのをイメージしてつくりました。

 

ところが園児が減らなくて(笑)。老人まで行かなかったんですよね、結局。でも理想なのは、今は核家族でしょう、おじいちゃんおばあちゃんから学ぶこともいっぱいあるんです。だからせめて幼稚園の時代は、おじいちゃんおばあちゃんたちと一緒にご飯食べたり遊んだり、わらべうたを聴かせたりできる環境をと、設計していたんです。できなかったのよね、残念(苦笑)。本当に時の流れだと思います。それが保育園になったのよね。

 

 

大坪:

先生の作ったこの新しい環境は、必要な場所だったと思います。お母さん達の多くは何かしらの不安や孤独を感じながら子育てをしていることが多いので。

 

園長先生:

本当にその通りよね。実はね、ここの部屋は(取材させていただいてる部屋をさして)…。ほら、私が一番の年長者じゃない(笑)、だから「嫁姑」の話から「夫婦のいざこざ」から「離婚」の話から「子育て」から「隣近所との付き合い」からしょっちゅうくるんです、お母さん達がお話に。だから内緒話が外に漏れないように、私が石工で原型作って大工さん呼んで「これ作って頂戴!」と。ここは「悩みの密談室」なのよ!(大爆笑)

 

 

大坪:

えー!知らなかったですー!使います!(大爆笑)

 

園長先生:

ずっと前ですけど、ある姑さんがお話にここにきたの。1時間くらいおしゃべりして。私、姑疲れしたことが無いからわからないから、どう答えたか忘れちゃったけど(苦笑)、何しろ全部聞いて。

 

そしたら2時間経ったら今度はお嫁さんが話に来て!勿論姑さんが来たことは内緒よね(笑)。あーなるほど、お嫁さんと姑さんってこう言うとなんだなー、これは大変なことだって。そんなこともありました (笑)。

 

大坪:

本当にみんなの拠り所ですね!

 

園長先生:

とにかく何でもいいから吐き出しなさいって言います。そうすると答えは出なくても、ちょっと安心できるかな、気持ちが静まるかなと思うので何でも聞きます。でもね、楽しいっていったら失礼ですけどこうした事を介しても、お母さんたちの考えていることがわかるんです。時代時代で環境が変わり、悩みも変わって行きます。年の功でね、私も「少し」は役立ってるのではないかしら(笑)。

 

 

大坪:

皆の癒しです!今でも覚えていますが、こども園の入園説明会の時です。働くお母さんたちにとって、子どもの預け先確保は本当に大きな不安材料。ある一人のお母さんが「定員は何名ですか?今年はどんな状況ですか?二人目ができても預けられますか?」と、とても心配そうに質問されて。

 

そうしたら先生が、「ほらお母さん、そんな事心配しないの。何人でもお父さんお母さんが熱心に預けたいとおっしゃる子は全員預かりますから。お教室が足りなかったら、私がここに新しく教室を建てますから。うちは広いから(笑)。安心してどうぞ何人も産んで連れていらっしゃい(笑)!」そうおっしゃって。

 

それを聞いてお母さんたちがみんな安心して、会場がとても柔らかな空気に満ちたことを覚えています。そんな事言ってくれる人なかなかいないです。めばえは子沢山の家庭が多いのも納得です。めばえに来ると本当にお母さんたちが「安心」しているのが伝わってきます。

 

 

話は変わり。わたしがめばえ幼稚園を選んだ大きな理由の1つに、「手作り弁当」がありました。給食が始まるまでは自分の作ったご飯でしっかり育ててあげたいと思っていました。震災で、ちょうど食材に関しても放射能などでナーバスになっていた事もあり、お弁当持参の保育園を探していたのですが、なかなか無いんですよね。「お弁当」は私にとって大きなな決め手のポイントでした。

 

そして火・木の「おにぎりの日」も!めばえの「お母さんの手作り弁当」へのこだわりもお伺いしたいです。

 

 

 

食育と言うのは「性格づくり」

 

園長先生:

入園説明会の入園のしおりに「お弁当について」って一文入れているんですけどね。まず説明会で必ずあがる質問が「給食・バス・延長」なんです。

 

バス→はい、あります。

延長保育→お母さん達が大変だからありますよ。

給食→絶対に反対です。って(苦笑)。

 

毎年この流れです。

 

0歳から2歳までは離乳食ですから、しっかり栄養士も調理士もちゃんとつけて栄養計算して、それはしっかりと行っています。でも3歳以上はお母さんの手弁当でないと私は納得できない。給食反対です。

 

ちょっと話が飛びますが、3歳の子どもが人が作ったお弁当を、同じ分量で食べるなんて。4月と3月生まれで1年も違うのに、それを3歳児と称するじゃない?それなのに同じ分量で同じものを食べるというのは理解し難いって言ったんです。

 

給食は、栄養は確かに考えて作るんでしょうけど、やっぱり好みってお母さんの味で育つじゃないですか。「食育」と言うのは「性格づくり」です。また好き嫌いがあっても「これ食べなさいよ」というそこにも母親の思いがあります。そこに学ぶべきことがある。でしょ?そこでも「お母さんって凄いなぁ!」と言う思いが育つのです。

 

 

他にも幼稚園のお弁当のいいところは、「お弁当よ」と声がかかると子ども達は自分のお弁当を出し、食べ終わったら一人できれいに片付けます。時間としたら速い子で10分、長くても30分です。給食だとそうはいきません、40分以上かかります。配膳して、残したら教師はお母さんに手紙を書いて。「体調悪かったのでしょうか。今日は○○を残しました。」と。それは幼稚園の短い1日に費やすべき時間ではないと考えてます。

 

 

 

母の手づくり弁当パワー

 

お弁当でよかったと思ったことが、あともう1つあります。33歳になった男の子が泣いてきたんですここへ。「挫折して、勤めを辞める」と言う相談で。色々お話を聞きました。話の中で「幼稚園で何が楽しかった?」と聞くと、お友達と遊んだのも楽しかったけど、おばあちゃんのお弁当がすごい楽しかったって言ったんです。

 

その子はおばあちゃん子だったんです。なので「わかった。私がおばあちゃんに電話するから、お弁当作ってもらうから、帰りなさい」って伝えて帰しました。それで仕事に戻った子もいるんです。お弁当食べながら、おばあちゃんと沢山お話したんじゃないでしょうか。内容は分かりませんが、きっとお弁当を介して思い出話をしたんじゃないでしょうか。そうして、生き返った子がいるんです

 

 

 

園長先生:

忙しい時は毎日おにぎりだっていいです。お母さんが作ると言うことに意味があるんです。その事をとても大切だと思っています。それを無くして、給食って。だから今も給食は反対しているんです。

 

大坪:

息子も「手作り弁当」で育っているので、食べ物や食事の時間のことに対しての意識や思いがしっかりあります。何より「手作り」という事をすごく喜んで大切にしてくれます。

 

 

園長先生:

感激するのが、働きながら子育てしている保育園のお母さんたちが2歳児クラスから3歳児に上がってお弁当が始まるときに、抗議が沢山来るのでは無いかなって心配していたんです。でもそうではなかった。みなさん、見事なお弁当を保育園のお母さんたちは用意してくださっていました。最初はお弁当の支度に顔をしかめるお母さんたちも多いのですが、いざ始まると「作ってみたら意外と楽しい!」結構なお母さんたちが言います。

 

大坪:

実際に作ってみると本当に小さなお弁当なので、あっという間にできてしまうのですよね!

 

園長先生:

それでいいんです。「母の手作り」と言うことに意味があるんですから。だから、私はどうしても給食は反対なんです。私が生きてるうちは給食やらないわ(大笑)!

 

大坪:

貫いてください(笑)! お弁当から学ぶことは本当に大きいです。「おにぎりの日」も本当に良かったです!おにぎり弁当が、うちの子供の食材への関心や正しい味覚を育てたと思います。

 

「飽食の時代だから週の2回のお昼がおにぎりだけだって栄養失調になんてならないから安心して!それよりおにぎりをゆっくり噛んでお米の甘さを味わって生まれる感謝や発見の方が大事だから!」と言う園長先生の説明もよく覚えています。

 

 

園長先生:

初日におにぎりの日をした日のことをよく思い出します。きっとこの話何度も聞いてると思うけど(苦笑)。子ども達はこれっきししか無いから味わって食べようと、すごくしっかり噛んで食べるんです。だから「先生、お米って甘いだね!」って言うんです。簡単だけどおいしいのよね、おにぎりって日本人には。お子さんと一緒に作るご家庭もあります。その一緒に用意する時間もまた楽しいんですよね。

 

大坪:

はい、おかげでうちの子は「塩むすび」が一番おにぎりでおいしいって言います。何か入れようとすると、「変なことしないでね。海苔もつけないで。梅干しくらいにしておいて!」って怒られます(笑)。

 

園長先生:

そうそう!お母さんは海苔を巻いたりあれこれしたくなるんですけど、何やかんや塩むすびが一番おいしいんです。

 

大坪:

「おにぎりの日」のおかげで子どもには、お米以外にも野菜も「甘い」とか、お魚が「フワフワ」とか、丁寧に素材を味わう習慣がついています。丁寧にこだわって作られたものがわかる、いいものがわかる習慣が、食を通じて育っていると思います。

 

園長先生:

お弁当はお母さんの愛情の表れです、それだけは通していきたいと思ってます。

 

 

 

<VOL.002に続く>

 


 

めばえ幼稚園 / めばえの森保育園

http://www.mebae.ed.jp/

 

我孫子市白山2-7-5

04-7184-1313

 

園庭開放&入園案内に関して:

http://www.mebae.ed.jp/?page_id=52

 

めばえの保育(ご興味ある方はぜひご一読を。)

http://www.mebae.ed.jp/?page_id=13

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