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私たちの街創りby Abiko A-life

2020年01月16日

地域文化を畑から。200年続く店づくり。「 tablebeet 」

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「Wow!」扉を開けた瞬間、初めて足を踏み入れる人は誰しも体内がスパークする、そんな始まりがあるお店が柏にあります。常連ですら、分かっていながらも訪れるたびにスパーク。「…だよね!」って、店内に漂う企てと、それに素直に反応してしまう自分の感覚に思わず苦笑いしてしまう。そんなサプライズが、随所に何とも自然に仕込まれている。それが農en Restaurant tablebeetです。

 

 

 

 

 

 

我孫子でできるだけ自然に育つ美味しい野菜づくりを目指し、農薬・除草剤・化学肥料不使用で有機野菜を作る「自然野菜のら」の中野牧人さんと、その旬の季節野菜を、驚き溢れる美しいお料理で提供する柏の「農en Restaurant tablebeet」を経営する株式会社CHATEOの代表取締役、安生俊一さん。お二人の今尚続く挑戦の物語、その<第二部>をお届けします。

 

 

 

 

 

農en Restaurant “ tablebeet ”

 <part 2> 地域文化を畑から。200年続く店づくり。

 

 

 

 

 

 

野菜がもっと売れる環境を。CHATEOからtablebeetへ。

 

 

安生さん:

CHATEOは夜のみの営業で、日中は畑仕事をしていました。お店で野菜も一緒に売っていて、お客様が昼の時間帯にこの野菜を味わいたいと求めているのを感じ取っていました。お昼にもお店をやりたいけど、CHATEOは夜のみのイメージで作っていたので、お昼を営業しているイメージがわかず。これだけ望まれているんだから、野菜がもっと売れる環境を整えないと、そう思いました。若いお母さん、小さいお子様がいらっしゃるお母さんはじめお客様が一番欲しがっているものがそれなんだから、それを味わってもらえる場所、野菜がもっと売れる環境を作らなきゃって。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また、牧人くんの畑を見ると物凄い量の野菜が成っている訳ですよ。収穫期を迎えた野菜たちが。でも「この野菜全部販路無いです。」って彼が言ったんですね。

 

中野さん:

売るのへたくそだったんで(苦笑)。

 

安生さん:

こんな沢山あるのに「売り先無いです」って。じゃあ、その場所作りましょうよ!ですよ!と。そこからはもう一気に進みました。「お店やろう!もう一個やろう!」って言いました。5月でしたね。

 

 

 

 

 

 

中野さん:

あの時はレタスが40m、それが4列、ダーーーーーーッて、500個とかでは利かない量でしたよね。めっちゃ良く出来てるのに、食べてもらえる人に出会えない。自分も当初はまだ甘々で、作ったら売るという意識が弱く。畑作業の時間も必要だけど、単純に売る時間も作らないといけないと痛感する日々でした。でも、今度野菜売ってばっかりいると作業する時間が無くなっていく。その繰り返しをしているうちに、一人の限界が分かってくるんです。

 

 

 

 

みんなこれにハマるんです。いっぱいできると販路が突然、ガン!と増える。そこへ向けて出荷をしていると、今度は畑での作業時間が減り、収穫量が減ってしまう。販売に意識が行き過ぎてしまうと、今度は作る物のクオリティが下がってしまう。一人で出来ない仕事では無いけれど、一人だと規模はやはり限られてしまう。

 

 

 

 

食べたい、欲しいお客様。沢山作れるけど売る作業に手が回らない牧人さん。その間を作って繋ぎたい安生さん。待っている人と作っている人、繋ぎたい人。いいタイミングで全部が合わさった。

 

中野さん:

でも僕たちの動きが早かった何よりの理由は、出会った頃からある程度二人で常に「絵」を共有してきたからだと思います。じっくり時間をかけて、共有とすり合わせを行っていたからこそ、「然るべきタイミング」に「然るべき行動」が出来たという感覚でした。共有している目的に到達するまでには、ある程度時間を要することは当然のことだと思っていましたので。

 

変な話、飲食店1店舗としっかりお付き合いしていくよりは、直売所に一気に出荷したほうが、コミュニケーションの量も少なくて済みますし、かける熱量もその分少なく済みます。代わりに1回1回の関係がその場限りになり、なかなか深いものにはなりません。よく色々な人に「牧人さんは、◯◯さんに支えられていますよね。◯◯さんがいないと食っていけないよね」って言われるんですが、その◯◯さんたちと「しっかり付き合おう!」としたのが僕のやり方。自分の力だけで何とかするというよりは、「皆とやろう」というのが僕の最初からのスタンスでした。いい意味で「しっかり人に頼ろう」、そう最初から思っていました。

 

安生さん:

物件が見つかり、銀行の全額融資も無事決まり…。俺たちに貸してくれなかったら誰に貸すの!って熱弁してねじ込みました。あ、このあたり細かく話していったら、この取材終わるの、夜9時です。やめます(笑)。(お昼からはじめた取材だった。)

 

 

 

 

 

 

収穫期を迎えた野菜の襲撃!野菜に追い立てられて、お料理作りが始まる。

 

安生さん:

シェフが作りたいものを作るために材料を決めていくというスタートはtablebeetには存在しません。収穫期を迎えた野菜たちに追われるように、料理作りがあります。なので、自分達から全然違う引き出しを常に引っ張り出し続けないと、材料の勢いについて行けなくなる。そんな状況が常にお店で起きています。だから、自分たちの意識だけでは普通、引き出せないようなアイデアが出て来る。個々の持っている発想の幅は、野菜の「使って欲しい!」というニーズに、無理やりこじ開けられちゃう、そんな感覚です。うちは「これ、こんなに!凄い量来ちゃったよ!どうしようか。」がスタート。「この料理を作るためにこの野菜を発注する」という考えと真逆。

 

 

 

 

 

 

 

よくお客様から「どうしてこんなお料理、思いつくんですか?!」って言われるんですが、「また野菜が大量に来ちゃうんで(笑)」というのが答え。まず全てそこから始まり、そこからどうしようになります。その状況を心から楽しむことができれば、このお店はすごく楽しい現場になると思います。料理人にとっても、職人にとっても。ホールにとっても。終わりがないので!

 

 

 

 

 

 

お客様と、季節と畑のありのままを一緒に楽しむ。無理に季節外の野菜をお皿に乗せて説明できないよりは、うちはそういう話がお客様としたいから。

全てのお皿に同じ野菜が容赦なく乗ってる時があります(笑)。「こちらコリンキー、ナマ食用のカボチャなんですけど…」「わぁ、生でですか、凄い!」ってなり、また次のお皿を運んで「これもまたコリンキーですけど…」で、また次のお皿にもコリンキーは乗ってるんですよ。「いま大量発生していて、旬で収穫期を迎えてるんです。」って、全部にもれなくコリンキーが乗っかってるんです。

 

 

 

 

でもそれがうちは「いい」と思ってます。説明をして、お客様と一緒に、季節と畑のありのままを楽しむ。他の材料との彩りのために、無理に季節外の野菜を乗せてストーリーがない、説明出来無いより、うちはそういう話をお客様としたいから、うちはこれがいいと思っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何度も通いたくなる。一回では満たされない、「想定外」がある店。

 

中野さん:

うまく行く会社、行かない会社の大きな違いって、全ての事に当てはまると思うんですが、「目的がいかにはっきりしているか」で、決まると思うんです。思い返してみると安生君は出会った瞬間から、目的が物凄くはっきりしていた。僕はフラフラしていたので、それは凄く感じました。農en Restaurant。畑とお店というセット、だったんです。これが目的である限り、野菜のスケジュールを優先してくれる。畑をやってる人間としては凄い尊重されていると感じますし、安心して野菜作りができる。安心してコリンキーばっかり作れるっていう事です(笑)。その考えのお店を安生くんがやってくれている以上は、自分ももっと頑張ろう、できる限り豊富な種類を作って持って行こう、もっと面白い野菜を届けようって想いが自然にこみ上げてくる訳です。

 

 

 

 

 

 

安生さん:

これが本当のFarm to Tableです。この言葉をいつからみんな安易に使っていくようになったのか。Farm to Tableなんちゃら、って。何をもって屋号につけたのか聞きたい、そう思うお店がよくあります。使うにあたって、その言葉にある社会的定義やミッション、意味をきちんと理解する事はとても重要ですし、その責任が使う人には付随してくると思ってます。

 

 

 

 

 

 

 

こだわりをもった人が作る野菜を日常の中で自然に食すことができる。同じように、こだわっている人たちがつくる様々なもの、発する言葉、考え、環境が、子供の頃から周りにごく自然にある。子供達を取り巻く日常に、ごく普通に当たり前にある、食事の時間とか、しれっとある会話や触れ合いが、そうしたこだわりをもった人が丁寧に作っていったもので出来上がっている。そんな空気が存在していて、毎日の些細な事の中にも少しずつ自然に良き影響がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこだわりで出来上がる普通の日常を、我孫子、柏で作りたい。そうした「文化作り」こそが使命。そう思っているので、同じ考えのAbiko A-lifeが主催するNEIGHNBORSHIPというイベント(2019/10/27手賀沼公園で開催された)に参加しました。

 

>>>イベント当日の動画はこちらから。

 

 

 

 

 

一緒にやる仲間がいることで、原点に立ち返る「ゆとり」を創造する。実現可能なモデルケースには、人が共感できるリズムが生まれ、やがて輪が広がっていく。

 

中野さん:

一人でぎりぎりに成るまでやっていることで失いかけていた原点に、一緒にやる仲間がいることで立ち返る時間ができた。仲間ができる事で、「第一次産業って凄いな」そう感じて始めた農業を、自分らしく掘り下げていく環境に立つことができた。自分たちの実現可能な小さい単位の社会で「社会貢献」できること。経済活動だけではなく、社会的に意味のあることをしたい。そうした思いで自分たちの出来る事をやっていれば、やがて同じ思いで活動している人たちとどんどん自然と繋がっていく、そう思った。実現可能なモデルケースには、人が共感できるリズムが生まれ、やがて輪が広がっていくと思った。

 

 

 

 

「循環」するオーガニックを。作る人と食べる人が同じ価値観でオーガニックを理解し、支えあう。「地域」というチームづくり。共有できる「文化」づくり。

 

中野さん:

柏、我孫子、取手、流山をはじめとする地域内で手に入る原料で作った肥料で、どれくらいのオーガニックなものが作れるか。野菜だけでなく鶏卵をはじめとする畜産品とか、そうした様々なものをどれだけ生産できるのかという、ある意味社会実験的なことを、「地域内の協力体制」のもとでやっていきたい。一農家の単位で生産と販売をしていくのは、限界がある。実は地域内に有機農家は結構あるんです。そして例外を除けば、ほぼみんな苦労している。じゃあ、どういう風にやれば皆が、ちゃんと各々のクリエイティビティを維持したまま、「有機農家」ができるか。経営に追われて、苦しい有機農家が凄く多い。「この地域はオーガニックが盛んで、オーガニックなものでこんなものが作られている。」「こうしたものを提供する、食すというのにはこういう意味がある。」そうした知識や意識が「地域内の協力体制」で作られ、地域内の消費者や飲食店の中に浸透していけば、支え合うことができる、とてもいい循環ができるはず。

 

 

 

 

二人:

そういう認識をみんなで共有する「文化」を、皆で今から一緒に作っちゃえ!こういう意識で「店づくり」するのが当たり前になってしまう!そんな良き影響を作ってしまおう!それが今、自分たちの進めている発信活動です。

 

 

 

 

100年200年後も残る店を。確固たる「文化」を創造し、発信する店を作る。

安生さん:

この思いを私たちがホールでお客様にどんどん話していき、お店を経営していて共感してくれる人たちにもどんどん考え方を伝えていけば、自分たちで広げなくても、共感してくれたお客様やお店が、自然にそれをその人たちなりに取り入れて、広げて行ってくれる。「それいい!」「ここの部分、うちで取り入れてみるね!ここやるわ!ここはそっちでお願い!」と。そういう人たちがこの街にどんどん集まってきてくれればと思っています。ここから始まる100年200年続くお店を作りたい。そんな考え方を根ざしたい。江戸時代から始まった老舗が今も残っているのと同じ、これから自分たちが創り上げて行くお店は、100年200年後にも残る、確固たる「文化」を持つものを作りたい。

 

 

 

 

「意味のある」物語の創造と定着。それはやがて地域の特性と成る。

 

中野さん:

「意味のある」物語を作りたい。こうした意味で地域社会に働きかけています、貢献したいと思っています。と、そういう思いや考えの乗っかった「意味のある」物語が定着していけば、「地域の特性」として残っていくことができると思う。そうなれば、それに賛同する新たな事業者が地域にどんどん入ってくる。我孫子じゃ野菜が売れないって言う人もいるけど、だったら「文化」という土壌を作ってしっかりその価値が打ち出せれば、例えベッドタウンでもインバウンド事業が見込めるでしょ!そう思っています。

 

 

 

 

個人の目標が社会を突き抜けると、でかいエンジンに!

 

中野さん:

20代で新規就農していく、オーガニックな農家を目指す新規就農者が増えないという状況がもしあるとしたらおかしいですし、変えていかないとならない。個人の目標を社会に向けていくと、結構でかいエンジンになるもの!今までモタモタしていたんですが、顔を上げてみるとダーッと走れそうな、前に進めそうなそんな気配を、二人で共有できたので!

 

そのためにも効果絶大な宣伝マンが必要!見栄えが良くて、声が良くて、インパクトのある(中野さん、安生さんを見てニヤッ)。その方が、速く確実に広がるので、ね(笑)。

 

安生さん:やりましょう(笑)!